「先生{私のこと}、オレはもうダメだ。どん底だ。乞食から、どうしても抜け出せない。どうにもこうにもならないんだ。それはとても重いものを上から載せられ、動かされなくされているみたいなんだ。どん底なんだ。オレも先生みたいに生きたい。だけど、何の因果か分からないけど、どうしても抜け出せないんだ。普通の人は道を普通に歩けるけど、オレの道はゴツゴツしていて、どうしても上手く歩けないんだ。先生、生まれ変わりを信じるかい?オレは以前何をしていたんだろうね。何か悪いことをしていたのかな。こんなどん底の味わなきゃいけないだからさ。死にたいけど、死ぬに死ねない苦しみがあるだけ、惨めなだけ、まったくどん底なんだよ・・・・」
彼はどこかで手にしたビニールに入ったパンを片手に持ち、私と一緒にカレーの炊き出しに向かい歩きながら、そう語った。
彼は悲嘆に暮れながら、どうしようもない自身に苦笑いしながら、私にいつも苦しみを語る。
非力な私はただ話しを聞きながら一緒に歩いた。
ほんとうに非力だと感じながら。
しかしその思いを乗り越え、その思いを感じるのは今ではない、この瞬間、私は私を無くし、彼の苦しみだけを思う必要があった。
ほんとうに短い時間だったが、それしか彼のうちに苦しんだ姿で現れたイエスに捧げるものがなかった。