とはずがたり

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頭蓋縫合早期癒合症モデルにおけるGli1+細胞移植

2021-01-08 11:56:40 | 骨代謝・骨粗鬆症
頭蓋縫合早期癒合症はまれな先天性疾患ですが、FGF受容体シグナルの恒常活性化が見られるCrouzon病やApert病などが有名です。放置すると早期癒合の結果として頭蓋内圧が上昇し、脳の発達障害による精神発達遅延を生じることが知られています。Saethre-Chotzen症候群は頭蓋骨縫合早期癒合を示す疾患ですが、ヘリックス-ループ-ヘリックス型の転写因子であるTWIST1遺伝子に変異があることが報告されています。この論文で著者らはTwist1のヘテロ欠損マウス(Twist+/-マウス)が頭蓋縫合早期癒合を示し、頭蓋内圧上昇および認知障害を示し、Saethre-Chotzen症候群モデルとなることを示しています。またこのマウスの頭蓋骨縫合部を外科的に切離し、切離部にGli1+ mesenchymal stem cells(MSCs)をmethacrylated gelatin (GelMA)およびマトリゲル、I型コラーゲンでできたキャリアに混ぜて移植すると、頭蓋骨縫合が再構築され、早期癒合が抑制されるとともに、頭蓋骨変形、頭蓋内圧上昇、そして認知機能低下が改善することを示しています(細胞がないと再び早期癒合が起こる)。興味深いことに、頭蓋癒合には硬膜に存在するTwist1+/- Gli1+ MSCsが重要な役割を果たしていることも明らかになりました。早期癒合患者に対しては実際に頭蓋縫合切離術が行われていますが、術後再癒合を抑制する方法としてMSC移植は有用かもしれません。
Yu et al., Cranial Suture Regeneration Mitigates Skull and Neurocognitive Defects in Craniosynostosis. CELL https://www.cell.com/cell/fulltext/S0092-8674(20)31609-3 



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