VISUAL系の世界は、常に戦いの世界。
常に、新しいバンドが生まれては、古いバンドが消えていく世界。
ざっくり言えば、チャンスはそうあるわけではなく、数少ないチャンスの中で、注目されなければ、そのまま淘汰されてしまう。それが、ヴィジュアル系の世界だと思う。もう、20年以上、ヴィジュアル系の世界を見ていて、心底思う。この世界は、あらゆるものが渦巻く世界であり、その世界で生き続けることは極めて難しい、と。
そんな過酷なヴィジュアル系の世界で、二度目の奮闘を見せているのが、このバンドだ。Sel'm。このブログでも、かつて彼らの音源について紹介したことがある。
http://blog.goo.ne.jp/sehensucht/e/299b37ea640970fed8abe7f3be54455a
2008年のことなので、あれから4年以上前の話だ。ヴィジュアル系の世界での4年間というのは、シーン全体がひっくり返るほどの期間であり、4年前と今とではもう何もかもが違っている。ちなみに、Sel'mのバンド名の由来は、なんとドイツ語。ドイツ語のSerum(血清)という単語に由来しているんだそうだ。ドイツ語由来のバンド名、そりゃ、応援するしかないでしょう☆
そんなSel'mが、ここにきて、とんでもない作品を作り上げてしまった!
まずは、今の時代らしく、YouTubeで、彼らの今のサウンドを感じてほしい。
Sel'm-shine
単純にカッコいいでしょ。まず、今年3月のボーカルチェンジを経て、めちゃめちゃ華やかになった。ヴィジュアル系はやはりボーカルがすごい重要になってくる。歌がうまきゃいいってものじゃない。「華」があるかどうか。現在のボーカル、龍蛾はまず圧倒的にヴィジュアルがいい。歌唱力はこれからもっともっと伸びていくはず。声質もよくて、パフォーマンスもなかなか。とにかく、荒々しくて、暴れまわっているのが気持ちいい。綺麗に歌おうとしていないところに、僕は可能性を感じる。
そんなわけで、彼らの最新アルバムに触れることとなった。全体的には、今のへヴィー・ラウドロック系ヴィジュアルサウンドとなっている。ディスパ、ギルガメッシュ、リンチ等が好きな人には、まず問題なく受け入れられるだろうな、と。
1. Rebirth
2. Shine
3. fuck
4. Pressure
5. 奏
6. last hill
7. Hallucination
8. サイサリス
9. STARS
10. illegal World
http://www.myspace.com/selm_bursterneeds
(全曲ちょこっと聴けます)
まず一曲目からぶっとんでいる。ここで詳しく書かない方がいいかな。西洋と東洋の文化が見事に融合されていて、これからいったいどうなるんだろう?という期待と迷いを聴き手に与えること間違いなしだろう。ここ数年のSE的1曲目としてはピカイチかな。ほんと、これだけでも聴いてもらいたいくらい。ヤバいから。で、2のShineは本作のシングル的扱いの曲。今のSel'mの勢いがうまく詰まったゴリゴリナンバーだ。3のfuckは、何気に僕的にかなりおススメ。パンキッシュで、過激で、パワフル。ダークなんだけど、そこにパンクの要素が入っているところが◎☆ 二回目のサビの後の「ハハッ」っていう嘲笑う声がなんかTUSKっぽくて気に入っちゃった。吐き捨てるボーカルがたまらない。4もかなりパンキッシュ。ガゼットの影響が強く見られるかな。ギターのエフェクト音がなかなか凝っている。メタル+パンク+ヴィジュアル系という、まーなんとも今風な。サビはガゼットまんまかな。でも、ボーカルがダーティーなので、そこで差異化が図られている。5は、展開の激しい壮大な感じの曲。重々しいギターリフ→しっとりとしたAメロときて、一気にスピーディーなBメロへと移っていく。この変化がすっきりしていて、気持ちよい。そして、ゴリゴリ&スピーディーなサウンドが続き、重たくてメロディアスなCメロ→キャッチーなサビと続く。いやはや、展開が激しい。6のlast hillは、なんだかhydeが歌いそうなセクシーなウィスパーヴォイスのメロウな曲。インディーズ時代のラルクが今の時代だったら、こんな曲をやるのかな、という妄想を呼び起こす。で、サビは…どう考えても80年代歌謡曲かな。聴きやすいです。7のHallucinationは、kei的に超お気に入り。Aメロは、光GENJIのあの曲にしか聞こえない…(;;)。ガゼットが光GENJIを演奏したら、こんな感じかなという感じだ。サビは、ガゼットというよりは、Sadieかな。Sadieっぽさを感じるサウンドテイストだ。あと、イントロ後半のベースソロがすっごい80年代後半を感じる音になってて、震えた(超マニアックに言えば…)。8のサイサリスは、僕ら世代のヴィジュアル系好きには懐かしい感じの曲だと思う。Sadieもこういう曲やるかな、と。僕ら世代にはたまらないはず。誰だろう?ルアージュとかSILVER ROSEとか、そういう匂いがする。単純に僕好み。9はライブで映えそうなパワフルでパンキッシュ+ヴィジュアルテイスト満載の曲。サビはもうインディーズ時代のガゼットさながらのハイスピードチューンに激変する。最後の10は、今のSel'mを象徴する過激でコアでディープでパンキッシュな必殺ナンバー。これ、ライブで聴くとたまらないだろうな、と。ガツンとくる曲だ。
***
久々に全曲解説しちゃった。それくらい、僕的に◎。カッコよくなった!! 今の今まで、ずっと続けてきたことも凄いし、これだけ成長したんだ、となんかジーンときてしまった。
売れてほしいなぁって、こっそり願っています。