緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

理性の脳が働きすぎる

2007-12-30 12:36:26 | アロマテラピーとは
慢性的に「やる気が出ない」状態が続いているケースに対して
アロマテラピーは何ができるか。
前回の続きです。

■ スイッチが動かない状態
まず「やる気が出ない」状態が続いているとはどういうことか、
そこから考えてみなくてはなりません。
脳内の物質が云々、色々考え方はあるでしょうが
医学的な問題には踏み込まずに、ここでは現象だけを取り上げます。

「スイッチ」がある一方向にいったまま止まっているのが
現在の状態としましょう。
本来人間には生体リズムというのがありますから、
何も考えなくても日々そのスイッチが切り替わりながら生きているのですが、
何らかの原因でそれがうまく行かなくなってしまっている状態。
原因が明確であればそれをまずなんとかすれば良いのですが、
それがわかれば苦労はないというか、
多くの場合、原因はひとつではなく、また明らかにするのも
容易ではありません。
では視点を変えて、本来なら勝手に切り替わるはずのその「スイッチ」に
ブレーキをかけているものがあると仮定してみましょう。

■ 理性の脳がブレーキをかける
スイッチがあるのは前にも書きましたが脳の視床下部というところです。
ここは大脳辺縁系と呼ばれる部分で、旧い脳=動物的な脳にあたります。
その周りを理性の脳がぐるりと取り囲んでいます。
最も人間らしい部分であるこの理性の脳が、
実は辺縁系の活動を抑制してしまうケースがある
ということも近年言われています。
ひとたびスイッチが動きづらくなってしまうと、
ホルモンの分泌や様々な生命活動と連動しているので、
日常の何気ないこと、起きたり寝たり食べたりも一苦労です。
何で私は元気が出ないんだろう、何もしていないのに疲れてしまう、
今日もたいしたことは何も出来なかった・・・。
理性は日々自分自身を評価し続け、より良い自分になりたいと
願うほどますます視床下部は抑制され悪循環に陥ります。
それが視床下部のスイッチにブレーキをかけているのかもしれません。

■ 平衡を破る
「スイッチ」にかかっているブレーキをアロマテラピーで外すことはできないでしょうか。
もちろんこれもアロマが直接働きかけるわけではありません。
アロマの刺激によって身体が判断して、
「理性の脳、ちょっとお休みー」という状態になるのを期待するのです。
こういう状態になると、もともとリラックスし過ぎだと、
本人は思っていたのに、さらに、もっと深くリラックスしてしまい、
「ぼーっ」となることがあります。
本人も気づかなかった理性のブレーキが外れてしまうので、
元気になりたいという本人の望みとは逆のことが起きるわけです。
しかし止まっているものが動き出すためには、
いったんその平衡状態を破ること、つまりバランスを崩すことが必要です。
そのための「ぼーっ」だと考えてください。
ブレーキを緩めて、スイッチが動きやすい状態をつくること、
これは大切です。

■ 何でもないことから
一回のトリートメントで解決というわけにはいきません。
スイッチを動き易くした上で、スイッチが正常に動いている
状態を意識した「行動」をとることも大事です。
身体の状態から反対にスイッチを刺激していくのです。
できる範囲で良いのです。
例えば、なるべく早く起きるとか、二度寝をしないとか、
昼間の光を浴びるとか、寝る前はTVやPCを見ないとか。
こうした、一見何でもないことが、「スイッチ」にアプローチする
ためには有効だったりします。
ここでもアロマの力を利用できます。
朝はとにかくローズマリーを嗅いで脳の血流を増やし
無理矢理にでも覚醒するとか、
夜は好きな香りを嗅いでゆっくりするとか、
ポイントポイントでも使うのです。

いずれにしても「元気」にたどりつくまでは時間が必要ですが、
やってみる価値はあるのではないでしょうか。
ただし、ここでもアロマは八分目。
常に、やり過ぎのちょっと手前で、控えめに使いましょうね。
それが身体の動きを引き出すコツです。


※緑香庵の年内の営業は30日まで、新年は5日から。
来年もよろしくおねがいします。



視床下部のスイッチ

2007-12-27 18:02:02 | アロマテラピーとは
アロマテラピーでリラックスするというのはどういうことか。
これについて前回書きました。
ごくごく大雑把に言うと、
精油の成分やタッチの刺激が脳の視床下部にある
自律神経中枢に働きかけることにより、
副交感神経が優勢となり、
結果として身体も心も「ゆったりモード」になるということでしたね。

それはそうなんですが、
ここで誤解しないでいただきたいのは、
アロマテラピーは必ずしもいつも副交感神経を優勢にすることを
目的にしているわけではない
ということです。

