佐久市 ヤナギダ 趣味の店

長野県佐久市野沢93番地
ヤナギダ☎0267-62-0220

“巻き返し”

2020-01-12 12:14:37 | 日記
人生のど真ん中での
巻き返し。

「四十にして惑わず」(『論語』
為政)
男にとって四十歳は、その後の
その人の人生における幸・不幸
を決める節目に思えます。

四十歳の男の不幸の最大要因は、
「迷う」ことにあると塩野七生
さんは言う。

「四十歳になってもなお男が
迷うということは、自分の進む
べき道を見つけていないから。

見つけたとしても、自分の能力
が十分に発揮され、他からも認
められるという確たる自信が
持てない。

それは、自分が意図してきたこ
とが、四十代になって実現しな
いせいだ。

この種の男は、五十代、六十代
になったら希望が持てるかとい
うと、ほとんどの場合そうでは
ない」

こうならないためには、模索の
年代である二十代にどれだけ
“無駄”とたくさんの恋をし、

三十代に方向を決めてどれだ
け努力したかが問われること
になる。

仕事と女は裏切らない。仕事
ができる男には必ずイイ女が
いる。

女はよく見ています。
四十代は一日にして成らずで
ある。

不幸にしてそういった蓄積な
しに四十代になってしまった
人は、どうすればいいのか。

幸・不幸は職業や地位に関係
ありません。

今の仕事を天職と思って精一
杯努力することです。
自分の仕事を満足してやれる
人は、世間の評価はどうあれ
幸せなのです。



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「覚えていますか」

2020-01-12 11:52:50 | 日記
覚えていますか?
あなたは、あの日のことを。
覚えていますか?わたしのことを。

わたしたちが出会って、ぶつかって、
ふたつの心がばらばらと音を立てて
砕け散った、あの場所のことを。

わたしは覚えている。たとえあなた
が忘れ去っていても、死ぬまで
二度と思い出しもしなくても、

わたしだけは、忘れない。忘れる
ことなどできない。なぜなら、
あなたという人はあの日、あの
場所で、わたしに刻まれた痕跡
だから。

わたしという女に、この人生に
標された、あなたはマイルスト
ーンだから。

あなたは古い地図。
あなたは壊れた方位磁石。
そしてあなたは、牙を剥いて荒れ
狂う、真冬の海辺に立つ灯台の
明かり。

あなたはわたしを迷わせ、わたし
を引き寄せる。希望なのか絶望
なのか、救いなのか破壊なのか、
わからない―――それらのどれで
もない、

それらのすべてを孕(はら)んだ
光を放ちながら。



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長く短い祭

2020-01-12 10:00:51 | 日記
別れたのは、ふたりの関係がも
はやエキサイティングではなく
なってしまったからだ。

彼が野獣で彼女が娼婦を演じて
いた頃の、あのぞくぞくするよう
な味わいが消えてなくなってし
まったからだ。

それでも男と女の間に「会話」
が成立すれば、ふたりの関係は
愛人関係から友情へとすみやか
に移れるのだが。

会話も無いとなると、お互い
の前からお互いが消えること
しか望まなくなる。

そうやって「関係」が終わる。

楽しくもなく、哀しくもなく、
わずかに薄汚れて。

YouTube
椎名林檎 - 長く短い祭 from百鬼夜行

https://www.youtube.com/watch?v=YLfkgo-3_sk



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「自灯明」

2020-01-12 08:19:11 | 日記
ある高僧に訪ねた。
「ご老師はお化粧について、
どのように思われますか」

「化粧か、あれは岐阜ちょ
うちんみたいなものだな、
中に灯がともらないと
ほんとうに美しくないだよ」

「自らを灯明とし、自らをよりど
ころとせよ、他を頼りにしては
ならない」

心は人を仏にし、また、畜生
にする。迷って鬼となり、
さとって仏となるのもみな、
この心のしわざである。

中に灯のともった岐阜ちょうちん
のように美しい気持ちで日々
過ごしたいものである。


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「優しい人」―女の予感―

2020-01-12 07:56:31 | 日記
「もう行かなきゃ、遅れてしまう」
と、言うのはいつもわたしのほう
だった。優しい人が上りの最終電
車に乗り遅れてしまうことを、心
配していたわけではなかった。

「もう行かなきゃ、遅れてしまう」
台詞(せりふ)を、わたしは優しい
人の口からは、聞きたくなかった
のだ。

それから、玄関のドアが開いて、
ドアが閉まる。駐車場で、優しい
人がバイクのエンジンをかける
音がする。今夜は絶対に見送る
まい、と、心に決めていても、
バイクのエンジン音を聞くと、

わたしは転がるようにベラン
ダに出て、バイクに乗って去
ってゆく優しい人の姿を見送っ
てしまう。優しい人は二階を
見上げ、ベランダに立っている
わたしに向かって、手を上げる。

優しい人はそのとき、どんな顔
をしていたのだろう。わたしの
目は涙で曇っていたから、優しい
人の表情は見えなかった。

優しいに人に、わたしの顔は、
見えていたのだろうか。

その夜、いつものように打ち捨
てられたわたしは、いつもと違
った行動に出た。
裸の上にコートを羽織り、財布と
鍵だけをポケットに入れ、素足を
ブーツに突っ込んで、部屋を飛び
出した。

