2018,5.25(fri)モーリス・ブルグ(Oboe)を迎えて@東京藝術大学奏楽堂
《第1部》ヴェルサイユのクープラン
類い稀な楽器(オーボエ、ヴィオラ・ダ・ガンバ、クラヴサン、ヴァイオリン、ファゴット)による、室内楽コンサートということで、興味を持ち、今日は聴きに行くことになった。
第1部では、J.S.バッハと同時期に多数の傑作を残した、プーランクの演奏を聴くことが出来た。演奏が始まる前に、パンフレットの解説に目を通してから聴いていたが、少し、難解な構成だったように感じた。
予定変更となった、最初の演奏《趣味の融合、または新コンセール集第7番》では、特に、クラヴサンの演奏が印象的で、煌びやかに輝きを放った音色、心の内面を鋭く抉るような独特な響きで、他の旋律楽器(オーボエと、ヴィオラ・ダ・ガンバ)を支えるように、上質な静寂を奏でていた。
次には、《クラヴサン曲集第3巻》では、贅沢にも、クラヴサン一台で弾かせて、じっくりとその音色を堪能できた。
第1部最後となる《諸国の人々》では、オーボエ、ヴァイオリン、ヴィオラ・ダ・ガンバ、ファゴット、クラヴサンの編成で、お互いの本来の音色が混ざり合い、未だかつて聴いたことが色彩感に溢れた演奏を聴くことが出来た。この曲のクラヴサンは、数字付き通奏低音が指定されていて、数字によって表された和音の種類に従って両手を使って奏者の判断で音楽を創っていく。という演奏をしていたようで(パンフレットの解説より)、他の楽器パートに関しても、決まった楽器指定がなく、低音の旋律以外は何も書いていなかったようである。練習はしてきていると思うが、その場限りの、即興演奏を盛り込んだ演奏だったとしたら、なお凄いかも。
《第2部》フランス管楽器の新たな開花
女性陣は爽やかなカラーのドレスを身につけ、男性陣はブラックのスーツを身につけ、颯爽と登場。高木綾子さんは、爽やかなブルーのドレスを身につけて、凛とした立ち振る舞い。第1部では、あまり慣れていない古風な雰囲気すら漂っていたが、第2部は、始まる前から、まずは安心感を得られた。
ステージ上に、半円形状に並んだ椅子に、各楽器の演奏者が座り、演奏が始まると、バトン・リレーのように、次々と主題を構成する旋律を、次の奏者に、受け渡すように、展開していき、曲を完成させていたようである。既に作曲家の意図を、各々が理解している者にしか成し得ない演奏。華やかな音色がふわりと螺旋状に回転しながら、空高く飛んでいくように、そこに留まることなく、後方の席で聴いている観衆たちの耳にも、振って舞い降りるように、会場全体が素晴らしい音色に包まれていた。
心地よい演奏を満喫できた。
高木綾子さんと、荒木奏美さんの演奏は、職場(日本赤十字社)の献血チャリティ・コンサート以来、聴くことが出来た。
やはり、馴染みのコンサートホールでの演奏は、安心感があったように、感じられた。