◆いんぎょ・・・印鑑
・印形(インギョウ)と言う言葉を知ったのは三十代の終わりぐらいだったと思う。歴史の本か時代ものの小説に出てきて知った。その時に、同居していた祖母(明治十八年生まれ)が印鑑のことを「いんぎょ」と発音していたことを思い出した。
不思議な呼び方をするものだと、高一の時に霊山浄土へ見送ったあともその語感は謎めいたまま、押印するときにちょくちょく思いだしていた。
ラジオもテレビもない時代に大人になった祖母は、江戸時代の人だった親が使う言葉を引き継いで使ったであろうから、ハンコのことを印形の転訛したインギョと発音していたのだろう。
祖母がその母や父たちから受け継いだ言葉は、江戸時代の空気だったのだなと思う。
(見出し画像は五島市福江の石田城の大手門遺構・城山神社の脇)