
今夜はジョナサン・ノット指揮の東京交響楽団でサントリーホール。
プログラムは神尾真由子さんが15年ぶりに弾くベルク・ヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に」。それにブルックナーのロマンティク、とはワクワクする。
ベルクが可愛がっていたマーラー夫人の娘マノンが急逝したことにショックを受け、ルルを中断して作曲した作品。
チャイコやメンデなどの名作とは全く異なるヴァイオリン協奏曲。10人のヴァイオリニストが弾けば、それぞれ全く違う曲に思えるだろう。
神尾さんの演奏。二部構成の前半はひたすら沈鬱な悲しみ、後半は去来するさまざまな情感、が迫ってくるようだった。
いつものような華麗なテクニックに目が眩むような感じはなかったが、多彩な感情、情念をこめた指さばき、弓さばきからは目を逸らせなかった。
こんな演奏はもう二度と聴けないんだろう。
ロマンティック。マエストロノットは譜面台さえ置かず、全身でダイナミックに、緻密に、表現力豊かに、東響を導いていた。
こんな指揮を見たら、同じ東響でも、他の指揮者だったら全く違った演奏になるに違いないと。
第4楽章は、そこまでの3楽章のエッセンスを全部つめこんでるんだって思った。その上でのエンディング。
ノットと東響の、素晴らしいロマンティック。
聴き応えのあるベルクとブルックナーだった。チケットを買ってよかった。









