(ある親子の会話)
~登場人物~
武田信玄(父)
武田勝頼(息子)
勝頼「お父さん、ちょっと質問があるんだけど。」
信玄「なんじゃ?」
勝頼「昔の話だけど、平成4年(1992年)に平和から『ブラボー烈火』っていう機種が出たでしょ。」
信玄「おう、ワシの大好きな『風林火山』の四文字を大当り図柄に使ったデジパチじゃな。盤面にも、ワシそっくりの勇敢な武将が描かれておった。」
・ブラボー烈火(舞羅望烈火)…平和、1992年登場。大当り確率1/228、出玉2300個。
⇒マイナーな先行機種「風林火山」も存在。
勝頼「うん。僕、あの機種では随分お世話になったよ。普段は単発打ちで、リーチが掛かったら、すかさず玉を打ち出して、リーチ中に保留ランプをなるべく多く点灯させる。単発打ちでのリーチは100%当って、リーチ中に点いた保留玉での連チャンが期待できたよね。」
信玄「そうじゃな。あの打法は効果が高かった。謙信にも教えてやったら、随分と喜ばれたぞ。」
勝頼「敵に塩を送るってヤツだね。さすが父さん。だけど、ひとつ分からない事があるんだ。」
信玄「何じゃ?」
勝頼「あの台って、保留を付けずに単発打ちすると、絶対にハズレリーチが掛からないようになってたじゃない。」
信玄「その通りじゃ。単発打ちをしておれば、リーチ=大当りとなる。」
勝頼「じゃあ、どうして単発打ちをすると、ハズレリーチが掛からないの??間違って1回くらい掛かっても、良さそうなのに。」
信玄「何と、そんなことも知らぬのか、貴様。それでも、この信玄の倅(せがれ)か!!」
勝頼「ご免よ…(涙)、でも、そんなこと言ったって、ネットとかを幾ら調べても、ハズレリーチが掛からないって事は書いてあっても、その理由が書いてないんだもん。」
信玄「…確かにそうじゃな。どのサイトも、『ブラボー烈火の単発打ちは、リーチが掛かると100%当たる』と、判を押したような説明で終わっておる。」
勝頼「でしょ。だから、なんでハズレリーチが発生しないのか、その仕組みが知りたいんだ。」
信玄「よし判った。少々、説明が複雑になるかもしれぬが、しっかりと聞けよ。」
勝頼「はい、父さん。」
信玄「ブラボー烈火は、大当りの抽選にハズれた場合、ハズレ出目カウンターを使って出目を作成しておる。」
勝頼「うん、デジパチによくあるパターンだね。」
信玄「うむ。このハズレ出目カウンターには、左出目用、中出目用、右出目用の3つがある。」
勝頼「左・中・右それぞれのデジタルに対応した、乱数カウンターだね。」
信玄「その通りじゃ。カウンターの範囲は、いずれも0~14の15コマ。それぞれ、「一~十、百、風、林、火、山」という15通りの出目に対応しておる。」
勝頼「じゃあ、ハズレの時は、その出目カウンターの組み合わせで、出目を表示するんだ。」
信玄「そうじゃ。カウンターの値が(0,1,2)ならばデジタルに(一、二、三)を、(11,12,13)ならば「風、林、火」を出す仕組みじゃ。」
(出目カウンターの数値と図柄の相関図)
0⇒一 1⇒二 2⇒三 3⇒四 4⇒五 5⇒六 6⇒七 7⇒八
8⇒九 9⇒十 10⇒百 11⇒風 12⇒林 13⇒火 14⇒山
勝頼「そうすると、左と中のカウンタ―値が同じだったら、リーチが掛かるってこと?」
信玄「よく判っておるな。左・中の出目カウンターが同値を拾えば、必ずリーチになる。」
勝頼「そんな簡単な仕組みなら、カウンターが3つとも同じ数値を拾えば、大当りになっちゃうじゃない。随分と単純な構造だなあ。」
信玄「うつけ者!そんな事がある訳はない。同一図柄の三つ揃いは、あくまで大当り抽選に当選した時だけ出現するのじゃ。ハズレ出目カウンターがたまたま三つとも同じ数値だった場合は、強制的に右出目カウンターをプラス1してハズすのじゃ。たとえリーチが掛かっても、ハズレリーチにしかならん。」
勝頼「そうしたら、大当り出目はどうやって決めるの?」
信玄「大当り判定に当選した場合、チャッカー入賞時に拾った右出目カウンターの値を、左と中にもそのままコピーして、三つ揃いの大当り出目を作成するのじゃ。」
勝頼「なるほど…。じゃあ、どうして単発打ちすると、ハズレリーチが掛からないの?」
