Sing Listen Travel 〜歌って、聴いて、旅をして〜

リタイアしてから鬱憤を晴らすようにできなかったことをやってきた。でもマンネリ化してる。まだやり残してることをやろう。

歴史の重みを感じたアルハンブラ宮殿

2015-09-12 20:20:58 | Spain Travel 2015

 昨夜は七時まえにグラナダのレストランに着きました。肉料理を食べたあとチェックインしたグラナダパレスは豪華で、広いバルコニーまでついているので驚きました。ひと休みしてアルハンブラ宮殿の夜景を見にでかけます。バスは宮殿のちょうど対極の方向に位置するサクロモンテの丘にいきました。ここにある展望台から夜景を眺めるのが定番のコースになっているようです。夜景というと派手なライトで煌々と照らしだされる繁華街の景観などを想像しがちですが、このアルハンブラは柔らかい光に包まれ、幻想的に光り輝く夜景でした。
 翌朝は八時半にホテルを出ました。アルハンブラ宮殿は非常に人気があるので少しでも予約時間に遅れると入れてくれません。バスが走りだしてから、添乗員さんがほっとしましたように説明してくれました。この会社のツアーに参加したのは初めてですが、食事も観光もホント至れり尽くせりです。個人で来たらこういう観光スポットや食事の手配、移動手段の確保などは全部自分でやらなければなりませんから、とてもこんなに効率よく観光をこなしていくことはできません。それを含めて考えると旅行代金は高くないと思いました。
 入口で現地のガイドさんと合流して宮殿内に入ります。流暢な日本語を喋る美しい女性でした。今日は3Kmは歩きますからねと昨晩言われていたのですが、歩き始めるとなるほどこれは広大な敷地に建てられたものだとわかります。8世紀からイベリア半島を支配したイスラム王国が、この広大な敷地にイスラム王の住居、官庁、軍事施設からなるこの大宮殿を造りました。しかしレコンキスタ(国土回復運動)によって次第に追い詰められ、1492年ついにカトリック女王に宮殿を明け渡します。最後の王、ボアブディルは落城の際、自ら地上の楽園と呼んでいたアルハンブラ宮殿を振り返って涙したと伝えられています。
 ガイドさんの解説を聞きながら、軍事施設があるアルカサバ、王たちの生活の場であった王宮、王の別荘があるヘネラリフェを見ていきました。イスラム建築の最高峰、滅び行く王国の最後の栄華が伝わってきます。
 しかし信じられないことにこのアルハンブラ宮殿、16世紀に入ると荒廃していったのです。カルロス1世により造営のために宮殿の一部が破壊されたり、火薬庫の爆発などがあったためだと言われています。19世紀初頭には半ば廃墟のような状態だったそうです。
 そこに一人のアメリカ人作家ワシントン・アーヴィングが登場します。かれは1827年にここを訪れて感動し、アルハンブラとグラナダの歴史を素材にしたロマンチックな物語「アルハンブラ物語」を書き上げて発表しました。この著作はたちまち注目を浴び、アルハンブラ救済の声が湧き上ります。そして王室の命により大規模な修復が行なわれたのです。その彼の功績をたたえて、物語を出筆した「アービングの部屋」が宮殿内に設けられています。今ではサクラダファミリアにつぐスペインの人気観光地ですが、こんな経緯を辿ったとは驚きです。
 じっくり見れば半日かかる観光コースをぼくらは二時間強で切りあげました。でも生涯忘れられない充実した時間でした。今日はこれからラ・マンチャ地方を経て、バレンシアに移動します。

 


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