両者は、法定の制度ではありません。厚労省通達に言及ありますが、就業規則に規定して、取り扱い等労働条件としておく必要があります。以下厚労省通達をベースに回答します。
振替休日 | 代休 |
事前に入替える労働日と休日を指定 | 左記以外、休日に働いてから休む日を決める等 |
事前に入れ替えているので働いた日は労働日、休んだ日は休日 | 働いた日は休日、休んだ日は労働日 |
週40時間超えた部分は時間外労働、変形週休制をとっていない場合、週外に法定休日を振り出すことはできない。変形週休制も同じく、特定4週外に法定休日を振り出せない。 | 休日労働が、法定休日にあたれば、休日割増。法定外休日なら週40時間超えた部分は時間外割増。 |
振替休日とは
振替休日は、休日を労働日とする、あらかじめ使用者が命じる業務命令です。そのためには未到来の「休日」と「労働日」を日付特定し、入れ替え指示をします。これにより、入れ替えられた元休日は通常の労働日となり、元労働日は通常の休日となります。
後付けで指定したり、入れ替える日を特定しないでした命令は、単に休日出勤命令で、振替休日にはあたりません。それで休ませた場合は、次に述べる代休です。
振替休日によって、法定休日を週外、または変形週休制における特定された4週枠を超えて入れ替えすることはできません。また入れ替えにより、法定労働時間の週40時間を超えた労働は、時間外労働として、時間外割増賃金が必要です。
代休とは
休日労働した労働者に対し、後付けで通常の労働日を労働者が休めること、または使用者が休ませることをいいます。休日労働しなくとも累積した時間外労働を、ある一定の規則のもとで休みとする場合も、就業規則に規定し代休とする場合もあります。
代休日が、無賃または賃金控除するかは就業規則の定めるところによりますが、労働者が希望して代休する場合はノーワークノーペイが可能です。一方で、使用者が休ませる場合は、使用者責めの休業に該当しないものとして、就業規則に無給の代休の制度を制定しておく必要があります。いずれの場合でも、休んだ(休ませた)からといって、代休日が休日に転化しません。休んだ(休ませた)労働日は労働日のままです。
なお、休日労働につていは、代休させたとしても時間外労働・休日労働させた場合の法定割増賃金支払い義務は免除されません。ただし時間外労働にあたるかは、週40時間枠で判定するので、同一週に休ませた、あるいは同一週に年次有給休暇をとったなど、実働40時間に収まるなら、時間外労働にあたらない場合があります。
給与との関係
振替休日、代休共に労働日と休日の関係であって、その場合の賃金が支払われる控除されるのかは、お勤めの就業規則(支払い規定)によりますので一概にはいえません。おおよそのことを表にしてみました。
振替休日 | 代休 | |
日給制 | 働いた日数分の賃金がでる。時間外労働にあたれば、1.25倍割増賃金支払い。 | 左に同じ。代休日は無給可 |
月給制 | 変動なし。上表参照、時間外にあたれば、割増の0.25部分支払い。1.00部分は所定賃金として支払われているため。 | 休日の賃金支払い、代休日の賃金控除 |
完全月給制 | 上に同じ | 左に同じ |
小学校の運動会
小中学生だった時分、日曜日運動会の振替休日がありました。それをそのまま大人の会社でも行っていいのだから、ここに書いた代休を振替休日と呼んでいいじゃないかと、お考えの方がいらっしゃいますでしょうか。
社内の制度をなんと呼称しようと社内に限り通用しますが、外部では国(厚労省)の通達をベースに論考が積み重なっていますので、それにあわせて質問しないと、語彙の齟齬を埋める手間、場合によっては無駄な論議に勃発してよけいな時間を食っていしまいます。
さて、小学生の運動会ですけれど、日曜運動会でお休みは翌日の月曜とあらかじめ日程が決まっているのが普通ですから、これはれっきとした振替休日です。日曜の運動会終わってから、さてお休みをいつにしようか(こちらが代休に相当)といっている学校はまずないでしょう。
日曜開催の運動会の振替も、ここでいう振替休日だということです。
(2018年01月14日投稿、2021年10月10日編集)