キタカゼとタイヨウ

「意識不明の重体」「重症びまん性脳損傷」から奇跡的に回復、社会人になった息子のこと。母の読書記録などなど。

6月21日の事

2015-10-01 18:49:41 | 交通事故・高次脳機能障害
面会時間よりずっと早く8時前に行って、控室のインターホンを押す。
時間外なのに、気落ちよく中に入れてくれる看護師さん。

ベッドサイドへ行くとあまり変わらない様子の息子。

でも、この日無意識ながら暴れまくる息子。

どうやら・・・・人工呼吸器が苦しいらしい。
呼びかけても反応しないけど、手足は動く。
足の裏をくすぐったら、反応あり。

ただそれだけでまた涙が出る。

人工呼吸器だけじゃなく、胃まで入っている管を抜いてしまいそうなので、
手を拘束された。

また、涙が出る。

耳元で言い聞かせる。

  大きな川が見えたら渡っちゃだめだよ、引き返しておいで。
  きれいな花畑にでたら、進んじゃだめよ、戻っておいで。
  まだ、逝くのは早いよ。
  修学旅行、行くんでしょ。
  彼女ちゃんが泣いてるよ。
  お母さん、代わってあげるから。
  また焼き肉食べに行こうよ。
  一番高いコース、おなかいっぱい食べよう。
  

  頑張ってるのはわかってるよ
  でも、もうちょっともうこれ以上がんばれないってとこまで頑張って。
  今、ここで頑張らなきゃ、もうがんばるところないんだよ。
  絶対、頑張らなくちゃだめだよ。

  代わってあげれれなくて、ごめんね。
  

前日までなんでもなかった顔が青黒く変わって、腫れてくる。
みるからに痛々しい息子。

この日は消灯を待たずに帰宅。

私は気が狂いそう・・・・

6月20日の事(2)

2015-10-01 18:36:42 | 交通事故・高次脳機能障害
やっと息子に面会することができます。

まず、駆け付けてくれた実家の父と私が救命センターに入ります。
たくさんの機会に囲まれて、息子が寝ていました。

呼びかけても、触っても、全く反応しません。
手を握っても握り返すことも、ほほに触れても嫌がるそぶりも・・・

お巡りさんが来ていて、加害者の方が来ている

と言ったら、付き添ってくれた看護師さんが
「こんな状態でお母さんに会わせるわけにいきません!」とすごい剣幕で怒ってくれて、
私たち家族のために別室を用意してくれました。

上の娘たち、実家の両親、義父母・・・たくさんの人が駆け付けてくれましたが
夫だけが帰ってきません。

結局、夫が病院に着いたのは午後5時。
「遅いよ」と言って手を握ったまま、救命センターに入りました。

この日、私たち夫婦は病院側の好意で消灯過ぎまで息子のそばにいられました。
息子は・・・・ピクリともしませんでした。



看護師さんが

 長期戦になるから、帰って自分の布団でしっかり寝てください。
 明日、少し早目にいらしても入れるように引継ぎしておきます。

と言ってくれたので、後ろ髪をひかれながらも帰宅しました。


とにかく、この晩は二人で泣きました。
こんなに泣いたことがないというほど泣きましたが、

 私が倒れるわけにはいかない!

と必死で差し入れてもらったおにぎりを冷たいまま食べ、
泣きながらだけど、寝ました。





6月20日の事(1)

2015-10-01 18:11:18 | 交通事故・高次脳機能障害
高校2年生の愛息が自転車で走行中後ろから車に追突され、頭を強く打ち

   意識不明の重体

で医療センターに搬送され、救命センターに入院しました。

病院からの電話で事故を知った私は
「保険証を持ってすぐ来てください」
と言われたので、そんな大事になっていることも知らず、
医療センターへ駆けつけました。

入院の手続きをして、待てども待てども息子に会えません。
途中、息子を搬送してくれた救急隊の方に
「息子さんの生年月日と現住所を教えてください」
と言われたので、そこで初めてうちの子は
「生年月日も言えない状況なんだ」
と気づきます、でも、認めたくない気持ちもあって
「息子はどうなんですか?」
と問いかけると救急隊の方たちは私と決して目を合わせず、
「先生に聞いてください」
と言って帰ってしまいました。

その後、看護師さんが
「CTでは様子がはっきりしないので、今からMRIを撮ります、もう少しお待ちください」
と声をかけに来てくれましたが、やはり息子の様子を尋ねると
「あとで先生から説明があります」
とだけで、息子の様子はさっぱりわかりません。

夫は朝早く旅行へ出かけたので、とりあえず、夫と実家の両親に息子が事故ったことだけ伝え、
廊下でひたすら待ちました。

病院から連絡を受けて、顧問の先生が駆け付けて下さり、
「大丈夫、大丈夫」と言い続けてくれましたが・・・

待つこと1時間ちょっと、救急救命センターの家族控室に案内されました。

「息子さんに会う前に、先生から説明がありますが、お父さんは?」
と聞かれ、
「旅行中です」
と答えると
「すぐ呼び戻してください、お母さん、一人で話聞けますか?」
と言われ・・・・

でも、まさかそんな大事だと思わないから誰も呼んでなくて、一人で話を聞きました。

付き添ってくれた看護師さんが、ティッシュの箱を私の目の前にだし
「我慢しなくていいですからね」
と言ってくれた時には、体の震えが止まらなくて。。。。。

一人で、先生の話を聞きました。

その話を看護師さんが次のようにまとめてくれました。

診断はびまん性脳損傷と言い、脳全体に細かいダメージができたことで
現在昏睡状態です。非常に重篤な状態であり、呼吸管理、点滴、脳圧管理、
けいれん対策などをしています。
現在、手術でよくすることができる状態ではないので、上記の治療を
行っていきます。


息子のCTとMRIの写真を見ながら話を聞きました。
CTでは異常が見られないのに、MRIを見るとまるで星空のように、出血している点が認められました。

 先生、息子は今痛い思いをしていますか?

と聞くと先生は

 感じる機能は今のところ低下しているので、痛くはないと思います。



ちょっとだけホッとしました。
痛いのが嫌いな息子が、痛くて痛くて・・・・なんて状況だったらどうしようかと。


その後、看護師さんと面会者の名簿(親兄弟しか会えないので)を作って、
介護用品のレンタルの手続きをして、控室に戻ると
実妹夫婦が来ていて・・・あとは私は泣くしかできませんでした。