「えっ、鹿が来るの?ここまで」
「必ず来るよ。一緒に見ようね。」
あの朝から、一年半。
手をのばせば、触れることのでき
たところにいた人が、今はもう
どこにもいない。
囁きも吐息も、愛の言葉も約束
も、まだここにあるのに、彼は
いない。
わたしはここにいるのに、彼は
どこにもいない。
ゆるゆると下りてくる、秋の
夕闇の帳に包まれて、わたし
は部屋の明りを灯すのも忘れ、
パソコンのモニターの放つ、
人工的な光を見つめ続けて
いた。
忘れなくてはならない、と
思っていた。そのための努力
をしなくては、と。
『黒うさぎ絵本館』のページ
にアクセスして切りかわった
画面に、レイアウトされてい
る白い余白を、束の間、眺めた。
「黒うさぎさん」はあの人では
ないと、わかっている。
わかっているけど、書きたい。
わたしはここにいる、と伝え
たい。
誰に?
誰かに。
YouTub
晩夏(ひとりの季節) 荒井由実
https://www.youtube.com/watch?v=fccIHbtqUKo
「必ず来るよ。一緒に見ようね。」
あの朝から、一年半。
手をのばせば、触れることのでき
たところにいた人が、今はもう
どこにもいない。
囁きも吐息も、愛の言葉も約束
も、まだここにあるのに、彼は
いない。
わたしはここにいるのに、彼は
どこにもいない。
ゆるゆると下りてくる、秋の
夕闇の帳に包まれて、わたし
は部屋の明りを灯すのも忘れ、
パソコンのモニターの放つ、
人工的な光を見つめ続けて
いた。
忘れなくてはならない、と
思っていた。そのための努力
をしなくては、と。
『黒うさぎ絵本館』のページ
にアクセスして切りかわった
画面に、レイアウトされてい
る白い余白を、束の間、眺めた。
「黒うさぎさん」はあの人では
ないと、わかっている。
わかっているけど、書きたい。
わたしはここにいる、と伝え
たい。
誰に?
誰かに。
YouTub
晩夏(ひとりの季節) 荒井由実
https://www.youtube.com/watch?v=fccIHbtqUKo