昨夜、仙台コミュニケーション企画の先輩であった山家一男(やんべ・かずお)さんを偲ぶ会が催された。田中宇は家族に2時間で帰ると告げていたようだが、結局、日付が変わる頃まで一緒に飲むことになった。いつも僕を蒲田までタクシーに一緒に乗っけていってくれた山家さんはもうこの世の人ではない。田中にいろいろ説明をしなければならない事情のあった僕は、ひさびさに彼の家に泊めてもらうことになった。
やや遅く起きた我々は、僕が直面している課題について2時間弱、話し合った。3月に予定されている、彼をゲストに招く「オープンセッション」の公開収録にも関わる話だが、それ以上にこれから総力を挙げて取り組まなければならない、標記のプロジェクトについての意見交換、というより「しげの何やってるんだ大丈夫か」的なことである。
そして、今日中に標記の声明を書いてウェブサイトに公開する、と約束して別れた。
もともとWeBのレイアウトはど素人の上に、CSSを長い間いじっていなかったので、 コーディングにはなはだ長時間をかけた割に本当に粗末で貧相なページが出来上がった。
http://opensession.main.jp/opensession-project.html
しかし、ここからがスタートだ。
自分の非力さと遅さはよーくわかっているが、非力ななりの全力を尽くそう。
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2015-02-15 声明001
「障害福祉で大田区をよくする!」プロジェクトを始めます。
「障害福祉で大田区をよくする!」プロジェクトとは、地域社会と障害福祉のについて今まで考えられてきたことを見直し、新たに「障害福祉による大田区の成長戦略」という、一見変てこりんなプランを、障害とか福祉とかを身近に考えられなかった人たちを含めたみんなで作り上げよう!というプロジェクトです。
「障害者とよばれる人々」の人権は十分に保障されてはいない、という現状があります。
また、それは仕方のないことだ、という社会通念があります。
その社会通念の前に、障害当事者も、家族も、支援者も、行政も拘束されたままです。
2007年9月、「障害という社会問題は、地域の中に存在する」というテーマの下に、当時、東京コロニー東京都大田福祉工場で働いていた茂野俊哉と、NPO法人「みんなの家」で働いていた中村和利の2名はJR蒲田駅東口ロータリーで、「障害福祉を語るインターネットラジオ OpenSession♪」をスタートしました。「この計画では、3ヶ月間同一の場所で、障害福祉をテーマにした「話」を街に向けてすることにより、「障害という『社会問題』は地域の中に存在する」という意識を、街に刷り込んでいくことを実験的に狙います。」というものでした。
この7年余りの間に、日本政府は、国連障害者権利条約を批准しました。日本政府は、この条約を守り実行する義務を負っています。しかし現実には、この条約の指し示す理念の一方で、行政や社会は「本人の自助努力や家族の努力でカバーできない社会的弱者を、その時々の社会の余裕の範囲内で支援する」という従来の障害福祉から脱却できないでいます。このギャップはなかなか埋まりそうもありません。とりわけ、株式会社的手法一辺倒になった国政レベルでの政策の矛盾は絶望的にすら思えます。
しかし、「国が悪い、政府が悪い、マスコミが悪い」と言い続けているだけでは、この状況を変えていくことはできないだろうと考えています。
身を挺して、声を張り上げながら消耗しつつ生きるしかなかった、1980年代の先人たちの「障害当事者が人として生きるためのたたかい」と共にあった記憶を反芻しつつ、障害福祉の現状と伴走しながら、私たちはこの間も、権利に基づく障害福祉の実現を熱望し、また希望と挫折の繰り返しの日々を過ごしてきました。その中から、私たちが状況に手をかける手がかりは、まず私たちの地域:具体的には大田区にあるだとうと考えてきました。家族や町内会、あるいは職場などという私的な単位を除いて、まず私たちがアクセス・検証可能な公的な社会の最小単位がそこにあるからです。国政レベルでは政党党派・所属団体の系列で統制され分断されている人々も、大田区という単位の中では合意形成し協働できる可能性が残されているのではないか。「大田区の障害福祉を共に考える『おおたフォーラム』」や「大田区障害者権利条例案を作ってしまう会」あるいは大田区障害者自立支援協議会への参加など、さまざまな試行錯誤に乏しい力を費やしてきました。その努力は、いくぶんかは成果となっているのではと考えています。
そして、その過程で思い知らされてきたことは、
「『正論』だけでは人は合意形成できない」ということです。
障害福祉は、人権の具体的な保障のために欠くことができないものです。しかし、現実には、大田区においても、障害福祉は当事者と家族と事業者の間で閉じられた課題であり、事実上、社会の必要な政策の最後尾に置かれています。
そして、障害福祉のニーズの量的な増加を行政も、議員も、警戒しています。
その理由は、以下の社会通念にあるようです。
1.障害福祉は生産性がない。社会に負荷をかける。社会の余裕の範囲内で提供するしかない。
2.障害福祉は票にならない。票にならないことは政策にならない。
ならば、「障害福祉は社会の重荷だ」という社会通念を転覆するところから始めるしかない。
私たちは、障害福祉という課題にかかわることで、多くの学びと力を得てきました。
「障害福祉は障害当事者だけでなく、それに関わる社会と人を強く豊かにする力を持っている」という確信を持っています。
だから、「障害福祉を大田区の最優先課題にすると、大田区が強く豊かになる」という「障害福祉による大田区成長戦略:アビリノミクス」を唱えることにします。「障害福祉トリクルダウン」みたいなことも提唱します。
