のほほん書斎(日高茂和)

私にはノイズ

「待合室」

なんとなく懐かしい響きのある言葉に感じる。

テレコやトランジスタ・ラジオが、持ち歩き音出し機の元祖であろう。

ウオーク・マンは、各自お好みの音をウオークしながら楽しめるという、持ち歩き音出しに画期的な変化を与えた。

ポータブルCD、MDと機器は変遷し、Iポッド、携帯電話とドッグ・イヤーで進化を続け、もう、待合室で、ただ待っているだけという人は珍しくなった。


常に、めいめいが、それぞれにすることのある時代に、私にはノイズである。

なぜか、公共交通機関の船舶の客室にだけはテレビが置いてあり、陸から離れれば、ザーザーと音付き砂嵐を吹かせ、電波が良好なときには、「やめてくれっ」と裂帛の気合を入れて叫びたくなるようなワーワーキャーキャーのお騒ぎ番組が聞こえてくる。

本さえ集中して読めないことがある。

拷問かと思える航行時間を、ひたすら目的地に着くまで耐えなければならない。

公共の、ある種の拘束の時を共有する場所に、テレビは必要ない。

私には、暴力的と言いたくなるほどの、ノイズである。
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