はい、しげのですが?

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ノート「死の灰と闘う科学者」

2011年05月07日 18時03分32秒 | 原発と放射能
※放射能の単位に続いて、人体に与える影響量が次の課題だったが、まだ調査中なので、先に、この間読んだ本から、情報をピックアップしておきます。

「死の灰と闘う科学者」1972:三宅泰雄:岩波新書

■海水では、汚染物質は希釈されない。

★p59-61
すでにのべたように、海水の放射能については、アメリカ原子力委員会のストローズ委員長は、それをつよく否定していた。
「実験場のごく近くをのぞいては、ビキニ海域の海水には放射能はない」と彼はいった。冗談だったのだろうが、「海水の放射能は、あったとしてもロスアンゼルス市の水道水のそれくらいのものだ」とまでいってしまったのだった。俊鶻丸の顧問団のなかにも、「大きい池のなかに赤インキを一滴おとしたようなもの。海水には放射能は検出されないだろう」と考えている人がむしろ多かった。
 しかし、現実はそうではなかった。・・・ウェーキ島をでて2日目、5月30日の朝、海水中に1リットルあたりはじめて150cpmの放射能が検出された。プランクトンにも生重量1グラムあたり、数千から1万cpmの放射能があった。船体も漁網も、手袋も放射能で汚染された。
その翌朝、第6回目の観測がおこなわれた。海水もプランクトンも、前日よりさらに汚染の度をくわえていた。このあたりには、北赤道海流がながれていて、海水は東から西へ流れているはずであった。ここは、いわばビキニ環礁からは上流にあたるところである。しかも、ビキニ環礁から1000キロも東にはなれていた。

(なお、cpm値に、0.00833をかけると、マイクロシーベルト/時らしい。)

★p67-68
海の表面ちかくには、水温が高く、したがって水の密度が低い層があって、ちょうどわかしたての風呂の湯のように、あったかい水が表面にうかんでいる。このあたたかい水は、下の水と容易にまじりあわない。

海洋に廃棄物をすてても、水がたくさんあるから、すぐうすめられてしまう、と人々はかんがえがちだ。しかし、その考えはまちがいである。海洋では、水平の方向にも、密度の違う異質の水が、たがいにモザイクのようにならんでいる。その境は不連続面でしきられていて、水は交換できない。そのモザイクのなかを、海流がまるで大河の水のようにながれているところもある。海洋ではみずは、水平の方向にも、かんたんにはまじりあわないのである。
 ビキニ環礁の付近から流れ出した放射性物質は、深さにして、せいぜい100メートルくらい(混合層のあつさ)、幅は数十キロから数百キロくらいのせまいベルト状になり、その大部分は西の方向にゆっくりながれていた。ビキニ・エニウェトク環礁から1000キロ以上はなれたところでも、海水中に放射能を、容易に検出することができた。


■雨水の放射性物質

★p92
雨水にはもともと、ラドンの壊変生成物が入っていて、ふりはじめの雨では数千から一万cpm/Lの放射能をしめしている。しかし、その半減期は30分前後であるから、降水後、6時間以上たてば、天然放射能はほとんど消滅する。

★p112 すでにアメリカの大陸実験でわかっていたことだが、空中に飛散した放射性物質の90%以上は、雨(雪)とともに落ちてくる。雨が降っていない所では、放射性落下物はほとんど落ちてこない。

■原子力潜水艦から原発へ

★p125
1954年という年が、アメリカの原子力開発にとって重要な年であったのは、単にブラボー爆弾の完成だけではなかった。この年に、世界最初の原子力潜水艦ノーチラス号が進水(1月21日)、ついで就役(9月30日)したのである。
原子力潜水艦の動力として用いた原子炉は、のちに大型発電炉の原型になった。濃縮ウランを核燃料とする、いわゆる軽水型の発電炉がそれである。

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