そして、このことをできる限り多くの人と考え、その過程と成果を共有していきたい、と考えています。
また、この提唱がどれだけの人たちの合意と賛同を得られるのか、その具体的な検証の場も設定していきたい、と考えています。
障害は形成途上の概念である、と国連障害者権利条約は言っています。
私たちの提唱も、常に形成途上です。以降の継続した注目と、可能であれば参加をお願いします。
最後に、「僕らは1ミリもふざけていない。」
◆補足資料:障害福祉をめぐるこの間の国の動き(随時更新予定)
○国連障害者権利条約について
「障害者権利条約は,2006年12月13日に国連総会において採択され,2008年5月3日に発効しました。我が国は2007年9月28日に,高村正彦外務大臣(当時)がこの条約に署名,2014年1月20日に,批准書を寄託しました。また,同年2月19日に同条約は我が国について効力を発生しました。」
※(外務省ホームページより)http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/jinken/index_shogaisha.html
障害者権利条約は、以下の特徴を持っています。
1 障害とは機能障害と社会的な障壁との相互作用である、とする、「障害の社会モデル」の採用
2 合理的配慮を行わないことを差別に含む
※国連障害者権利条約についてのその他の情報は、以下のサイトを参考にしてください。
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/rights/right.html
○障害福祉改革のこの間の流れについて(書きかけです)
・2009年12月、障害者の権利に関する条約(以下、「障害者権利条約」という)の締結に必要な国内法の整備を始めとする障害者に係る制度の集中的な改革を目的として「障がい者制度改革推進本部」が設置され、この下で、障害者施策の推進に関する意見をまとめる「障がい者制度改革推進会議」(以下「推進会議」という)が発足しました。・・・
・2010年6月29日、政府は閣議決定を行い、推進会議の「第一次意見」を最大限に尊重し「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」を定めました。その中で、とくに「『障害者総合福祉法』(仮称)の制定」に関しては、「応益負担を原則とする現行の障害者自立支援法(平成17年法律第123号)を廃止し、制度の谷間のない支援の提供、個々のニーズに基づいた地域生活支援体系の整備等を内容とする「障害者総合福祉法」(仮称)の制定に向け、第一次意見に沿って必要な検討を行い、平成24年(2012年)常会への法案提出、25年(2013年)8月までの施行を目指す。」と定められました。
・2011年8月5日、障害者権利条約に示されたことを日本国内の法律に具体的に反映する第一歩として、障害者基本法が改正されました。
※改正障害者基本法<わかりやすい版>
http://www.dinf.ne.jp/doc/japanese/law/6laws/kihon_easy_no.html
・そして、2011年8月30日に「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言 -新法の制定を目指して-」が発表されました。いわゆる「骨格提言」です。
(以下、続く)
◆補足資料2:私たちのいままでの活動や発言など(随時更新予定)
○障害福祉を語るインターネットラジオ オープンセッション
・番組企画書
http://www015.upp.so-net.ne.jp/shigehp/0827.html
・現在のサイト
○大田区の障害福祉を共に考える『おおたフォーラム』
http://www.geocities.jp/oota_forum/
○大田区障害者権利条例案を作ってしまう会
https://ja-jp.facebook.com/kenridayoo
◆現在プロジェクトに参加しているメンバー:
随時更新。以下のリンクを参照してください。
○茂野俊哉:
・茂野俊哉 (@shigeno_toshiya) | Twitter
https://twitter.com/shigeno_toshiya
・茂野 俊哉 | Facebook
https://ja-jp.facebook.com/toshiya.shigeno.1
・ブログ「はい、しげのですが?」
http://blog.goo.ne.jp/shigeno_oota
○中村和利:
・中村和利 27.7%←37.2% (@kaminaritokaze) | Twitter
https://twitter.com/kaminaritokaze
・中村 和利 | Facebook
https://ja-jp.facebook.com/kaminariboy?hc_location=stream
・疾風迅雷~忘れる前に書く~ - アメーバブログ
http://ameblo.jp/kaminariboy2010/
○田中宇:
・田中宇の国際ニュース解説
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ページの元になったドキュメントも公開しておく。
https://docs.google.com/document/d/1qOmv5CaWwGUr6OxoR6HF47jTCM8iSyr3jKcxomsh-h0/edit?usp=sharing
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