■ 一方向でないのがアロマテラピー
多くの場合、アロマテラピーを必要とする人は
ストレスでずーっと交感神経優勢状態にあることがほとんどなので、
「ゆったりモード」への変化は、アロマが副交感神経へ切り替えた
かのように思えるでしょうが、
実はアロマテラピーがやっている仕事は、
上述した視床下部の「スイッチ」を刺激することが主であって、
結果として起きる変化の「方向」はその時の身体の状態による、
と考えた方があたっているように私は思います。

つまり、アロマテラピーの刺激をきっかけとして、
リラックスが必要だと身体が判断すれば、副交感神経へ切り替わり、
ここはちょっとシャッキリしたいと身体が判断すれば
交感神経に切り替わる。

いわゆる「薬」と違って、アロマテラピーの面白い所は
そういうところではないかと思います。
精油の効能の紹介でも「リラックスとリフレッシュ」という
一見相反することが書かれていたりするのも、こういう訳です。

もちろん、リラックス方向が得意なアロマ、
リフレッシュ方向が得意なアロマ、性格はそれぞれありますが、
それにしても一方向だけじゃないというのが、
いかにも複雑な自然の信号をたくさん含んだアロマらしいところであり、
また生き物の身体のしくみの弾力的で興味深いところでもあります。

■ 一口に「元気」といいますが・・・
例えば「アロマテラピーで元気になりたい」というケースを考えてみましょう。
単純に「元気」という言葉だけから考えると、
副交感神経へのスイッチとは反対方向のように思えますね。
でも必ずしもそうではありません。

まず元気が無い状態、これを考えてみましょう。
二つの場合が考えられます。
1. ストレスによる交感神経優勢状態が続いた結果、疲弊した=元気がない
2. ずーっとゆるみっぱなし(ストレスの自覚はない)でやる気が出ない=元気がない

1のケースについては難しくないですね。
アロマの刺激によってリラックスして副交感神経優勢となり、
身体が十分に休息充電できればまた元気が出てきます。

2の場合、ちょっと複雑。
本人はもう「リラックス」なんてうんざりだったりするのです。
だってゆるみきってるし、むしろやる気が欲しい、元気が欲しい。
アロマテラピーが直接にリフレッシュ方向に効いてくれれば、
これは速攻解決です。これで済めばラッキー。
しかし問題はそう単純ではないでしょう。

(この話、またしても次回へ続きます)

Wirelight
《緑香庵にて》


アロマ「八分目」のすすめ

2007-12-23 12:59:02 | アロマテラピーとは
年末ですね。うちのような弱小サロンでも、
12月に入ったらそれなりにワサワサしておりまして、
ブログがまた滞ってしまいました。
そういえば来年は子年かあ、年女だ。
話が逸れました。

さて、健康の秘訣は腹八分目とか。
実験でも「満腹ねずみ」より、「ちょっと空腹ねずみ」
の方が長生きすることがわかっているそうです。
今回は、アロマテラピーサロンでコースを選ぶときも、
ちょっと物足りないくらいがちょうどいいですよというお話。


■ リラックスするぞー・・・でもちょっと待って!
そろそろホリデーシーズンです。
たまのご褒美で、さあアロマテラピーサロンへという時、
あるいはホテルでゴージャスなスパ付きのトリートメント
という方もいらっしゃるかもしれません。
でもちょっと注意してください。

そんなときに「せっかくだから」と、
長ーい、リッチなコースを選んでしまって、
結果、翌日までだるさが残ったり、
揉み返しのような症状が出てかえって辛くなったり
したことはありませんか?

イベントとしてのトリートメント、非日常のお楽しみ、
気持ちはとってもよくわかるのですが、
ストレスが続いて今日こそリラックスするぞーという時ほど
注意が必要です。

■ リラックスしすぎで頭痛
定期的にトリートメントを受けている方や、受け慣れている
方なら心配無いかもしれませんが、
かくいう私も何度も自分の身体で「やりすぎ」を体験済みです。
あまりにも深くリラックスしすぎて、
血圧が一時的に下がってしまい、ひどい頭痛になったこともあります。
そもそも私は拡張性の片頭痛持ちなので
自分で注意するべきだったのですが。
だって気持ちがいいんですもん、せっかくするなら
ゆっくりトリートメントしてもらいたい、
と欲張りたくなる時もあります。
でも、やっぱりちょっと短めが本当はちょうどいいんです。


■ 予想外の反応
リラックスとひとことで言っていますが、
アロマテラピーでは何をしているかというと、
精油成分の働きとタッチによって、脳の視床下部を刺激しているのです。
視床下部に、自律神経の「戦闘モード」と「ゆったりモード」
(交感神経と副交感神経)を切り替えるスイッチがあるのです。

長時間トリートメントを受けると、この刺激の量も多くなります。
また、同じ時間のトリートメントを受けても、
さほどストレスがなかった人が受けるのに比べて、
長期のストレスで身体がビリビリ興奮したまま
固まっているような状態にある人の場合では、
その固まりが完全にほどけるまでトリートメントすると、
トリートメント前後の変化の幅は、非常に大きいものとなります。
あまりにも大きな変化に対しては、身体は思いもかけない
反応を表すことがしばしばあるのです。


