幼いころ、よく「影踏み」という
遊びをした。鬼ごっこのバリエー
ションで、鬼は相手の影を踏む。
踏まれたら、今度はその人が鬼。
つまりその遊びにおいて影は、
その人の一部分、あるいはその
もだった。
“その肩にわが影法師
触るるまで
歩み寄りふとためらひ止みぬ“
「その肩」、ひそかに恋心を寄せて
いる相手・・・・・
その人は、背を向けて立っている。
近づきたい思いと、近づきがたい
思いと、その葛藤のなかで、
そっと自分の影法師を、相手の
肩に触れさせようとした。
影法師は、「影踏み」のように、
本人の一部分であり、さらには、
魂そのものだ。
そして結局、影を触れさせる
ことができずに立ち止まって
しまった。
物理的にはかなり接近して
いるのに、心理的な気の
遠くなるような遠さ。
あなたにとっての「影」は誰
ですか・・・。