当直明け。
今月選んだ論文の2個目です。
Radiology: Volume 248: Number 2—August 2008
Howard V.Dinh et al
Isovolumic Cardiac Contraction on High-Temporal-Resolution Cine MR Images: Study in Hear Failure Patients and Healthy Volunteers
先に謝っておきます。長くてごめんなさい。
○Purpose:
・正常コントロール群と心不全患者において、preejection contraction (PEC)と、prefilling relaxation (PER)の時間を比較するために、高時間分解能シネMRIをプロスペクティブに行うこと。
・駆出率(EF)とNYHA分類による症状をリファレンススタンダードとして、PECを用いて心不全患者を階層化すること。
PECやPERを心機能の指標として提案するのは、背景として、これまで用いられている心機能のインデックスは代償された負荷や、心臓の位置関係に影響されやすいこと、弁膜症の影響を受けること、がある。
これらを求めるには、心臓カテーテル検査が必要である。代理としては、Tissue Doppler imagingがあるが、アコースティックウインドウと空間分解能の問題がある。
MRIは非侵襲的に全体的心機能を評価することが出来るが、コンベンショナルなシネMRIではPECやPERを評価するのに十分な時間分解能とは言えない。
○Materials and Methods
●スタディグループ
・正常コントロール群:18名(女性10名、男性8名 平均年齢43±14歳)
・心不全患者 :18名(女性5名、男性13名 平均年齢49.8±3歳)
●イメージングプロトコル
・撮像機器 Magnetom TIM Avanto Siemens
マルチエレメント フェイズドアレイコイル 腹側に6エレメント、背側に6エレメント
トリガーはprospective gated ECG
shared-echo breath-hold Ture FISPで短軸像を撮像(心基部~心尖部に6セクション)
:TR/TE 2.8/1.1ms FA 60°
256×256マトリックス 50% phase resolutionかつ60%FOV
シネ画像を作るためには、76ラインが必要
→k空間を3つに分割
中心のセグメント:20列 2.8msで2列埋める?→時間分解能は5.6ms
このセグメント埋めるのに10心拍かかる
辺縁のセグメント:[76-20]/2=28 パラレルイメージング併用しているため
セグメントに対して4列埋める 上記の5.6msのエコー時間を利用する"echo sharing"??
このセグメントの残りを埋めるのに、余分に7心拍かかる
合計17心拍+定状状態を作るための1心拍
18±4秒の息どめの間に、1周期あたり133±25フレームが得られる
●画像解析と後処理
・ワークステーション Leonard; Siemens
解析ソフト Argus;Siemens
・1症例あたり1時間…
・PEC:QRSトリガーで得られた最初の画像から、大動脈弁尖が動き出すまでの時間(ms)
・PFR:大動脈弁が閉じ出すタイミング(収縮末期)から、僧帽弁尖が動き出すまでの時間(ms)
・LVEF, LV mass, SV, CIも計算
●統計解析
SPSSを使用
SignificanceはP≦0.05
独立した2群間のGroup mean differenceは、two-tailed Student t検定
linear regression analysisのために、Pearson product-moment correlation coefficientを使用
ROC解析を行い、AUCを計算
severe systolic HFは、EFを用いて35%で2群にわける
moderate-to-severe HFは、NYHA分類で2をもとにわける いずれも治療決定に重要な数字
○Results
・症例の結果:Table.2
・MRIでのIsovlumic index Fig.4 (HF vs control)
PEC時間 91.3ms±26 vs 40.4±11.8 P<.001
PER時間 103.7ms±41.8 vs 68.3msec±26.8 P<.01
・全体的左室機能との相関 Fig.5
PEC時間は、LVEFと強い負の相関があり、LV massと強い正の相関がある
PER時間は、LVEFとやや弱い負の相関があり、LV massと明らかな相関はない
・ROC解析
PEC時間を解析し、患者の階層化のためのカットオフ値を算出
Fig.6は、severe dysfuction 70.65msで感度100%、特異度83%
Fig.7は、mild-to-severe HFの症状 70.65msで感度100%、特異度76%
○Discussion
・これまでは移植心や、先天心疾患術後フォロー、心筋梗塞後などでIsovlumic indexが検討されてきた。
現在のところ、慢性心不全は無症状のころからリモデリングが始まっているとされ、不可逆的になる前に診断されることが望まれる。load independentな心機能評価である、Isovlumic indexを用いることにより、こういった初期の変化をとらえることが可能となるかもしれない。
・リモデリングされた心筋の特徴(の一つ)
心室コンプライアンスの低下→PEC時間や、PFR時間の遅延で示される
電気的な理由(QRS時間の延長)に関しては、検討が必要
・Limitation
症状あるいは心機能がsevereな患者のみを選択している点
息どめが必要なシーケンスである点
高時間分解能を達成するために、空間分解能を犠牲にしている点(ただし弁尖の評価は可能)
等容性収縮期、あるいは拡張期の容積評価を行っていない点(あるいは行えなかった点)
→ボクセルサイズが大きい、短軸で6スライスのみ撮像している点
→view sharingを行っている点(ごくわずかに容積定量のエラーを起こす)
心拍数の変動によるR-R間隔の影響を考慮していない
●"breath-hold ture FISP with echo sharing" により高時間分解能を達成
→ theoretic load-independent windowでの心筋評価が可能となった
しかし、すごい時間分解能ですね。1症例あたりの解析時間も相当かかっています。ただし、オートマチックにできれば新しいツールになるかもしれませんね。
勉強になりました。
今月選んだ論文の2個目です。
