音楽評論館

音楽評論やコラムなどを執筆してます。

「酒器の美に酔う」展@静嘉堂文庫美術館

2018-06-16 18:40:15 | 美術館展
音楽ではないのですが、静嘉堂文庫美術館で、今日(6/16)まで開催されていた「酒器の美に酔う」展を見に行ってきました。ぴあポイントと交換したので、入場料は無料でしたが、渋谷から二子玉川へ、そこからバスで美術館まで15分位、敷地内に入るとちょっとした山道になっていて、美術館に辿り着くまで、いい散歩になりました。
今回の展覧会の中心となる展示物は、日本の幕末・明治時代の貴族や大名家や豪商らから高く評価された、茶器、酒器、花入、釜、水指、瓢箪、茶碗、鍋、徳利、瓶、組盃など。いずれも造りが精巧で、細かな装飾や模様が施されていたり、多彩な色彩と表現力で、様々な文様などが描かれていて、小さい美術品ではあるが、確かな存在感を感じられた。中でも、今回の美術館展では、南栄時代(12〜13世紀)に造られた「曜変天目」という建窯が、国宝に指定されていて、神秘的な魅力を放っていた。
他にも、重要文化財に指定された作品もいくつかあり、なかなかの見応えを感じた。フロアはミニマルな感じでしたが。普段は、西洋の美術を見ることが多いのですが、たまには、和の雰囲気を感じる時間があってもいいと思いましたね。美術館内は、写真撮影は禁止。途中で充電が切れたので、美術館の外観すら撮ることが出来なかったのは残念だった。


帰りに、限定販売の冊子を2冊購入。詳しく解説してあるので、また後で読み返したら、今日観に行ったことを、思い出すことが出来るかも。

『シャセリオー展』

2017-04-09 18:56:19 | 美術館展




シャセリオー展を見てきた。19世紀フランス・ロマン主義を代表する画家が描いた静謐な作品『カバリュス嬢の肖像』から、戯曲『シェイクスピア』をモチーフにした作品まで。神話や文学を題材にした作品が多かった。物語性も感じられる繊細な色彩感覚。象徴派、印象派にも通じる優美な作品を楽しめた。

美術館展の半券で入れる、常設展では、エル・グレコ『十字架のキリスト』と、ヨハネス・フェルメール『聖プラクセディス』が印象に残った。
どちらも、仄かな血の匂いが漂ってくる、冷たさのある作品だ。
(一部を除き、常設展の作品は、撮影可能)
閉館時間が迫っていたので、全てをゆっくりと見れなかったのが残念。
急いで帰る途中に、マリー・アントワネットもちらりと見えた。
また機会があれば行きたい。

ルノワール展@六本木 国立新美術館

2016-08-21 18:24:17 | 美術館展


開催期間が終わりに近づいてきたので「ルノワール展」に行ってきた。

画家のルノワールは、少年時代、作曲家のシャルル・グノーが率いる聖歌隊に入っていたそうで、音楽家や音楽評論家との交流もあったそうだ。

ピアノを始め、弦楽器が描かれた絵画も見ることができた。久しぶりに綺麗な色彩の絵画が多く、見ているだけで、穏やかな気持ちになれましたよ。

こちらのリンクから「第8章 《ピアノを弾く少女たち》の周辺」を、押下(クリック)すると、ピアノの絵画が見れる。
ルノワール展

カラヴァッジョ展

2016-06-12 13:39:56 | 美術館展


カラヴァッジョ展、最終日に観に行って来ました。

写実的な明暗法を用いた、光と闇の対比は実に素晴らしかった。人物像は、忠実に外見を描くこと以上に、内面の性格や感情表現やストーリー性を緻密に描写して、堂々たる存在感のある人物に仕上げている。
意図的に静物と肖像の描写を変えたり、遠近法を使った構図や、大胆な筆致による色彩などは、スペインの画家、エル・グレコあたりに通じるものがあるのではと感じたがいかに。
(緻密さにおいては、両者かなりの違いはあると思うが)
カラヴァッジョは個人主義で、他の画家の作品を認めようとはせず、自分自身の作品こそが、世界で最も素晴らしいと思っている、他に類を見ない独創的な画家である。

なお、本展ではカラヴァッジョ自身の作品は12点で、残りはカラヴァッジョに関連する作家の作品である。
バルトロメオ・カヴァロッツィの『アミンタの嘆き』、オラツィオ・ジェンティレスキの『スピネットを弾く聖カエキリア』などは、今にも笛の音や、鍵盤の音色が聴こえてきそうな、音楽をテーマにした作品も中にはあった。

本展にて世界初公開となった『法悦のマグダラのマリア』は、殺人を犯して逃亡中に描いたとされる、長らく発見されなかった貴重な絵画である。
殺人者の計り知れない心境や、これまでの内省的な絵画を凌駕する、鳥肌が立つような恐怖を感じさせる、傑作をついに見ることが出来た。

次は、今年4月に発見された推定150億円の『ホルフェルメスの首を切るユディット』が来日することを願う!


『法悦のマグダラのマリア』


『アミンタの嘆き』


『スピネットを弾く聖カエキリア』