Archaic Smile

私的な備忘録です。

選択と集中⇔リスク分散(ポートフォリオ)

2012-02-04 15:54:40 | Weblog
シャープ他家電メーカの巨額の赤字見通しを見ていると経営判断はつくづく難しいなと感じる。選択と集中といっても、数年前の外部環境において、単純に伸びている事業に研究開発や設備投資を集中すればよいというわけではなかったのだろう。選択と集中は、精度高く(でもリスクの幅を持って)外部環境の変化を見通しながら組織の全体最適化(早めの構造改革)のスローガンとして取り組むべきもののように思う。

液晶TVや太陽光パネルは、数年前でも韓国や台湾や中国がキャッチアップしていることは自明であったし、日本製の性能のよい生産設備や素材・部品なども、じゃんじゃん輸出されていた。外国の政府主導による通貨安誘導(価格競争力支援)や、大胆な設備投資により規模のメリットを最大化しながらマーケットから競合他社をたたき出す・占めだす戦略は周知の事実であった。リーマンショックやギリシャショックで先進国マーケットがシュリンクする可能性があることも十分に想定できた。中国バブルがどうなるかは、まだ未知数なるも、これらの外部環境の変化は経営者はある程度予測できたはずだ。

財政破綻しかけている先進国政府が繰り出すエコポイントやグリーンニューディールなどの短期的な梃入れ策や財政政策に期待を寄せたのは理解できるが、東北大震災や原発事故は予想できないとしても、結果的には見通しが甘かったのだろう。

事業を絞り込んだ結果、中核事業がすべて競争に勝てなくなったらリカバリーする方法論は、現在進行形の半導体メーカが辿っているいばらの道をなぞるだけになるのだろうか。激しくリストラせざるを得ないのだろう。再編するにしてもそれでも勝てない。非常につらい話だ。

日本は平和だった。そして友愛の海は果てしなく広がり、まじめで親切な日本人は、世界に対して試行錯誤の苦労の末に手に入れた貴重な技術情報をただ同然で提供(もしくは抜き取られ)し、日本独自の素材や部品や生産設備を簡単に輸出し、国家とタッグを組んだ経営スピードの早い海外の競合企業をどんどん勢いづかせながら、自滅の道を辿っているようにも見える。

いまの政治家・役人・財界のリーダーからは国民を食わす為にどうすべきかという気迫はまったく感じられない。国会における政治家の発言を聞いていても、国家戦略など皆無なことは明らかだ。TPP推進で残された内需のマーケットを外国企業に開放しようとするお人よしぶりも腑に落ちない。

日本人の強みとは何なのであろうか、日本人は何を守らないといけないのであろうか。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 次は想定内の大地震 | トップ | 2009/2/21 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

Weblog」カテゴリの最新記事