Radiology: Volume 248: Number 2—August 2008
Howard V.Dinh et al
Isovolumic Cardiac Contraction on High-Temporal-Resolution Cine MR Images: Study in Hear Failure Patients and Healthy Volunteers
先に謝っておきます。長くてごめんなさい。
○Purpose:
・正常コントロール群と心不全患者において、preejection contraction (PEC)と、prefilling relaxation (PER)の時間を比較するために、高時間分解能シネMRIをプロスペクティブに行うこと。
・駆出率(EF)とNYHA分類による症状をリファレンススタンダードとして、PECを用いて心不全患者を階層化すること。
PECやPERを心機能の指標として提案するのは、背景として、これまで用いられている心機能のインデックスは代償された負荷や、心臓の位置関係に影響されやすいこと、弁膜症の影響を受けること、がある。
これらを求めるには、心臓カテーテル検査が必要である。代理としては、Tissue Doppler imagingがあるが、アコースティックウインドウと空間分解能の問題がある。
MRIは非侵襲的に全体的心機能を評価することが出来るが、コンベンショナルなシネMRIではPECやPERを評価するのに十分な時間分解能とは言えない。
○Materials and Methods
●スタディグループ
・正常コントロール群:18名(女性10名、男性8名 平均年齢43±14歳)
・心不全患者 :18名(女性5名、男性13名 平均年齢49.8±3歳)
●イメージングプロトコル
・撮像機器 Magnetom TIM Avanto Siemens
マルチエレメント フェイズドアレイコイル 腹側に6エレメント、背側に6エレメント
トリガーはprospective gated ECG
shared-echo breath-hold Ture FISPで短軸像を撮像(心基部~心尖部に6セクション)
:TR/TE 2.8/1.1ms FA 60°
256×256マトリックス 50% phase resolutionかつ60%FOV
シネ画像を作るためには、76ラインが必要
→k空間を3つに分割
中心のセグメント:20列 2.8msで2列埋める?→時間分解能は5.6ms
このセグメント埋めるのに10心拍かかる
辺縁のセグメント:[76-20]/2=28 パラレルイメージング併用しているため
セグメントに対して4列埋める 上記の5.6msのエコー時間を利用する"echo sharing"??
このセグメントの残りを埋めるのに、余分に7心拍かかる
合計17心拍+定状状態を作るための1心拍
18±4秒の息どめの間に、1周期あたり133±25フレームが得られる
●画像解析と後処理
・ワークステーション Leonard; Siemens
解析ソフト Argus;Siemens
・1症例あたり1時間…
・PEC:QRSトリガーで得られた最初の画像から、大動脈弁尖が動き出すまでの時間(ms)
・PFR:大動脈弁が閉じ出すタイミング(収縮末期)から、僧帽弁尖が動き出すまでの時間(ms)
・LVEF, LV mass, SV, CIも計算
●統計解析
SPSSを使用
SignificanceはP≦0.05
独立した2群間のGroup mean differenceは、two-tailed Student t検定
linear regression analysisのために、Pearson product-moment correlation coefficientを使用
ROC解析を行い、AUCを計算
severe systolic HFは、EFを用いて35%で2群にわける
moderate-to-severe HFは、NYHA分類で2をもとにわける いずれも治療決定に重要な数字
○Results
・症例の結果:Table.2
・MRIでのIsovlumic index Fig.4 (HF vs control)
PEC時間 91.3ms±26 vs 40.4±11.8 P<.001
PER時間 103.7ms±41.8 vs 68.3msec±26.8 P<.01
・全体的左室機能との相関 Fig.5
PEC時間は、LVEFと強い負の相関があり、LV massと強い正の相関がある
PER時間は、LVEFとやや弱い負の相関があり、LV massと明らかな相関はない
・ROC解析
PEC時間を解析し、患者の階層化のためのカットオフ値を算出
Fig.6は、severe dysfuction 70.65msで感度100%、特異度83%
Fig.7は、mild-to-severe HFの症状 70.65msで感度100%、特異度76%
○Discussion
・これまでは移植心や、先天心疾患術後フォロー、心筋梗塞後などでIsovlumic indexが検討されてきた。
現在のところ、慢性心不全は無症状のころからリモデリングが始まっているとされ、不可逆的になる前に診断されることが望まれる。load independentな心機能評価である、Isovlumic indexを用いることにより、こういった初期の変化をとらえることが可能となるかもしれない。
・リモデリングされた心筋の特徴(の一つ)
心室コンプライアンスの低下→PEC時間や、PFR時間の遅延で示される
電気的な理由(QRS時間の延長)に関しては、検討が必要
・Limitation
症状あるいは心機能がsevereな患者のみを選択している点
息どめが必要なシーケンスである点
高時間分解能を達成するために、空間分解能を犠牲にしている点(ただし弁尖の評価は可能)
等容性収縮期、あるいは拡張期の容積評価を行っていない点(あるいは行えなかった点)
→ボクセルサイズが大きい、短軸で6スライスのみ撮像している点
→view sharingを行っている点(ごくわずかに容積定量のエラーを起こす)
心拍数の変動によるR-R間隔の影響を考慮していない
●"breath-hold ture FISP with echo sharing" により高時間分解能を達成
→ theoretic load-independent windowでの心筋評価が可能となった
しかし、すごい時間分解能ですね。1症例あたりの解析時間も相当かかっています。ただし、オートマチックにできれば新しいツールになるかもしれませんね。
勉強になりました。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます