"Stand"1969 "There's Riot Goin'On"1971
"Fresh"1973
Sly & the Family Stoneが発表したアルバムのうち,1969年に発表した"Stand",1971年の"There's Riot Goin'On",1973年の"Fresh"は別格です。「別格」という理由は他のアルバムと比べて明らかに出来が良く,また,この3作品で新しいブラック・ミュージックシーンを作り上げてしまったからです。
"Stand"
ブラックミュージックの歴史に残る傑作。コマーシャル性に富んだ曲に加え,彼らの思想を上手く表現したメッセージ性のある歌詞,そしてロック・ミュージックにファンクのノリを加えたサウンド。
"There's Riot Goin'On"
Standから2年のブランクをおいて発表。このアルバムは,いわゆる黒人音楽でも白人音楽でもなく,リズムボックス,シンセサイザーなどの電気楽器を使い,Sly独特の音世界が提示される。前作に比べては対象的な「静」のイメージ。
"Fresh"
前2つの傑作に比べ音楽業界における革新性はないが,ファンには人気の高いアルバム。あまりにも両極端すぎる"Stand"と"There's Riot Goin'On"に比べ,比較的聴きやすいポップさが人気の理由。
・・・というのが一般的な評価になるのでしょうが,とにかくこの3作品は,ブラックミュージックが,JAZZ,BLUESからFUNKへの移行する様子がわかるという意味で聞く価値アリでしょう。Miles Davis,Muddy Waters,James Brown,Stevie Wonderも真っ青,後にPrince,Michael Jackson等がPOPな世界を築くまでの第1STEPとなった音楽であることには間違いありません。
特に・・・"Fresh"が最高なのです。前作"There's Riot Goin'On"の制作途中でベースのLarry Graham,ドラムスのGregg Erricoが脱退し,本アルバムはAndy NewmarkとRusty Allenの2人を加え制作が行われました。シングルカットされた"If You Want Me To Stay",クールなフャンクナンバー"Babies Makin'Babies",オープニングの"In Time"等・・・ギター,オルガン,ベース,ホーン,ドラムス,ホーンセクションがスローな中に抜群にタイトでファンキーな雰囲気を出しています。特にリズムセクション(ベース+ドラムス)は,今までで最高と思っています。
この後Slyは麻薬への依存が強まり死の一歩手前までになってしまいます。この時代,Jimi Hendrix,Janis Joplinと同様,命を削って音楽に打ち込んでいたのでしょう。Slyは時代を変えましたが,ブラック・ミュージックの発展は後輩に譲ったのでしょうね~