緑香庵通信

三軒茶屋から世田谷線で6分・松陰神社前のアロマテラピーサロン。

香りの「ある」「なし」 なぜ重要? その2

2018-06-14 18:49:36 | アロマテラピーとは

前回から続きます。


そもそも「何かを感じる」とはどういうことか。

「刺激を受けた」という信号が神経を伝わり脳に達することで「感知」する。というザックリとした流れは誰でも知っていることとして、「感じる」の最先端では何が起きているのか。

ある刺激に接した細胞の、さらにその細胞にある受容体(タンパク質でできている)が刺激をキャッチすることから全てが始まる。

「感じた」ということは、私たちの細胞に「その刺激をキャッチする受容体があった」ということを意味する。

嗅覚であれ、視覚であれ、聴覚であれ同じ。

あらゆる感覚は、刺激を受け取る受容体があって初めて感知することができる。受容体がなければ、そこに何らかの刺激があってもスルーされるだけで感知には至らない。

また、当たり前だが、受容体は身の回りのすべての刺激に対してあるわけではない。ある特定の刺激に対してだけだ。

受容体を待つか否か、それを分けるのは、その刺激の感知が私たちにとって切実かどうか。特定の刺激の存在を知りたいのは、おそらく進化の過程で「生存」に大きく関係があったからだ。生存にプラスであれマイナスであれ、関わりがあるからそれに対する受容体が備わった。

 

まして嗅覚は進化上、最も古くからある感覚として知られている。私たち生き物がまだ原始的な細胞そのものだった時から、身の回りの物質の存在を知るためにまず発達したのが嗅覚だ。

私たちが日常考えている「香り」というものと少しイメージが違うかもしれない。「嗅覚」とは身の回りの物質の情報を化学的に把握する感覚につけられた名前だ。生きていくのに有効な、もしくは避けるべき物質の情報を得るために、嗅覚細胞はそれ専用の受容体を持った。

受容体の用意がある物質、香りを感じさせる物質はそれだけで、生命にとって関係が深い物質であるということを意味する。

香りある物質がたまたま体に作用したのではない。その物質が体に作用するものだからこそ、香りとしてキャッチする仕組みを私たちの細胞は持った。

 

 

ね、そう考えれば芳香物質が、いかに私たち生命にとって重要なものか、想像できるでしょう。

 

香りの成分を抽出して、それを人が健やかに生きていくために利用しようという考え方はだから、とても理にかなっているんですね。香りを感じるという時点で、その物質は何らかの影響を生体に対して持っているに違いないのだから。それをポジティブな効果がもたらされるよう利用することがアロマテラピーというわけ。

 

やれやれ。やっと辿り着きました。

しのごの書きましたが、要は「香り」があるってそれだけですごいことなのね〜。


香りの「ある」「なし」 なぜ重要? その1

2018-06-14 18:41:24 | アロマテラピーとは

梅雨ですね。

少しばかりご無沙汰しているうちに、

すっかり修繕工事も終わり、キャンペーンも終了。

日常が戻ってきました。

外壁も廊下も階段もきれいになりましたよぉ。

 

で、今日は久しぶりにめんどくさいやつをアップします。

いつものようにグダグダしますので何回かに分けますね。

ではどうぞ。

 

香りの「ある」「なし」 なぜ重要? その1

 

「アロマテラピー」直訳して「芳香療法」。

植物の中にある「香りの物質=芳香物質」を取り出して、人の健康に役立てましょうという考え方。

なぜ「芳香物質」だけを特別に取り立てるのか。

先人たちはなぜそこに目をつけたのか。

アロマテラピーを生業としながら、実は長年しっくりと来ていなかった。

体験から得た知恵というものはあるだろう。

「ある植物をたまたま使ってみたら良い影響があった。その植物には香りがあった。だからその香りある植物を薬効のあるものとして大切にしてきた。」という流れ。でもでも、それだけではなんだか納得がいかない。

これだけ様々な物質が純粋な形で抽出・合成される時代に、なぜ、今、芳香物質なんだ。なぜ、「香りの物質」はこれほどまでに影響力があるのか。

そこで、今日は改めて整理してみることにした。

 

さあ、ここから先は例によってすごーく理屈っぽいです。

おひまな方だけお付き合いください。

 

「香り」すなわち「嗅覚」で捉えられる刺激のこと。

嗅覚という感覚に訴える刺激を持つのが芳香物質である。これは人体にとってどういう意味を持つのか。

 

ということでまずは「感覚」というもののおさらいから。

 

この辺で次回にまわしましょう。以下続く。

 

 

 

 


条件が変わると本質が見えてくる その2

2016-03-23 20:16:30 | アロマテラピーとは

前回の続きです。今日もかたいよ~。ご容赦。

 

さて、条件が変わった時、見落としがちだがとても大切なのは「施術者にとって」今の状態が心地よいかどうか。「受けてにとって」ではなく。これが今回のポイントその2。

自分の姿勢に無理がないか、関節が変な方向を向いていないか、自然に重さをかけることができるかなどなど、確かめるポイントはいくつもあるけれど、トリートメントの成功は、「施術者」の内的な状態がいつもどおり平らかに保たれているかどうかに大きく左右される。

