母も叔母も、結婚に大失敗して
いる。
しかもふたりとも、大恋愛の末
に結ばれた恋愛結婚。
母はどう思っているのかわから
ないけど、少なくとも叔母は、な
んとしてでも
わたしには「幸せな結婚させたい」
と願っている。そしてそれは、お
見合いによってこそ、可能になる、
と。
その気持ちは、ありがたいと思う。
思うけれど、お見合いなんて―――
わたしには、関係ないもの。
結婚を前提にして、誰かに会う
なんて、馬鹿げている。順序が
逆だし、動機が不純。
それに、あらかじめ「だいたい
こんな人」とわかっている人に
会っても、
ときめきもなければ、驚きも
発見もないではないか。その人
に恋することも、おそらくない
だろう。
恋がなくては、愛は始まらない。
などと、偉そうな口をきいた
わたしを、叔母は笑い飛ばした。
「英美ちゃんはまだ、なんにも
わかってないの。あのね。恋愛
と結婚は、まったく別のものな
の。一緒くたにして考えちゃ、
だめ。
結婚は、ふたりでこつこつと築
いていくものなの。
築いていく過程で、愛も絆も
深まっていくものなの。人生の
大切なパートナーを見つけるた
めには、偶然の出会いや、アク
シテントみたいにして始まった
恋愛だけに頼るなんて、
無謀なことだと思わない?
相手のことを、何も知らないま
まで、恋に走っていくなんて、
とっても危険なことでしょう。
その点、お見合いなら安全性が
高い。ある程度、どんな人なの
か、わかっている人と会って、
それから思う存分、恋愛すれば
いいじゃない?
ね、苦い人生経験者の話には、
素直に耳を傾けるものよ」
反論する気になれなくて、黙
っていると、叔母はにっこり
笑って、わたしの肩をポンと
叩いた。
「とにかく、一度だけ、会って
みなさい。堅苦しく考えないで、
何かひとつ、新しいことを始める
んだっていうような、そんな気持ち
でいいんだから」
新しいことを始める。
その言葉に、背中を押されたような
気がした。
新しい恋を始める。
頭の中で、勝手に「恋」と言いかえ
ていた。
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