2泊3日で合計9軒のお店に行きました。
まぁ、フリークとしては少ない数ですが、それでも食べに食べました。
そのファイナルとして選んだのがこちら!
1947年創業。
です。
星龍軒、エビス軒と並ぶ函館ナンバーワンクラスの有名老舗店。
次々と老舗店が閉店していく中で、今、函館を代表するお店がこちらと言えるでしょう。
麺にこだわりのあるお店のようです。
メニューは、、、
函館塩ラーメンがトップにきています。
一杯、なんと500円。
これが、函館プライズですね。
でも、ラーメン以外も充実しています。
ニラレバ炒め、食べたい、、、涙
けど、ラーメンフリークは、いつでも、どんなときでもラーメンなのです。
初志貫徹。妥協なし。常にラーメン!
じゃじゃーん。
こちらが、滋養軒の函館塩ラーメンです。
見てください! この美しい透明の黄金スープを!!!
まさに、これぞ、THE SIO RAMEN!と叫びたくなるスープです。
じわ~っとくる美味しさ。
そして、どこまでも淡泊で、クリアで、さっぱりとした後味。
現代を生きる僕らには、少し物足りなさも感じるかもしれませんが、
これこそが、代々伝わる「函館塩ラーメン」なのでしょう。
昔から函館ラーメンを食べているお客さんとお話できました(店を出た後)
こう言っていました。
「滋養軒もたしかに美味しいし、昔からあるラーメン屋さんだよ。でも、昔はもっと美味しくて、すごいラーメン店がい~っぱいあったんだ。でも、全部なくなっちゃった。だから、僕はここに通っている。もう、函館のラーメンも終わりだよ。今、新しくできているお店は、どこも函館ラーメンじゃない。スープも取ってんだか、取ってないんだか、分からないラーメンばっかりだよ。エビス軒もいいラーメン屋さんだよ。でも、本当にもっともっといいラーメン屋さんがあったんだ。でも、その味を受け継ぐ人がいないんだ。若者はみんな、東京や札幌のラーメンを出そうとしている。もう、函館ラーメンも終わりだよ…」
その目は悲しそうでした。
このお客さん的にも、今、函館で食べられる昔ながらの塩ラーメンはやはりここだ、ということです。
なので、滋養軒の塩ラーメンは、昔から函館ラーメンを愛する人にとって、最後の砦となっているんだ、と。
もちろん、滋養軒のラーメンも認めない人もいるそうです。
けれど、それでも他に選択肢はない、と。
それくらい、函館ラーメンは危機的状況にある、ということです。
無論、新店はいっぱいできています。海老味噌だとか、海老鶏白湯だとか、、、
でも、それは、函館のラーメンではない。
そんな葛藤というか、齟齬というか、そういうのがあるようでした。
若い新店の店主さんの言い分も聞いてみたくなりました。
麺は、自家製麺とあって、たしかに通常の麺とは違う印象がありました。
でも、ラーメンよりも、焼きそばの方がよく分かると思います。
ここの焼きそばの麺は、なんと平打ちの細麺で、すっごいいい食感だったんです。
焼きそば自体も美味しくて。。。
これも、しっかり言っておかなきゃ。
「滋養軒の焼きそばは、何気に旨い。麺も素晴らしい!」、と。
透明で黄金色のスープ。
これ自体が、一つの芸術じゃないかな、と。
ここ、滋養軒の味をしっかりと残し、そしてそれを発展させられるかどうか。
そこに、函館ラーメン界の未来がかかっているような気がします。
***
今回は、全国的にも知名度の高い「函館ラーメン」を食べて回りました。
そこで見えてきたのは、「世代交代」の難しさでした。
函館は今、主に中国人観光客であふれかえっています。
でも、彼らはラーメンを食べたくて来ているわけではない。
観光客は多くても、それが直接ラーメン店の繁栄には繋がらない構造が出来上がっています。
どうやって、「函館ラーメン」を残し、伝えていくか。
でも、それ以前に、どこまで従来の味を守り、どうやって時代に合わせていくか。
そういうことが問われているように思います。