川を渡る前から、わたしは車を
捕まえるために手を上げていた。
急ブレーキの音がして、個人タク
シーが止まった。わたしの目の
前で、ドアが開いた。

「山科駅まで。急いで下さい
ますか」
「はい」

駅の構内にはまだ、優しい人が
いるはずだ。ゆっくりとホーム
に入ってくる最終電車を、優しい
人は待っている。優しい人が電
車に乗ってしまう前に、

どうしても会いたい。一瞬だけで
も会えたら、それでいい。会って
「おやすみ」と言えたら、それで
いい。そうしても、そうしなくて
はならない。今夜は。
「このへんでええすか?」
「はい、ここでいいです」

わたしは走った。死に物狂いで
走った。

優しい人は売店のそばに立って
いた。見えたのはうしろ姿だった。
わたしに背中を向けて、優しい人
は電話をかけていた。黄緑色の
公衆電話だ。

優しいが
電話をかけている!
どこへ?
どこへ?
どこへ?
心臓が止まりそうになった。

「これから帰るよ。今、電車が
来たから」
そんな声が今にも聞こえてきそう
で、わたしは思わず両手で耳を
塞いだ。

「あなた」
「お、どーした。何があったか」
優しい人はそう言った。思わず口
をついて出た、というような言い方
だった。
優しい人はそう言った。思わず口
をついて出た、というような言い方
だった。

「会いたかったから」
と、わたしは言った。
「もう一度、会いたかった――。
もう一度会って――――」
わたしの声はかすれていた。呼吸
も荒かった。頬には乾いた涙が
こびりついていた。

「おやすみなさいが言いたくて」
優しい人が何かを言おうとする
よりも先に、電車のドアが開いた。
反射的に、優しい人は電車に乗って
しまった。

電車のドアが閉まった。
優しい人を乗せた電車は走り出した。
わたしはホームに取り残された。

何も変わらないのだ、と、わたしは
思った。優しい人の世界のなかにお
いて、わたしはその一部に過ぎず、

わたしの世界のなかにおいて、優しい
人はすべてだった。
永遠に重なりあうことのないふたつ
の世界。

世界と世界を切り分けて、渺
々(びょうびょう)と横たわる桟橋
のない海。深夜の駅で、胸の奥から
大量の血を流しながら、わたしが
目にしたものはそれだった。


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「あとで・・・」

2020-01-12 07:53:22 | 日記
悲しみなさい
あとでむかえにくるから

行きなさい
あとで抱きしめてあげるから

まちがったとしても
あとで、すべてを聞いてあげるから



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『ベルベットハンマー』Ⅱ

2020-01-12 06:33:34 | 日記
いったい何が悲しいの?

名づけようのない種類の涙を手の
ひらで拭って、あなたは製氷室か
ら氷の入った容器を取り出し、
ぶあついウィスキーグラス―――
夫が愛用しているもの――に、
あふれんばかりに氷を満たす。

そうして、氷の山の上から、ウ
オッカ――夫の好きな銘柄を常備
してある――を注ぎ込み、グラス
のなかで数回揺らしたあと、ぐい
っと喉の奥に流し込む。

軟体動物のように身をくねらせな
がら、喉から食道を伝わって、胃
袋へと滑り落ちてゆく、苦しみと
渋みと、心の痛みにも似た味。

あなたの背筋はぞくっとする。
背中はひんやりしているのに、
胸は焼け焦げた導火線のように
熱い。

それから、冷たいベットの上に
身を横たえて、あなたは読みかけ
の本を開く。

強いお酒をちびちび舐めるように
飲みながら、好きな作家の書いた
小説を何ページか読んでいるうち
に、まぶたが重くなってくる。

夫のいない夜、あなたはいつもこ
んな風にして、孤独だけれど安らか
に眠りの世界に誘われていくのが
常だ。けれど、今夜はまったくそう
ならない。

読めば読むほど目が冴えてきて、飲め
ば飲むほど意識が覚醒してくる。なぜ
ならその本のなかで、あなたと同じよ
うに夫も子どももいる三十代の主人公
が、道ならぬ恋に落ちてしまっている
から。

ページを捲る手を止められない。こん
なにも主人公に自分自身を重ねてしま
うのは、初めての経験かもしれない。

恋人とベットを共にしたあと、家に
もどって、バスルーム―――そこで
しか、主人公はひとりきりになれない
―――の床にうずくまって泣く女の
姿が、今の自分の姿、そのものの
ように思える。

主人公の吐き出す言葉のひとつひと
つが、心臓に突き刺さるように響く。
やがて、あるページのある一行まで
たどり着いた時、あなたは、そこに
指を挟んだまま閉じた本を胸の上に
のせて、蜘蛛の糸のようなため息を
漏らす。

 主人公は真夜中、夫の隣で規則
正しい夫の寝息を聞きながら、恋
人からもらったばかりの愛の言葉
を胸によみがえらせている。

―――毎日、会いたい。
―――毎晩、抱きたい。
―――朝から晩まで一秒も、離れたく
   ない。
嘘と真実がきっちり半分ずつ、混じり
合ったような言葉をなぞりながら、
主人公はつぶやく。「彼の言葉はわたし
にとって、ベルベットハンマーの
ようだ」と。

この一行に、あなたもまた、柔らかな
ハンマーで、頭を強く殴られたような
気がしたのだった。

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