■ 個人差もあります
人それぞれの身体の癖もあります(私の場合は片頭痛です)。
その人の普段の状態、身体の反応の癖など、
しばらくおつきあいしてからなら、セラピストの側からも
ある程度想像がついて、刺激の量も加減できるように
なってくるのですが、初めての方には本当に難しい。

コースを選択するのはお客様自身。
「せっかくだから」が裏目にでてしまうことも実際あります。
ですから、たまに行く時こそ控えめが一番安全なんですね。
アロマテラピーの刺激はトリートメント後しばらく持続します。
その場ではちょっと物足りないくらいの方が、
徐々に脳の中で調節が進み、身体に行き渡って、
数時間から一晩経ったくらいで、ちょうどうまいところに
落ち着いたりするのです。

■ 上手なトリートメントのコツ
ちょっと脅かし過ぎましたか。
もちろん少々多めに受け過ぎたとしても、
時間がたてば落ち着きます。
トリートメント前よりは良い状態に、
最終的にはたどりつくことがほとんどです。
が、その過程でちょっとしんどいことになることもあるので、
どうぞ八分目にしてねというおすすめでした。

そして、更なるコツは、そういうライトな刺激を、
間隔を狭めて頻繁に受けること。
「たまのご褒美をどっさり」ではなく、「八分目をちょいちょい」。
これが、あまりこわばりをひどくしないうちに回復する
メンテナンスのパターンです。
こうして直ぐに回復する癖をつけていくと楽ですよ。
「弾力」がでてきてますます回復しやすい身体になってきます。
これからのホリデーシーズン、楽しみにしている方もいらっしゃるでしょう。
ぜひ、上手に気持ちよくトリートメントを受けてくださいね。


次回、アロマテラピーがどのように自律神経に働きかけるか
について少し補足します。


ちょっと動転しただけです

2007-12-05 16:15:34 | 営業日誌
やっと黄色くなりました、国士舘の銀杏。
今年はのんびりでしたね。
Icho1
《国士舘の銀杏》

緑香庵で2回の冬を迎える間に、
逝く人有り、来る人有り(そうなんです)。
毎日順繰りに動いているように見えて、
実はずいぶんと大きな変化を過ごしてきているのかも
しれないと感じる12月です。

■ 事件発生
先日びっくりする事件がありました。
朝来てみると床が水浸し。フローリングの上に3カ所ほど
大きな水たまりができていました。
天井からはまだひたひたと水滴が落ちています。
原因は緑香庵より上層の階で発生した、水に関係するトラブルでした
(今日時点では解決済み)。

お客様がいらっしゃる時じゃなくてよかった
と思いつつ、軽くへこみました。
文句をいっても仕方の無いことなので、
かえって怒りも湧かず、アドレナリンも出ず、
ただただため息が出るばかりで、
事態を打開しようと言う気力がなかなか湧いて来ません。

■ 動転してレメディーを忘れ...
こういうときこそ、フラワーレメディの「レスキュー」.
を使えば良いのに、すっかり気が動転していたのでしょう、
忘れました。
だもんで、しばしひとりですねてから、
気持ちを奮い立たせ、せっかくだから早めの大掃除というわけで、
這いつくばって床磨きをして、ぴかぴかになったところで
ようやく落ち着きました。

たかがちょっとの水漏れくらいでこれだけ気力が鈍るのですから、
大きな災害に見舞われた人が立ち上がるのは
どれだけ大変なのだろうと、今更ながら思いを致した次第です。

■ キャラメルバナーヌでやっと...
でも実は、掃除をしただけでは気持ちが復活できず、
その後Cafe Lottaのケーキも食べましたけど!
以前から、精神的にしんどい時には甘いものを欲するくせがあります。
そういう時のケーキやパフェって、
冷静に味覚の面からいうと、そんなに美味しくはないのです。
実際、甘いものに限らず、ご飯でもお酒でも、
身体を動かして働いて一段落ついた、
腹ぺこの時に口にするのが一番美味しいのは同じです。

緊急時の甘いものは、ですから味覚を求めているのではなく、
むしろ暗示にかけているようなものです。
「だいじょうぶだいじょうぶ。」と自分に言い聞かせる、
そのための装置です。
Cafe Lottaのキャラメルバナーヌを食べながら、
「だいじょうぶだいじょうぶ。」とおまじないをかけて
いたわけですね。

Purple2
《緑香庵から若林公園を望む》

でも後から考えたら今回の事件はそれほどのことじゃありませんでした。
ちょっと気が動転しただけでした。
ただの一時的な水漏れ、掃除をしたらそれで済んじゃったし。
緑香庵はものの数時間で完全復旧いたしましたので、
ご心配なく。