夕方の光景

夕方、と言っても四時過ぎくらいの話である。

仕事で、下波佐見地区を車で通った。
すでに日は西に傾き、電柱の影が長く伸びている。
水を入れたコップに赤いインクを数滴落としたような淡く、ロゼのような色にすべてが染まっている。

小学生が下校している。
一人で歩いている子はいない。皆、二人連れか数人のグループだ。
男の子同士、女の子同士がほとんどだが、なかには男の子と女の子が二人で笑顔で話をしながら帰っている子もいる。昔見た映画「小さな恋のメロディ」を思い出す。なんとなくうらやましくも微笑ましく、心がホットになる光景である。

やんちゃ坊主のグループは、じゃんけんで罰ゲームをしながら歩いているようだ。ランドセルを三つかついだ奴がいる。それでもイヤそうな顔をしていないからイジメでないことは明らかだ。

一瞬にして三十数年前にデジャブしたかのような、そんな数十秒を車で通りしなに感じた昨日のできごとである。

平和であれ、健やかであれ。そう、心のなかでつぶやいた。