1994年(平成6年)に大同から登場した一般電役「トリプルランドD」
★賞球…オール15
★大当り確率…1/187
★大当り図柄…0~9、H、L、Fの各3つ揃い(13種類)
★大当り中は、デジタル下の3段アタッカー連動で出玉を稼ぐ
★出玉…2000発~3500発オーバーと幅がある(釘調整やミニデジタルのハズレ等で変化)
⇒平均出玉は2800~3000個と多め
(新装時の思い出)
’94年暮れ、馴染みの向ヶ丘遊園「ニューギ〇ザ」に本機が2シマ新台導入された。この「初顔合わせ」でまず最初に思ったのが、
「このデジタルって、昔打ったフィーバークリスタルにソックリじゃん」
三共から1991年に登場した新要件デジパチ「フィーバークリスタルII」(兄弟機は「I」)
⇒「II」には、朝一状態から150回転すると小デジが確変に突入する「モーニング」があった。
ゲーム性こそ違っていたが、「緑・橙・黄」三色のカラー液晶による7セグ調デジタルは、新要件の初期に打ったFクリスタルを彷彿とさせた。
両者ともに三共系の機種で、しかも、過去にFクリスタルIIをよく打ったのも「ニュ〇ギンザ」だった。
それゆえ、まっさらの新台に対して、何となく「懐かしい」という印象を持った。
一方、盤面下段に構える3段のアタッカーには、一体どんな動きをするのか、興味津々であった。
いわば、「郷愁」と「好奇」が入り混じった心境で、本機の新装を迎えたのだ。
この新装は、デジタルも良く回った。デジタルの動きは、予想通り「Fクリスタル」を思わせた。
ただ、本機のデジタル停止順は「左⇒右⇒中」となっていて、「左⇒中⇒右」と停止するFクリスタルとは全く違った。それでも、デジタル全体の雰囲気は「何となくクリスタル」(古いw)という風情があった。
ヘソチャッカーは賞球無しの「スルー式」だったが、チャッカーから盤面右下ワープ出口に出た玉が、真下の賞球口にちょくちょく飛び込んでくれた。ここに入れば「15個戻し」と非常に大きかった。ヘソの賞球があるデジパチと比べると、ベースは辛いものの、玉持ちには大いに貢献した。
わずかな投資で初当りが来て、1回の当りで3000個を超える大量出玉となった。店のドル箱は半透明な黄緑の2500個タイプ(中箱)だったが、一箱では出玉が収まりきらずに、別のドル箱を要した。まさに「ボリューム満点」の出玉感だった。
その後も、さしてハマらずに順調に当りを重ねた。大当り中、デジタルが再び揃う「ダブル」も来た。手持ちのレシートは次々に増えて、最終的には6万超えの大勝ちとなった(2.2円交換)。
景品カウンターで、細長いボール紙の箱に入った特殊景品(「FLINTS」と書かれたライター石)をタップリ貰い、裏口路地を少々歩いた先の小さな換金所で、野太い声のオヤジが「ハイ、6万5千円」と差し出した現金を受け取ると、ホクホク顔で電車に乗って帰宅した。
「ニューギ〇ザ」のかつての特殊景品「ライター石」(Flints)を再現した。値段に応じて、大や小があったと記憶する。現在の景品は全くもって不明…。
「何とオイシイ機種が出たことか」
これが、新装時の正直な感想だった。デジタル確率はいかにも甘そうで(後に1/187の高確率機と知る)、出玉は普通のデジパチ(約2300発)よりも断然多い。大当り中もデジタルが回るので、実質的な「連チャン」まで期待できた。連チャン規制時期にあって魅力十分。通常時の玉持ちも、15個戻しのお蔭でさほど悪くなかった。
しかも、デジタルの面構えは、かつての大好物「Fクリスタル」譲り…という具合に、まさに文句のつけようがない出来栄えに思えた。
だが…しかし
そう感じたのは、新装の数日だけであった。
平常営業に戻ると、ワープ下にある15個戻しの入賞口が、キッチリ締められた。ワープの玉が入賞口に入る割合は、10回に1回以下と低下した。これでは、ベースが辛い他の権利物や一般電役と玉持ちは変わらない。新装時と一転して、玉持ちの悪さが気になった。
また、どの台もヘソが一回り以上小さくなり、デジタルの回りが格段に悪化した。当然、投資もかさむようになった。大当り中の回転効率も落ちて、連チャンの割合も低下した。せっかくの高確率機も、肝心のデジタルの回りが悪ければ、元も子もないのだ。
さらに、出玉面でも嫌な変化があった。大当り中に、左肩の電チュー脇から玉がポロポロこぼれたり、下段アタッカーに玉が届きづらくなったりして、3000発オーバーだった出玉が一割ほど減ってしまったのだ。それでも、2600~2700個くらいは普通に出たので、それは有り難かった。
こうして、新装直後に感じた「ぬか喜び」は、あっさり裏切られた。まぁ、これもベースが甘い機種ゆえの「運命」といえるが…。
逆に言えば、甘釘台をしっかり見抜いて積極的に追えば、通常時でも十分「喰える」台だったという事だ。立ち回りの上手な人なら、割と長いこと「オイシイ」状態が続いたはずだ。設置がそれほど多くなかった、という短所があったにせよ…。
私なんぞは、ハンドルを握るだけで幸せ一杯、リーチが掛かれば脳汁溢れて卒倒…という典型的な負け組だったので、かの店で勝ち負けを繰り返しながら、財布の中身はジワジワと(確実に)減っていった。
まぁ、新装だけはオイシイ思いをして、通常営業では計算通りに搾り取られる…まさに「健全」なパチンコファンの姿そのものであった(笑)。
通常時のスペック
★メインデジタル…VFD(真空放電)蛍光管を使った、シンプルかつ見栄えのするデジタル表示。停止順は「左⇒右⇒中」
★大当り判定方式
・チャッカー入賞時の一発判定(連続回転時は、乱数をいったん保留格納した後に読み込む)。
・「0~186」(187コマ)の乱数カウンタのうち、当選値「3」を拾えば大当りとなる(確率=1/187)。
★出目決定方法
・左・右・中ともに、「0~12」(計13コマ)の出目作成カウンタ(出目カウンタ)が存在。
(3つのカウンタは左⇒中⇒右の順で「桁上がり」※の関係)
※桁上がり…カウンタが1周すると、隣のカウンタが1コマ進む関係
・各出目カウンタの値(0~12)は、デジタルの各図柄に対応
「0~9」は、デジタルの「0~9」の数字に対応
「10」は「H」図柄、「11」は「L」図柄、「12」は「F」図柄に、それぞれ対応
・大当り時は、左出目カウンタの値を中と右にもコピーして、大当り出目を表示
・ハズレ時は、3つの出目カウンタが拾った値を、そのままハズレ出目として表示
・ハズレリーチ出現率は(186/187)×1/13≒1/13.07
・大当り時を含めたリーチ出現率は、1/187+1/13.07≒1/12.22
・3つの出目カウンタがたまたまゾロ目になった場合は、中デジタルを強制的にプラス1して外す。
(リーチは掛かるが、中デジは1コマ先で外れる)
・以上の事から、当否に拘らず、どの図柄のリーチも均等に出現する仕様と判る。「特定図柄のリーチが掛かりにくい(当りにくい)」といった内部的特徴は、一切ない。
・大当りした瞬間、盤面右上の7セグで大当り出目を表示する(「777」なら「7」と表示)
★リーチアクション(3種類)
(1)ノーマル…左右テンパイでデジタルが緑からオレンジに変化。中デジは早めのコマ送りで淡々と進行。デジタルに派手な変化はない。
(2)フラッシュ…リーチ直後に、全デジタルがビカビカと点滅(フラッシュ)を開始。中デジもフラッシュしながら早めのコマ送りで進む。
(3)発展フラッシュ…ノーマルリーチでスタート後、途中からフラッシュリーチに変化するパターン
★リーチ選択システム(大当り時、ハズレリーチ時共通)
当否を問わず、リーチが確定した段階で「演出抽選」が行われる。
演出抽選には、A、B2つのカウンタが用いられる。
・Aカウンタ⇒「0~9」の10コマ。70%がノーマルリーチ選択。30%は「Bカウンタ抽選」に進む。
・Bカウンタ⇒「0~9」の10コマ。20%でノーマル、40%でフラッシュ、40%で発展フラッシュを選択。
・ノーマルリーチを選択するケースは、(1)Aカウンタで選択する場合、(2)Bカウンタで選択する場合の計2通りある。
・一方、フラッシュや発展フラッシュは、Bカウンタの抽選に進んだ場合のみ選択の可能性がある。結果的に、ノーマルの出現率が最も高い。
★各リーチの選択率(大当り時、ハズレ時共通)
ノーマル⇒7/10+(3/10×2/10)=76/100=76%
フラッシュ⇒3/10×4/10=12/100=12%
発展フラッシュ⇒3/10×4/10=12/100=12%
・ノーマルリーチも普通に大当りするが、逆にフラッシュや発展フラッシュでも普通に外れる。
・ハズレリーチ時は、出目カウンタの値をそのまま表示する(偶然3つ揃い時の「プラス1処理」を除く)。つまり、リーチの種類を問わず、中デジタルの停止図柄は中出目カウンタの値で決まる。よって、中デジ停止位置に関しては、各リーチによる違い(特徴)はない。
・すなわち、「発展フラッシュになれば、中出目は前後1コマでハズれる」といった特徴もない。たとえ発展フラッシュでも、大当り図柄から程遠い位置で「大ハズレ」する事もある。
大当り中の流れ
メインデジタルAの左脇に権利用電チューBがある。
また、デジタル下には3段アタッカーのD(上段)、C(中段)、E(下段)がある。
上段アタッカー(D)は右サイド、中・下段アタッカー(C、E)は左サイドに開放用のハネがある。
大当り中は、3段アタッカーの連動で出玉を稼ぐ。連動の仕方は、複雑なようでシンプル。
(連動の流れ)
・メインデジタルA当選で、左肩の電チューBが開放(5カウントor5.8秒)。
・B入賞後、中段アタッカーC横の小デジタルが5.8秒変動。
・ミニデジタルには、保留ランプが4つある。Bに5個入賞すれば、保留満タンとなる。
・ミニデジ当選率は399/400。ほぼ当り確定だが1/400(0.25%)でハズれる(出目は「01」)。
・ミニデジが当ると、中段Cが1度目の開放(1カウントで閉鎖だが、複数入賞可)。
・C入賞後、上段のDが1度目の開放(1カウントで閉鎖だが、複数入賞可)。
・D入賞後、下段のEが1度目の開放(約5.8秒)フル開放するので、出玉を稼ぐチャンス。
・E閉鎖後、上段Dが2回目の開放。
・D入賞後、Eが2回目の開放。
・E閉鎖後、Dが3回目の開放。
・D入賞後、Eが3回目の開放。
・D⇒Eが計3回の連動を終えると、中段Cが2度目の開放を行う。
・C入賞後、Dが4度目の開放。この時、保留ランプが消えてミニデジタルが変動開始(24.5秒変動)。
・D入賞後にEが4度目の開放。
・E閉鎖後、Dが5度目の開放。
・D入賞後、Eが5度目の開放。
・E閉鎖後、Dが6度目の開放。
・D入賞後、Eが6度目の開放。
・ここで、ミニデジタルが停止。当選(399/400)すれば、中段Cが再び1度目の開放。
(以下、保留がなくなるまで同じ展開をループ)
・以上の要領で、保留玉4つを全消化した後、下段Eの開放が終わると大当りは終了。
⇒⇒やっぱりややこしいので(笑)、大当り中の流れを簡単に纏めてみた。
★メインデジタル当選(1/187)
↓
★左電チュー開放(5.8秒or5C)
↓
★ミニデジタル変動開始(保4)
↓
★5.8秒後にミニデジタル停止(保4)
中1⇒上1⇒下1⇒上2⇒下2⇒上3⇒下3⇒
中2⇒上4(ミニデジ変動開始、保3)⇒下4⇒上5⇒下5⇒上6⇒下6
↓
★変動後24.5秒で、ミニデジタル停止(保3)
中1⇒上1⇒下1⇒上2⇒下2⇒上3⇒下3⇒
中2⇒上4(ミニデジ変動開始、保2)⇒下4⇒上5⇒下5⇒上6⇒下6
↓
★変動後24.5秒で、ミニデジタル停止(保2)
中1⇒上1⇒下1⇒上2⇒下2⇒上3⇒下3⇒
中2⇒上4(ミニデジ変動開始、保1)⇒下4⇒上5⇒下5⇒上6⇒下6
↓
★変動後24.5秒で、ミニデジタル停止(保1)
中1⇒上1⇒下1⇒上2⇒下2⇒上3⇒下3⇒
中2⇒上4(ミニデジ変動開始)⇒下4⇒上5⇒下5⇒上6⇒下6
↓
★変動後24.5秒で、ミニデジタル停止(保0)
中1⇒上1⇒下1⇒上2⇒下2⇒上3⇒下3
中2⇒上4(保0なのでミニデジ回らず)⇒下4⇒上5⇒下5⇒上6⇒下6
★大当り動作終了
※5C:5カウントで閉鎖
※保4:ミニデジの保留ランプ4個点灯 保0:ミニデジの保留ランプ全消灯
※中1=中段アタッカー1回目の開放 上2=上段アタッカー2回目の開放
まだ分かりにくいかな…(汗)
ただ、こうしてみると、大当り中は3つのアタッカーの合計で、ミニデジタル1回転に付き「14回」づつアタッカーが開放する事が判る。内訳は、中段が2回、上段と下段が各6回づつ。ミニデジタル5回転だと、計70回の開放となる。これが、本機のアタッカー開放の特徴といえる。
つまり、ミニデジタルが1回転するごとに…
・中段アタッカーC(1カウント)は計2回開放する。1回空振りすると、まるまる1回分の連動がフイになる。即ち、上段・下段の3回づつの開放(計6回)がなくなる。ココでの空振りは、非常に痛い。
・上段アタッカーD(1カウント)は計6回開放する。空振りすると、下段の開放1回分がフイになる。特に、上段は開放時間が約1.5秒と短く、意外と空振りしやすい。
・下段アタッカーEも計6回開放する。常に5.8秒のフル開放なので、空振りは少ない。しかし、ここでの玉こぼれが多いと、出玉減に直結する。
・もちろん、ミニデジタルがハズレ(1/400)を引くと、1セット14回のアタッカー開放が消滅する。
やはり、安定した出玉を得る為には、アタッカー方向に玉が流れやすい台を選ぶ必要アリ。さらに、下段アタッカーが玉を拾いにくい台も、極力避けねばならない。
連チャンについて
本機の場合、大当り中の右打ちは不要だったので、大当り中もメインデジタルが回る。
(=デジタル一般電役の特徴)
大当り中、再度メインデジタルが揃うと「ダブル」となり、その時点で電チューBが再び開く。B入賞でミニデジタルの保留は満タンとなり、アタッカーの連動も最初に戻る。
1/187と高確率なので、釘がまともであれば、ダブル、トリプルの機会は多かった。
但し、大当り中の「序盤」にダブるか、「終盤」でダブるかによって、出玉に大きな差がついた。
デジパチの保留連チャンは嬉しいが、本機での即連は出玉がほとんど増えず、全く嬉しくない。やはり、ミニデジの保留ランプを全消化した終盤でダブるのが、理想的な連チャンタイミングだった。
本機は、大当り動作中や大当り動作終了後に、早い回転数で再び大当りする「数珠連チャン」アリ、と勘繰られたことがあった。しかし、「現金機連チャン規制」が強い時期に登場した本機に、怪しい「カラクリ」は存在しなかった。実際、数珠連ぽく当るケースも多かったが、それも「1/187」の高確率がなせる偶然の業に過ぎなかった。