子供の頃は台風が来る前には近所からトントントントントンと木製の雨戸や窓を釘付けする音が聞こえてきた。「養生」をする音だ。
今でも思い出せる印象的な小気味よい音だったのは、当時のおおかたのおじさん達は金槌や釘を扱い慣れていたからだろう。
アルミサッシ全盛の現代ではもう聞くこともない音だ。
子供の頃にはまだまだ木製の窓や木の雨戸がある家がけっこうあった。
私が生まれた1963年生まれが、市街地にある河川改修工事前の川や同じく市街地の舗装されていない道路を見たことがある最後の世代だとラジオかなんかで聞いて妙に納得したことがある。
今では台風前の「養生」はアルミサッシのガラス窓にバツ印にテープを貼るというものだが、剥がすのが面倒なのか剥げないのか、窓の柄かしているのをあちこちで見かける。