2003年頃に作った僕の曲です。
この曲は、長年愛用してきたMTR(自宅録音機材)、最後に録った曲で、思い入れが強いです。15歳でいわゆる「宅録」に目覚めて、それ以来、10年くらいずっとこのMTRを使ってきました。のべで80曲くらいは録音したと思います。
僕はバンドが好きですが、一番好きだったのは、このMTRを使って曲を作ることでした。
ギターで曲を作って、歌詞を書いて、ドラムマシーンでドラムを打ち込んで、ベースを弾いて、ギターを入れて、必要とあれば(弾けもしない)キーボードを入れて、何度も歌録りをして。そして、ミックスダウンをして、カセットやMDに録音して。
一曲作るのに、だいたい2日はかかります。
不思議なもので、本当に集中していると、2日間なんてあっという間に過ぎてしまうんですね。
今使っているのは、16トラックあります(16種類の音を重ねてレコーディングできます)。しかも、デジタルだから、何度でも、本当に何度でも録りなおしができます。
が、僕のMTRは、4トラックのみで、カセットテープなので、録音すればするほど音が悪くなっていきます。なので、やり直しの限度があるんです。
レコーディングに詳しくない人には分からないかもしれませんが、昔は「ピンポン録り」というのがあって、音を入れた3トラックを残りの1トラックに入れて、一つにまとめます。その後、空いた三つのトラックに、ベース、ギター、ギター(あるいはキーボード)を入れて、さらにそれを残りの1トラックに入れます。最後にギターとボーカルを入れて、終了!みたいな。
とても面倒くさい手法で曲を作っていました。
今思えば、僕は楽器が好きなんじゃなくて、この手間暇かかるMTRでの曲作りが一番好きだったんです。
完成した曲を聴くのが楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。
もちろん下手ですから、あんまりみんなに評価されるわけじゃないんですが、自分の中では、ホント好きで、何度も何度も自分の曲を聴いては、楽しんでいました。
今は、PCがありますし、レコーディングもとても簡単で、しかも圧倒的に性能が良くなりました。
でも、カセットテープを使った原始的なMTRでのレコーディングは、何にも代えがたいものでした。もう、買うことができないので、今はしぶしぶデジタルを使っていますが、、、
上の「LAST FANFARE」は、そんな原始的なMTRで録った最後の曲です。
ちなみに、歌詞は、昔ながらの古典的な学問を愛する男女カップル(学生)が、思想の不一致ゆえに破局に向かっていく、というとてもマニアックな恋の歌です。きっとほとんどの人が共感できないかな、と(苦笑)。
カフェでサルトルの「自己欺瞞」について語り合う、なんて、きっと今の日本、どこを探しても、そんなカップルはいないでしょうねー。(サルトルとボーボワール、ハイデッガーとアーレントの恋みたいな、、、)
難しい抽象的な議論ができるカップルって、素敵だけど、きっと破局に向かうんだろうな、っていう。。。
よければ、是非聴いてみてください。
画像は、昨年夏に撮ったドイツの写真です★