土曜日、あんとホームセンターに行った。
このホームセンターに行くとあんはペット用の台車に乗る。
この乗っている姿が可愛く、たまに「可愛い」と言われる。
そこで内心「でれぇ」っとしてしまう。
それでも、長い間乗っているとまだ微妙に怖いらしく、小刻みにブルブル震え始めた。
だから、声を掛け、「大丈夫だよ」と言い、身体を撫でてあげる。
そこで運良くあんの獣医さんに会った。
あんは獣医さんが会う度におやつをくれるとっても優しい人と認識しているらしく、会うととても喜ぶのである。
獣医さんに会い、喜んだあんはもう震えることはなかった。
ここぞと思い、いろんなところを歩き回り、あんをいろんなものに慣れてもらおうと試みることが出来た。
レジの近くにワインを置いてあり、そこに男性が一人販売員としていた。
あんと近くを通ると、その彼はあんを見て、「ほんとうに綺麗ですね」と微笑み言ってくれた。
あまりに褒めるのでその彼の顔を見返すこともままならず、お辞儀をしてレジに向かった。
そして、また帰りにワインのコーナーの横を通ると、その彼は「ほんとうに綺麗ですね」と言った。
今度はしっかりとその彼の目を見て、お辞儀をした。
あんのことをそんなに褒めてくれるのなら、ワインの一本でも買って帰ろうかと思ったくらいだった。
あぶない、あぶない、セールスのプロの技か、またはただの柴犬好きなのか、どうか分からなかったが買うつもりもない高いワインを買っても良いかなと思うほど、心を嬉しくなっていた。