変形性膝関節症(KOA)に対するビスホスホネート(BP)の効果については、つい最近もオーストラリアからゾレドロン酸が軟骨の減少や臨床症状に影響しないという論文が出たばかりなのですが(Cai et al., JAMA. 2020 Apr 21;323(15):1456-1466)、このOsteoarthritis Initiativeからの報告は、患者のsubgroupによっては有効かも、というものです。対象にしたのは4,674名(1,977人が女性)のコホートで、ベースラインで346人が何らかのBP(69% alendronate, 19% risedronateなど)を内服していました。このコホートを2年間フォローしたところ、95人(13.8% うちBP user 35人)に単純XPでKellgren-Lawrence (KL) grade 1以上のKOA悪化がみられました。ベースラインのKL grade 0, 1の場合のBPのKOA進行に対するhazard ratio(HR)は0.61 [95% CI 0.37 to 1.00])、KL≥2の場合は0.89 [95% CI 0.52 to 1.53]といずれも有意差はありませんでしたが、propensity scoreで年齢、人種、BMI、喫煙状態、関節リウマチ、糖尿病の有無、Chalson score、転倒歴、骨折歴、スタチン使用、ビタミン内服などをマッチさせたところ、KL<2群でHR 0.53 [95% CI 0.35 to 0.79]、KL≥2群で1.06 [95% CI 0.83 to 1.35]と、KL0, 1群では有意にBP userで経過が良好でした。またBMI<25の患者(BP user 166人)に限っても同様の結果でした(KL<2でHR 0.53 [95% CI 0.35 to 0.79], KL≥2で1.06 [95% CI 0.83 to 1.35])。ということでmildなKOAではBPは有効という結論ですが、私の感想は「ほんまかいな」です。KL gradeでKOAの進行を見ているだけで臨床症状は調べていませんし、そもそもKL gradeでそんなにはっきりした進行が判断できると思えないのですが。。
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