週1休日を要求する週休制の例外として、4週4日の変形週休制(または変形休日制ともいいます)を労基法は認めています。なぜかこれをもじって月4休日あればよい、という記述を散見します。週休制でも月3休日ですむ場合(表1参照)もありますし、4週と月とは後述しますがずれにずれていきます(表3参照)ので、休日のない月も設定可能です。どうして可能かというと月半ばに4週の切れ目があり、前の月、のちの月にそれぞれ4休を配してしまえば、無休の月が出来上がります(表2参照、それでも日8時間以下、週40時間以下を厳守、または一か月単位の変形労働時間制にして週平均40時間以下に抑える)。同じ理屈で月8法定休日のある月だって生じます。月と4週は連携しないからです。
(表1)月3法定休日の例。法定休日を赤色で網かけしています。法定休日はどの週も1日確保されている「週休制」にもかかわらず、月内の法定休日数は3日。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
(表2)無休の月の例。月のなかばに4週の切れ目が来る場合、前の月とのちの月に法定休日を配してしまえば、無休の月が可能。逆に月内8法定休日も可能。
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | ||
6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 | 12 |
13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 | 19 |
20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 | 26 |
27 | 28 | 29 | 30 | 31 | ||
こういった暦月とは相いれない4週刻みの変形週休制をとる業態はあるのでしょうか。変形週休制、たとえば病棟看護師さんや福祉施設の日勤夜勤いりまじって不規則にとる業態によく利用されています。1勤務8時間、夜勤は2コマ16時間勤務で、みな公平に20コマ(160時間)配分するといった使い方です。月刻みだと曜日の数が月により不均一なので、公平性をたもてずやり繰りが大変です。4週だとつねに曜日の数がそろうので、夜勤の多寡も一目瞭然です。勤務予定表は4週ごと定期的にたてる一方、月の勤務記録表は、その実績どおり書いて提出するだけです。ただこれだけですと、4週シフトでまわす1カ月単位の変形労働時間制ですみます。日勤夜勤に加え半日の外来応援といった形ですと、ある週に休日が1日もないというのに備え、4週の変形週休制をとっておくケースがあります。
さて本題、その変形週休制で運用するうえで、4週は毎回同一曜日で開始する、月とは連動しない独特の暦の区切りですので、注意が必要です。まず、令和3年の4週カレンダー(起算日と終期の一覧)を見てください。
(表3)
1 | 令和3年1月3日(日) | 令和3年1月30日(土) |
2 | 令和3年1月31日(日) | 令和3年2月27日(土) |
3 | 令和3年2月28日(日) | 令和3年3月27日(土) |
4 | 令和3年3月28日(日) | 令和3年4月24日(土) |
5 | 令和3年4月25日(日) | 令和3年5月22日(土) |
6 | 令和3年5月23日(日) | 令和3年6月19日(土) |
7 | 令和3年6月20日(日) | 令和3年7月17日(土) |
8 | 令和3年7月18日(日) | 令和3年8月14日(土) |
9 | 令和3年8月15日(日) | 令和3年9月11日(土) |
10 | 令和3年9月12日(日) | 令和3年10月9日(土) |
11 | 令和3年10月10日(日) | 令和3年11月6日(土) |
12 | 令和3年11月7日(日) | 令和3年12月4日(土) |
13 | 令和3年12月5日(日) | 令和4年1月1日(土) |
令和4年1月2日(日) | 令和4年1月29日(土) |
同一曜日にはじまり年13コマと1日あるのがおわかりいただけるでしょうか。
年は365日(うるう年はもう1日多い)で、28日で割ると、13セットと1日(うるう年なら2日)余るので、年とは相性がいい?ものの年12ある暦月とは相性が悪い?のです。そこで変形週休制をとる場合は、起算日を就業規則に特定しておく必要があります(施行規則12条の2(2))。特定しますので、任意にとった4週といった運用はできません。
規定例 |
令和2年1月5日(日曜日)を起算日とする4週4日の変形週休制とする。 |
こういった規定のしかたは、数年たつと古くなった日付まで遡らなくてはならず、不便です。不便を解消するため就業規則改定のおりに、当年の日付に変更しておく手間がかかります。
次回改定時の表示例 |
令和4年1月2日(日曜日)を … |
数年に1度、たまに単独1週をはさんでよいなら、「毎年1月の第1日曜日をもって変形週休制の起算日とする」という規定のしかたもあります。この場合数年に1度、その年最終4週と新年第一4週との間に単独1週が生じます。その単独週だけ週休制とするただし書きをつけておきます。また、どうしても月と連携させたい場合です。「毎月1日開始」等は、毎月ことなる曜日開始となり週と相いれないので不可(年も同様に「1月1日開始」等は不可)ですが、たとえば「毎月第1日曜開始」と曜日指定で規定すれば月との連携がうまくいきます。それでも何か月に1回は1週あますので、年と同じでその週だけは最低1休日の週休制とする旨、ただし書きされるといいでしょう。以上、就業規則のメンテナンスしなくてすむ例です。
最後にさて、こういった4週刻みの変形週休制をとる業態は、たとえば病棟看護師さんや福祉施設の日勤夜勤いりまじって不規則にとる職種によく利用されています。1勤務8時間、夜勤は2コマ16時間勤務で、みな公平に20コマ(160時間)配分するといった使い方です。月刻みだと曜日の数が月により不均一なので、公平性をたもつやり繰りが大変です。ここまででしたら1カ月単位の変形労働時間制を4週でまわす話ですむのですが、さらに外来の応援に半日0.5コマ組むとなる体勢ですと、休日数が確保されているかの話になります。この4週だとつねに曜日の数がそろうので、夜勤日勤半勤の多寡も一目瞭然です。月単位で予定を組むのになじんでいると、4週の周期性がしっくりこないようですが、勤務予定表は4週ごと定期的にたてる一方、賃金計算の月締めの勤務記録表は、その実績どおり書いて提出するだけです。
(2019年12月13日投稿 2022年3月7日編集)