上海のCOVID-19コホートの詳細な解析です。326名から臨床・疫学データを取得し、重症度に応じてasymptomatic(n=5, 発熱、呼吸症状、画像所見ともなし), mild(n=293, 発熱および肺炎の画像所見あり), severe(n=12, 呼吸苦、24-48時間以内の肺炎像増悪あり), critical(n=16, ARDSのため補助換気必要)グループに分類しています。112例についてはシーケンスデータを解析し、9種類のprotein coding regionsにおいて66のsynonymous mutation(アミノ酸置換なし)と103のnonsynonymous mutation(アミノ酸置換あり)を見出しています。ゲノム情報から、ウイルスは大きくclade I, clade IIの2グループに分類されることがわかりました。コホートにはこれら2つが混在していましたが、武漢海鮮市場との明確な接触歴がある6例はclade Iに分類されました。Clade I, IIおよび様々な変異を有するウイルス間で重症度や臨床像などに差はありませんでした。
5例では明らかな臨床像も画像所見も呈さなかったにもかかわらずウイルスの排出が認められました。臨床検査上最も顕著な特徴は、進行性のリンパ球減少でした。CD3+ T細胞に最も影響があり、CD4+, CD8+ T細胞にも同様の傾向を認めました。興味深いのはこのような影響はasymptomatic群も含めてすべてのグループで見られたことです。一方B細胞についてはcriticalグループでのみ減少がありました。重症化するに伴ってCD3 + T細胞は段階的に減少し、CD4+, CD8+ T細胞にも同様の傾向がありましたが、NK細胞にはそのような傾向は見られませんでした。
単変量解析では年齢、入院時のリンパ球数、併存症、性別が最も重症度と関係しており、多変量解析では年齢、リンパ球減少が独立したリスク因子でした。
入院時の血清中サイトカインについては、IL-6, IL-8が最も変化しておりリンパ球数と逆相関を示しました。また発症後6-10日における最高IL-6レベルはcriticalグループで有意に高値でした。16日―20日の最高IL-8レベルも同様でした。
大体のところでこれまでの情報と大きな違いはなさそうですが、ゲノムの変異が症状には関連しないことを明確に示した点、T細胞の変化が無症状群にも見られること、IL-6, IL-8レベルと重症度との関連を示した点などが重要かと思います。
5例では明らかな臨床像も画像所見も呈さなかったにもかかわらずウイルスの排出が認められました。臨床検査上最も顕著な特徴は、進行性のリンパ球減少でした。CD3+ T細胞に最も影響があり、CD4+, CD8+ T細胞にも同様の傾向を認めました。興味深いのはこのような影響はasymptomatic群も含めてすべてのグループで見られたことです。一方B細胞についてはcriticalグループでのみ減少がありました。重症化するに伴ってCD3 + T細胞は段階的に減少し、CD4+, CD8+ T細胞にも同様の傾向がありましたが、NK細胞にはそのような傾向は見られませんでした。
単変量解析では年齢、入院時のリンパ球数、併存症、性別が最も重症度と関係しており、多変量解析では年齢、リンパ球減少が独立したリスク因子でした。
入院時の血清中サイトカインについては、IL-6, IL-8が最も変化しておりリンパ球数と逆相関を示しました。また発症後6-10日における最高IL-6レベルはcriticalグループで有意に高値でした。16日―20日の最高IL-8レベルも同様でした。
大体のところでこれまでの情報と大きな違いはなさそうですが、ゲノムの変異が症状には関連しないことを明確に示した点、T細胞の変化が無症状群にも見られること、IL-6, IL-8レベルと重症度との関連を示した点などが重要かと思います。