今日は何と、鳥木弥生さんが町イタコンサートに来てくれました。
何もかも華やかでカッコいい。スター、って表現がこれほどぴったりくる歌手はいない、って思った110分。
まず感動したのはプログラム。
メゾの魅力、ズボンと母性と魔性を、堪能させてあげようと考えてきてくださったこと。衣装までそれぞれのステージに用意するプロ意識。
柴田さんや観客の反応に即座に対応できるインスピレーションは真のディーバにしてエンターテナー。
最初のモーツァルトとトマ。こんなカッコいい、宝塚にも負けないズボン役って見たことない。
次の母性は予想出来なかったけど、「滝の白糸の」の“さなきだに“は震えがくるほどの熱唱。思い入れのある千住明のオペラだと自ら語られただけあって。
最後の魔性はカルメンとサムデリで。
サムソン貴方の声に、はガランチャより美しい。このメゾの名曲はこんな風に歌うべきものなんだね。
ハバネラ、セギディーリャではホセのように魂抜かれた。
「ゲキジョウシマイ」をみているぼくは次女が森谷真理さんってことは承知してるけど、三女種谷典子のことは知らなかった。
その三女はミカエラ、ムゼッタを演じてシマイの血筋を証明してみせた。
客席には日本を代表するベルカント歌手である三女の夫、小堀勇介さん。
先日の新国立ワルキューレで日本人テナーの実力を見せつけた村上俊明さん。
そして町田イタリア歌劇団常連の歌手たちの姿も。
ぼくが鳥木さんを最初に観たのは新国立オペラ・ファルスタッフ。外国人キャストに見劣りしないメグは強く印象に残ったし、森谷さんとのゲキジョウシマイはまさにドリームチームで。
でも今日、鳥木さんが、鳥木さんの真髄がわかった。
だから鳥木さんのカルメンも滝の白糸も観なくっちゃ、って思う。
町田イタリア歌劇団の2百数回のうち、間違いなく語り継がれるコンサートでした。
柴田さんおめでとう。連れてきてくれた土屋さんありがとう。