信玄「では、そろそろ本題に入るとするか。ハズレ出目カウンターは、内部で15コマの移行範囲を超高速でクルクル回っておる。ここで、左と中の出目カウンターに着目すると、移行範囲は共に15コマで、移行速度(周期)も全く同じなのじゃ。」
勝頼「ほうほう。それは知らなかった。」
信玄「そして、単発打ちをした場合は、チャッカーに玉が入賞した瞬間、左出目カウンターと中出目カウンターが、強制的に「0」(起点)の位置に巻き戻されるのじゃ。」
勝頼「じゃあ、スタートチャッカー入賞を合図に、全く同じタイミングで二つの出目カウンターが回り始めるってこと?」
信玄「そうじゃ。カウンター周期が同じなので、息がピッタリと合った状態で回り始めるのじゃ。」
勝頼「まるで、父さんと勘助さんのような関係だね。」
信玄「ううう…、あやつは、まことに優れた名軍師であった。惜しい奴を亡くしたものよ…」
勝頼「ごめん、嫌な事を思い出させてしまったね。じゃあ本題に戻るけど、出目カウンターの乱数を拾うタイミングはいつなの?」
信玄「なかなか良い着眼点じゃ。もし、左・中出目カウンターの乱数を拾うタイミングが同時だと、単発打ちでは両カウンターがいつも同じ乱数を拾って、毎回リーチが掛かる事になる。しかし、実際には、左と中のカウンターが乱数を拾うタイミングは、微妙にズレておる。」
勝頼「どれくらいズレてるの?」
信玄「左出目カウンターの乱数を拾うタイミングは、高速回転中の左デジタルが低速に切り替わる直前じゃ。同様に、中出目カウンターの場合も、中デジタルが高速から低速に切り替わる直前の乱数を拾う。」
勝頼「そうか、それじゃ、二つのカウンターが乱数を拾うタイミングには、必ず一定のタイムラグが出来るんだ。」
信玄「うむ。単発打ちをしている限り、左と中の出目カウンター値には、必ず一定の間隔が生じる。このタイムラグは、出目にすると「7~9コマ」分のズレになる(8コマズレが大半だが、前後1コマの誤差あり)。だから、単発打ち時は、左デジタルの停止出目プラス7~9コマ(大半が8コマ)が、必ず中出目に現れるようになっておる。」
勝頼「へー、移行法則があるのか、知らなかった。今度、オクで実機を買って試してみよう。」
信玄「そう簡単に、手に入るかな…。ともかく、単発打ちを続ける限り、左と中の出目カウンターが同じ数値を拾ってハズレリーチが掛かる余地など、全くないのじゃ。」
勝頼「そうすると、単発打ちでリーチが掛かるのは、大当り判定に当選して、右出目カウンターの値が左と中にコピーされた場合に、限られるんだね。」
信玄「その通り。リーチが外れる事は、絶対にない。」
勝頼「それなら、単発回しじゃなくて、連続回しの場合はどうなの?左と中のカウンターが同調しているなら、単発打ちと同じようにハズレリーチなんて掛からないでしょ?」
信玄「それが、違うんじゃ。連続回しの場合、単発打ちと違って、チャッカー入賞時の左・中出目カウンターの『巻き戻し』が、一切行われないのじゃ。つまり、二つのカウンター周期が頻繁にズレるんじゃ。ワシと謙信のようにな…。もし、最初から周期が約8コマ分ズレていれば、乱数を拾う時点で左・中の出目カウンターが同じ値になり、リーチが掛かる。連続回しの場合、当たり前のようにハズレリーチが掛かるんじゃ。」
勝頼「なるほど。」
信玄「ひと言でいえば、チャッカー入賞時に、左・中出目カウンターの「巻き戻し」が起こるかどうか…これで、ハズレリーチが掛かるか否かも決まる、という事じゃ。」
勝頼「単発回し時は、チャッカー入賞時に、必ず左・中のカウンターが「0」に巻き戻されるので、カウンターの同調が起こる。しかし、乱数を拾うタイミングが約8コマ分ズレるから、結果としてハズレリーチは掛からない、と。」
信玄「そういう事じゃ。ようやく理解したようじゃな。」
勝頼「じゃあ、最後にブラボー烈火の連チャン打法について、あらためて教えて下さい。」
信玄「おっと、唐突な要求じゃな。しかし、ブラボー烈火の場合は、そこが一番肝心じゃからな。」
勝頼「連チャン打法の手順は?」
