【 第1回から最新回まで164作をランク付け! 掟破りの日本文学史 】
お前の判断基準は何なのだ、と問われるかもしれない。
かねて言っている通り、文学にせよ音楽、美術、演劇にせよ、普遍的で科学的なよしあしの判断というのはできない。
ただ多くの古典的なものや批評を自分で読んだりして、自己の責任で判断するものだ。
もちろんその際に、さまざまな批評用語(これは「批評理論」のことではない)を用いて弁論するのは当然のことだ。
しかし、ここで必要なのは「対話的精神」である。自分がよくないと思った作品でも、他人がいいと言ったら、その言に耳を傾ける必要がある。
(本書「まえがき」より)
芥川賞候補に2回なった現役作家が書いたところが目新しいのですが、内容も踏み込んで書いているので、芥川賞作品をほとんど読んだことがない私でも楽しめました。
受賞した人、落選した人、選考委員に関する評価について作家がここまで赤裸々に書くことはないので、参考になりました。
「文学賞メッタ斬り!」、「作家の値うち」が好きな人なら楽しめると思います。
芥川賞の偏差値 [ 小谷野敦 ] |