遂に、遂にCOCOLOのラーメンとご対面です! もう何年越しだろう。本当に念願の訪問でした。前回来たときは、お店の長期休暇中で食べることができず、泣く泣くこの場を去りました。今でもその時のことははっきりと覚えています。遥か異国のかなた、ベルリンでお目当てのラーメン店にフラれるというのは、とても悲しいものがあります。
今回も、風のうわさで、「最近、ずっと営業していないのでは?」という話を聞きました。これでフラれたら、もうCOCOLOとは縁がなかったと思うしかない、そういう気持ちでギップス通りを歩きました。「ダメかも」という気持ちで来たのですが、店内に灯りが見えました。「やった!開いてる!!」、思わず、走ってお店に近づいてしまいました。
お店の営業は夜6時から。昼の営業はしていません。店内ではあわただしく、開店の準備をしていました。
COCOLOは、生粋のドイツ人が開業したお店。かつて昔にこのお店について書いた記事があります。詳しくはそちらをご参照いただき…。
現在は、日本人の方がお店を仕切っていました。聞くと、そのドイツ人の店主さんは、今、陶芸に没頭しているらしく、お店の方はその日本人の方に任せているんだとか。でも、すごいことに、こちらで使う器は全部、そのドイツ人の方が作ったそうです。かなり変わった御方なんでしょうね。会ってみたいなぁ。
さて、こちらのお店。先ほどの誠とは違って、ローカルなラーメン店という感じでした。誠はドイツのレストランのように広くて華やかでオープンテラスがあってわりと大きな通り沿いにありました。ですが、こちらのCOCOLOはどちらかというと路地裏。日本のマニアックなラーメン屋さんがありそうな場所。メニューも、誠は何でもやります!的なお店でしたが、こちらはラーメンと餃子のみ。完璧にマニアなラーメン屋さんですね。
ラーメンは、醤油、塩、豚骨、味噌、担担麺の五種のみ。ご飯ものはなし。隣の席のおばちゃんが「ご飯ものはないの?」と尋ねていましたが、店長さん(?)は、「餃子か、替え玉しかないですねー。ご飯ものはないです」と答えていました。パーフェクトです。これでこそ、マニアなラーメン店です。チャーハン、チャーシュー丼まではギリギリ許せますが、それ以上をやると、それはマニアなラーメン店ではありませぬ(フンガ!)。
COCOLOと言えば、たしか豚骨ラーメンだったと思うので、そちらの豚骨ラーメンと、それからスープが一番分かる塩ラーメンを頂きました。担担麺も気になったんですけどね。そちらはまた次回にでも(ええ、また来ますとも。もう、この周辺はばっちりです、はい)。で、店長さん(?)のアドバイスをもらい、まずは塩ラーメンからいただきました。
こちらの塩ラーメン、お世辞抜きで、フリーク的にかなりイケます。わりとマイルドなやや濃厚塩豚骨ラーメンでした。しかも、鰹節が最後にどっさり盛られます。ややこってり和風塩豚骨ラーメンです。ね、マニアックでしょ!? 鰹節の香りがもうたまりません。まだ日本を離れて10日ちょっとだというのに、もう鰹節が恋しい。鰹節は僕ら日本人の命、魂、宝、ダイアモンドですね(で、さらに煮干しが恋しい…)。
しょっぱさはそれほどでもないですが、次に食べる豚骨ラーメンに比べると、かなり攻撃的な味わいです。まさに、ザ・ジャンク・ソルト・ラーメンです。単純に旨い。デュッセルドルフのラーメンも単純に激ウマでしたが、こちらのCOCOLOの塩ラーメンもかなりマニアックに激ウマでした。いやー、COCOLO、恐るべし…。
しかも、こちらの塩ラーメンのチャーシューはなんと、鶏チャーシュー。あのね、ぶっちゃけ、日本のラーメン屋さんの鶏チャーシューより旨いと思いました(汗)。旨いっていうと語弊があるな。鶏チャーシューなのに、豚チャーシューみたいな感じで、普通に食べたら、分からない人も多いんじゃないかな。それくらい、豚チャーシューに酷似していて、それが面白かったですね。
