電話が終わると聖名はコーヒーを入れてくれて、
「ごめん。でも助かった。ありがとう」
「いや、 こちらこそごめん。矢野さんっていうと、聖名の味方か 会長の味方かわからなくなっちゃって」
そっかごめんねと言って聖名は 育ての母であるおばさんのことを再度説明してくれた。
「おばさんは 単に非通知設定を解除するのを忘れてたみたい。センパイに住んでもらうのはおじさんにしか話していなかったから…」
そこまで言うと 聖名は何か言葉を選びながら、
「センパイ、大丈夫? 湯冷めとかしてない?」
なーんだ、それであんなに必死でジェスチャーを送っていたのか…
俺はクスッと笑ってしまった
「なんだよ、俺はすごく心配してたのに。こっちが余計な心配させたから」
「あーごめんごめん。ジェスチャーを送ってくれる聖名がすごく可愛かったから…」
可愛いはさすがにまずかったかなと思ったが 聖名はぷい、と横を向いただけだった
しかし、次の朝はすごく困った。
聖名が起きてこない。LINEを送っても既読もつかない。
俺は心配になって 聖名の部屋のドアをノックした。