信玄「絶対に保留玉を点灯させず、単発打ちを続ける。そして、リーチが掛かったら、右デジタルが停止するまでの間に、出来るだけ多くの保留ランプを点灯させる。たった、これだけじゃ。点灯した保留玉が多いほど連チャンが増える可能性があるから、保留の空きを最大限にしておく為に、普段は単発打ちを行うのじゃ。」
勝頼「単発打ちでのリーチは必ず当たるから、リーチ発生だけで興奮できるよね。それに加えて、リーチ中に点灯した保留玉は、全て50%の確率で連チャンする…。」
信玄「ちょっと待てぃ!なんじゃ、50%とは。必ず50%で連チャンするとは限らんぞ。」
勝頼「え、そうなの?」
信玄「リーチ時の内部状態によって、リーチ中に点灯した保留玉の連チャン率は、3パターンに分かれる。」
勝頼「マジですか??」
信玄「そうじゃ。もっとも連チャン率が高いケースだと50%、次いで33.3%、一番期待できない状態では16.7%じゃ。」
勝頼「そうか。以前、リーチ中に4個チャッカーに入れても連チャンしなかったのは、16.7%状態だったからか。」
信玄「それは、お前のヒキが弱すぎただけじゃろ。」
勝頼「…」
信玄「おっと、少し言い過ぎたようじゃな。ともかく、リーチ中の内部状態により、1/2という高確率で連チャンしたり、1/6でしか連チャンしなかったりする訳じゃ。」
勝頼「どうして、内部状態が3つもあるの?」
信玄「それを説明するのは、かなり時間がかかる。また、今度にしたらどうじゃ。」
勝頼「じゃあ、さわりだけでも…」
信玄「まぁ、簡単に言えば、228個ある大当り判定用の乱数が、保留玉点灯中に限って、38個の異なる「乱数グループ」に分かれる事が原因じゃ。つまり、大当り乱数を含むグループと、全く含まないグループに分かれるのじゃ。それぞれの乱数グループには、6個の乱数が含まれる。重複はないので、38×6=228となるのじゃ。」
勝頼「なるほど、乱数グループね。でも、大当り乱数って、1つしかないんじゃないの?」
信玄「いや、ブラボー烈火には、大当り乱数が6つもあるんじゃ。そして、38個の乱数グループの中に、大当り乱数を3個含むグループが1つ、2個含むグループが1つ、1個だけ含むグループが1つある。」
勝頼「じゃあ、大当り抽選時、どの乱数グループにいたかによって、連チャン率も変わるって事?」
信玄「おっ、これだけの短い説明で、よく判ったな。その通りじゃ。」
勝頼「なるほどねー、いろいろと奥が深いや。」
信玄「1つだけ注意すると、38個の乱数グループは、さらに19個の奇数グループと19個の偶数グループに分かれる。で、連続回転中は、奇数グループ滞在中は奇数グループだけを、偶数グループ滞在中は偶数グループだけを、延々とループするのじゃ。」
勝頼「という事は…」
信玄「大当り乱数は6個あるといったが、実は、いずれも奇数グループに属するのじゃ。したがって、奇数グループ滞在中に連続回転させると、普段よりも大当りしやすい反面、偶数グループ滞在時に連続回しをすると、全く当たりの来ないドハマリモードになってしまうんじゃ。」
勝頼「ああっ!前に、1000円で60回も回るバカ釘台をぶん回して、一度も当らずに5万負けた事があるけど、それが原因だったのか…」
信玄「うーむ、そうかも知れぬな。大当りが来ない時は、一度連続回転をストップさせるのが、ハマリ回避の秘訣じゃ。まぁ、そういう意味では、保留玉を点灯させない「単発打ち連チャン打法」は、乱数のグループ化が起こらないので、無抽選状態がない安全な方法ともいえる…というか、お前、ストレートで3000回もハマったのか、この大うつけめ!」
勝頼「面目ありません…。うーん、それにしても、何かと仕掛けの多い台ですね、ブラボー烈火は。」
信玄「そう、何気にスルーされがちなブラボー烈火じゃが、実は、内部的なカラクリが非常に優れていたんじゃ。さすが、天下の「平和」といった所かのう。」
勝頼「父上、有難うございました。また、質問があったら、ご指導よろしくお願いします。」
信玄「うむ、まだまだ勉強する事は、山ほどあるぞ。しっかり精進しろよ。あと、そのヒキ弱も何とかしろよ!」
勝頼「ぐっ…」
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(戦国サプリメント 戦国未満)