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(仮称)おおた障がい施策推進プラン(素案)に関する意見

2015年01月07日 18時08分07秒 | 障害者権利条約Vs障害福祉

大田区 福祉部 障害福祉課 障害者支援担当(計画) 宛

2015年1月7日

(仮称)おおた障がい施策推進プラン(素案)に関する意見

障害者権利条約では、障害の定義において従来の医学モデル・個人モデルから障害の社会モデルの採用がされています。障害者権利条約の批准によって、日本の制度政策で変更が必要になった事項は、まずこの新しい障害の定義に関わる部分です。

本計画はその趣旨と背景で、障害者権利条約および障害者基本法に基づくとしています。
にもかかわらず、本計画では、その基本姿勢で、障害の社会モデルに基づく変更が加えられていません。
その結果として、具体的な体系案でも、施策の9割が相変わらず障害福祉課の所管です。その示すものは、従来と変わらず「社会の側は変わらなくてもよい」というメッセージに見えます。

改めて国連障害者権利条約における障害の定義を引用します。

「(e) 障害〔ディスアビリティ〕が形成途上にある〔徐々に発展している〕概念であること、また 、障害が機能障害〔インペアメント〕のある人と態度及び環境に関する障壁との相互作用であって、機能障害のある人が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げるものから生ずることを認め、」(前文より)

「障害〔ディスアビリティ〕のある人には、長期の身体的、精神的、知的又は感覚的な機能障害〔インペアメント〕のある人を含む。これらの機能障害は、種々の障壁と相互に作用することにより、機能障害のある人が他の者との平等を基礎として社会に完全かつ効果的に参加することを妨げることがある。」(第1条 目的より)

すなわち、態度及び環境に関する障壁を作り出している側の社会が、障害という「社会問題」の解決の鍵を握っている、という前提に基づいて、従来の施策体系を見直しなさい、と 条約は締約国に対して言っています。
とりわけ日本の障害福祉施策は、障害を個人の問題として、医療や訓練によって改善しない障害によって生じる不利益は基本的に個人と家族が負うものだ、という合意に基づいて作られてきたのだから、この変更は大きなものになります。

以上の観点から、計画の基本的な考え方に、以下の3点を盛り込むことを求めます。

 1 社会モデルにおける障害とは何かを説明する
(障害者権利条約が示した障害の定義が、従来の障害の理解とは違うのだから、まずそのことは説明する必要がある)

 2 社会全体が障害者とどのような関係を持ち責務を負うのかを説明する
(行政が障害者に対して支援できるサービスだけを示すのではなく、民間企業や個々の区民を含む社会の側に、障害者が直面する問題に対して関わりを持つ必要がある、ということを行政として説明する必要がある)

 3 その上で、全体の支援の中の専門領域としての障害福祉は何ができるかを説明する
(障害福祉の行政だけでできることは、ほんの一部でしかないはずだが、その認識が欠落していて、行政の障害福祉サービスが障害者と関わるすべてであるような形になっている。)


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