受け手に、心地よくトリートメントを受け入れてもらえているかどうかは、意識の上でも無意識にでも、施術者は常に気にかけているものだが、概して自分のことには目がいかない。一生懸命であればあるほどに。ところが、施術者の状態を、受け手は相当細かいところまで見事に感じ取っているのである。意識はされなくても、そこはかとなく無意識のレベルで。この影響力は思っているより多分ずっと大きい。

「お昼ご飯、何食べようかな?」これはOK。「このあと歯医者だ、急いで行かなきゃ。」これはNG。どちらも施述には直接関係ないことだけれど、ここに流れている「気分」、それを受け手は微妙にすくいとってしまう。

施術の姿勢に無理があり、そのことに施術者本人が気づいていないような場合でも、施術者の内部で起きているネガティブな感覚がノイズとなり、嫌な要素として伝わりやすい。良い情報より、悪い情報に人は敏いのだ。

「ここ固いな。ぜったいほぐしてやろう」「ここ冷たいね。ぜったいあっためてあげよう。」こういう、施術者としては一見ポジティブな思いも、受け手からすれば「重たい嫌な感じ」となりかねない。たとえそれが意識の上で認知されなくとも、人は強制されると無意識に反発するものだ。

できれば、施術者はふんわりとした良い気分でいたい。それが手を通して直接、また、あらゆる振る舞いを介して受け手へと伝わっていく。そして、その「気分」から生まれたものに、受け手の中身が反応していく。その変化を感じ取った施術者の手がまた、それに応えていく。こうして、心地よい循環がうまれる。施術者自身がまず、楽でハッピーというのは、何にも増して大前提ということ。

さて、こういうふんわりした気分と、一方で、さまざまに変化する条件のなかで手技の目的を実現していくために、絶えず感覚も知力も精妙に稼働させていくという態度は、両立が難しいように思える。が、しかしまあこれも練習なのだと思う。脳はとてもお利口さんで、効率良く働きたいと努力している。慣れてくれば、自動化され無意識の場所にしまわれる。そうなってしまえば、ふんわりした気分で全体を感覚することが優先できるようになるはず。と思って、日々これも鍛錬なのね~。


条件が変わると本質が見えてくる その1

2016-03-21 20:00:00 | アロマテラピーとは

今回はちょっとかたい話。ご容赦くださいな。

 

床で行うアロマトリートメントの講座を受講兼お手伝いしてきた。

家庭や、ボランティアなどの訪問先では、トリートメントはお布団や座布団をつなげたものに寝ていただいてという状況で行うことが珍しくない。

手技そのものはマッサージベッドで行うのと基本的に大差ない。だが、環境(条件)が床に変わることによって、施術者はさまざまな変更を余儀なくされる。

経験の浅い深いに関わらず、施術者は少なからず戸惑いを感じるようだ。その戸惑いとはなんだろう。

手技を習得する過程では、技術はしばしば環境と一緒くたに学習されているため、条件が変わるとどうしていいかわからなくなってしまうのではないか。

丁度良い高さのベッドに、どんな姿勢でも当たり前のようにとってくれる健康な受け手。そういう条件のもとでずっと勉強してきた身にとって、このように、条件を違えて同じ手技を試みるというのは、ちょっとしたショックとなる。

この衝撃は、その手技の本来の目的をあらためて知るのに、実はとても役にたつ。条件を一度全部はがして、手技を裸にすることで、手技の本質がシンプルに浮かび上がってくるように思えるのだ。「相手のどこに対してどんな刺激を与えようとするのか」それが明確になると、その目的のために今ある環境をどう利用してそれを実現するか、あるいはしないか(その手技がその環境に向いていなければ、他のやり方にシフトする判断もとても大切)、その方法が見えてくる。

 条件とはベッドの高さだけにとどまらない。

考えてみれば、あらゆることが条件(環境)だといえる。受け手の体格・体調・気分などの条件、その部屋の温度湿度、光、音楽、リネン類の質感などといったいわゆる外的な環境、そして施術者の体格・体調・気分なども、これらすべて条件だ。そしてそれは常に変化しているというのが前提だ。今回のようにベッドと床というほど分かりやすい違いではなくとも、確実に毎回条件は違うのである。その条件をキャッチして自分のものとし、柔らかにシンプルな本質に向かうということ、これが今回学んだことのポイントその1。

 

そして次回に続きます。


自信がなかった

2012-10-22 10:00:00 | アロマテラピーとは

「アロマテラピーにはこんなすごい力があります。」
「アロマテラピーでこんなこともできます。」
ずっと一生懸命、
それこそ青筋を立てる勢いで
いろんな人に言い続けてきた気がする。

でも、最近ようやく
「気持ちいいだけでしょ?」
「そうなの。気持ちいいだけなの。それだけ。」
「ただのリラックスでしょ?」
「そうそう。ただのリラックスよ。」

と、落ち着いて言えるようになってきた。

心から「気持ちいい」と感じる時、
芯から「リラックス」できた時、
脳の中でおこること、
身体におこること、
こころにおこること、
そしてそれらが人にとってどれだけ大切かに、
確信が持てるようになったからかもしれない。
ここから始まる変化を
いくつも見せていただきました。

多分、まえは自信がなかったんだな。

どうぞ、気持ちよくリラックスしにお越し下さい。
ただそれだけのことですが、
自分もなかなか捨てたもんじゃないってことに
きっと気づいてもらえますよ。