麺は、もう素晴らしいの一言。日本で食べるラーメンの麺ともう何の遜色もないです。それもそのはず。こちらの麺は、毎日、こちらで作っているのですから。それは誠も同じですけどね。今回、わたくし、特別にその製麺機も見せていただきました(ありがとうございます!)。日本製の製麺機に、店主のドイツ人が色々と細工をしていて、さすがドイツ人!って感じでした。でも、こうやって、日々、麺を作っているんだなぁと思うと、震える思いがしました。
続いて、豚骨ラーメン。
こちらは、いわゆる王道ライトな豚骨ラーメン…ではあるのですが、なんとマー油がどかっと入っています。マー油豚骨ラーメンでした(^^;)。ベルリンでまさかマー油豚骨を食べることになるとは…。デュッセルならまだしも、ベルリンでマー油豚骨ですか…(汗)。時代は変わりましたね。こちらのマー油、なんとなんと、店主さんがなんつッ亭までわざわざ出向き、いろいろと助言をいただいたんだとか。古谷さん、そこまでしていたのか、と驚きを隠せませんでした。
そんなわけで、ライトな白濁豚骨スープに、マー油が入ったラーメンでした。マー油はスープの半分だけにかけられていて、最初は純粋な豚骨スープを味わうことができます。ベルリンで豚骨ラーメンというだけでも十分マニアックなのですが、ひいき目を抜きにして述べれば、ライトなシャバ系白濁豚骨スープですね。そんなに突出していません。塩ラーメンに比べると、無難な味わいかな、というのが僕の感想です。普通に豚骨ラーメンが食べたい人向けですね。フリークさんには、是非塩を食べてもらいたいです。
こちらの豚骨ラーメンのチャーシューは、バリバリ豚肉チャーシューでした。でも、鶏チャーシューもそうですが、脂っこさが全然ないチャーシューなんです。ドイツ人って、脂好きじゃなかったでしたっけ?! でも、意外にもあっさりチャーシューで、それはそれでよかったかな。紅ショウガもばっちり。
麺は塩ラーメンのと同じだったと思います。うん、こういう麺が、ラーメンの麺っていうんですよね。ドイツでラーメン、あるいはヌードルスープを出すお店の関係者は是非、こちらのラーメンを一度食べてもらいたいですね。切に。
というわけで、どちらも、ドイツではありえないようなラーメンでした。
さて、これで、COCOLOのラーメンを食べたので、後は、フランクフルトの「MUKU」とミュンヘンの「匠」か。でも、まだまだ、埋もれているラーメン店、あるいはそれに類するお店はあるはずだから、これからも欧州ラーメンフリークのプライドと名にかけて、ラーメンを追い求めます。世界のラーメンを知ることで、日本のラーメンを知る。それもまた、ラーメンフリーク道の喜びなり、です。
あ、あと、こちらのお店には、我が永遠の師匠、石神さんの本が店内中央の棚に置かれて(掲げられて)いました。石神さん、店主さんが、「一度、石神さんにも、ドイツに来ていただいて、食べてもらいたいですね」、とおっしゃっておりましたよ♪ ドイツは、今、ラーメン的に新たな局面を迎えようとしています。若手が頑張っています。後継者や独立する人も増えています。マー油豚骨あり、そして鶏白湯あり、混ぜ麺あり、と、色んなところで、色んなラーメンが生まれつつあります。そう、ドイツラーメン黎明期を迎えているように思います。これからどんどんドイツ各地でラーメン店ができていきそうですね。正直、まだまだという感じはします。が、確実に草の根的に広がっています。
それからもう一つ。こちらでも、やはり働いている日本人は、ワーキングホリデー(略してワーホリ)の人でした。また、アーチストとして生きている方もおられました。欧州で芸術家として、アーチストとして生きている人が、生活の糧として、ラーメン店で働いている。それもまた、ドイツの日本人の真実なんですね。
ちなみに、この日、15時12分のICE(ドイツの新幹線)に乗って、17時10分に誠に到着し、18時にCOCOLOでラーメンを二杯食べて、19時10分のICEに乗って、ハンブルクに帰りました。ハンブルクに着いたのが、20時50分。滞在時間わずか2時間のベルリン・ミニ・ラーメンツアーでした。