わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

下町ロケット

2015-11-26 | 映画・ドラマ・本
Happy Thanksgiving!

と、言いましても、私、日本人やし、だいたい単身赴任(?)ですやん。特に七面鳥好きでもないし、バーゲンも興味ないし、会社4連休でヒマなだけですやん。Thanksgiving(感謝祭)は、飢えてたピルグリムを現地民が哀れに思って食べ物を分けてあげて「GivingしくれてThanks」が源なので、満腹になっても更に詰め込む勢いで食べまくり、その後は散歩というのが正しいパターンらしく、いつもは無人の公園を歩くご家族やカップルも多い。ならば、誰もいない公園を勝手に犬を走らせるのが好きな私と愛犬としてもつまらん。で、家にお篭りでテレビ見ました。うちには中古で譲ってもらった42インチのテレビがありますが、サテライトもケーブルも入れていないので、ひたすらDVDかPCのストリーミングで使うだけ。昨今は、日本の人気ドラマも、アメリカで直ぐに見られるんだから良い時代になったものです。

 で(前振り長っ!)、人気ドラマだという「下町ロケット」を第6話まで一気見しましたよ。原作の下町ロケットのほうは、文庫本になったときに買って読みましたが、読むだけでは私などにはまるで理解できなかったバルブのシステムや磨き具合の差等が画像で見られるし、CGを使った丁寧な説明もあって、いっそう楽しめました。今回もカリカチュアされたようないやんな銀行員が出てきます。困った時には手を差し伸べず、調子がよくなったらまた取引しろなんてふざけるな!のシーンは、半沢直樹の復讐譚クライマックスを髣髴させる「この印籠が目に入らぬか!」モーメントなんだけど、銀行さんもビジネスだしねぇ… 実際、助けたくても無理と言う状況は多いと思います。娘の、友達の親の会社が倒産しそうだから助けてあげて!という頼みを断る航平と全く同じではないかと。ってゆーか、会社の金を勝手に1億使ったら、いくらオーナー社長でも、それ犯罪だから。娘にもそう説明したほうがいいんじゃないの?

 大企業の監査チーム、下請けの分際で~!中小企業の癖に~!って、偉そうですが、実際は殿村さんの言うとおり、下請け側だって、自分の部品を売る相手を選ぶ権利があるのです。特許を持っていて、他社では作れない製品を持つ部品会社なんか超強いじゃありませんか。ただ、これを言い出したのが、元々は大手都銀の行員であった殿村さんで、ムカついたり、萎縮しちゃった佃製作所側が何も言えなかったのには、下請けとか中小企業の社員であることへのコンプレックスが示唆されていたなら、哀しくも怖い。一方で、大企業に働くエリートであることを鼻に掛ける監査チームの面々は、どうやって洗脳したらこうなるのってほど、自分がその会社の社員であることを誇り(本社勤務ならまだ、現地雇でさえそうだもんね)、当社の部品を作れることを光栄だと思えとかって言い出す某社がモデルなんでしょうけど。私、悪名高き行政監査に付き合ったことあるけど、超エリートなキャリア官僚様ですら、監査中は慇懃な態度を決して崩さなかったものですよ。


 最初のロケットのお話がとてもきれいに大団円を迎えたのに、続き?と、思ったら、今度は心臓弁開発のお話へ。これからも展開が楽しみ。朝日新聞のサイトで原作「下町ロケット2」が始めの数話だけ公開されていますが、本のほうは書き足し部分も多いそうなので、文庫になったら読みたいな。

 「2」は、他の追随を許さない技術力でこの先も安泰と思われた佃製作所にライバル登場、そこへかつての社員の伝手もあり、人工心臓弁の制作に取り掛る決心をしたところで、第6話(ガウディ計画の第一話)が終わりました。トライアル品の中にわざと不良品を混入させた真野の行為は、立派に犯罪だと思うのですが、日本じゃそうはならないのかな?その彼を暖かく迎え入れるのは、いくらなんでも寛容すぎないかと思うのですが。彼とともに製作所を訪れたのは、心臓外科医の一村教授と編み物用の糸の会社を経営する桜田さん。一村教授はゴッドハンドと呼ばれるほどの外科医でありながら、田舎のおっさんって感じの風貌が良いですね。ドラマやアニメの一流外科医といえば、ギラギラした男前って先入観あるんで。「医龍」の浅田とか、天才外科医の代名詞「ブラックジャック」とか(間黒男はハンサムなんです!見た目だって絶対スーパーカッコいいんです!!異論は認めない)。

 桜田さんに、佃が、なぜそれほど臓弁開発にのめり込むのか?と聞いた時、「娘が心臓病で死んだんでしょ~」と思ったら、ホントそうだった。「1」でも、佃製作所を特許侵害で訴えたマネムラこと中村工業へのカウンターメジャーが、「(そんなマネばっかしてる会社なら、特許たくさん持ってる佃の真似してるの他にあるに違いないから、)逆訴訟でしょ~」と思ったら、そのまんまだったように、予定調和が混ざるのも人気の秘密かな?

 このドラマの魅力は当然、熱くなれるお話に加え、演じる役者さん達の魅力ですよね。日本を離れて長く、新しい芸能人に疎い私がたまに日本の映画やドラマを観ると、あの人がこんなオジサン、オバサンに?!と驚くのですが、今回も、かつてはヤンキーの兄ちゃんっぽかった吉川晃司に世良公則の中年ぶりに「ワチャー!」ですよ。佃航平のお母さんが、倍賞美津子さんってのも、ホエー!そりゃ、原節子さんが95歳ですものねぇ…

 吉川氏の財前部長はスタイリッシュで、いかにも高級そうなスーツ姿もかっこいい。昔、デビュー直後の吉川浩晃司さんをお見かけしたことがありますが、背の高い人だなぁという印象でした。体格が良いので、実際以上に高く思えたのもありますが。その吉川さんより、更に頭半分高い阿部寛さん、あんたはどれだけ高いのよ?と。公式によると、吉川さんは182cmで阿部さんは189cmとありますが、絶対どっちかがサバ読んでるよね。あの身長差が7cmなワケないよ~

 一方、世良公則氏は、立派に脂ぎったおっさんになられましたね。名誉と権力に取り憑かれた医師って役割が説得力あります。黒塗り高級車と料亭が似合いすぎ。越前屋お前も悪よのぇ、ってセリフが出てきそうでワクワクする。ライバル会社の社長が小泉くんも、根回し得意な若手政治家風な、頭いいけどコスい男がシャレならんほどハマってます。

 社長の杉良太郎さん、私世代には遠山の金さんなのですが、流石に貫禄ありますね。大企業の社長たるもの、これほどの権力と威信を持つものかと感心しました。ここは議事堂か?ってほどの重圧な会議室へ向かう廊下、007の悪の組織並みに重圧名重役会議室。そこで圧倒的存在感を示す、杉氏の社長。実際社会だと、世界の大企業、トヨタの幹部なんかそんな感じなのかしらん、と、思ったら、タイミングよすぎでトヨタグループの総帥・豊田章男トヨタ社長の親戚で、参加会社の製造本部副本部長が、女子大生に採用と引き換えに完成を迫る、なんてニュースで、トホホ… しかし、そんなに美人でセクシーな女子大生だったのか、ぜひともご尊顔を拝んでみたい。イメージは壇蜜www

 原作者の池井戸潤氏は、半沢直樹も慶応大学出身、今回も主人公たちの出身校が慶応大学の理工学部で、自分の卒業した大学を愛してるんだな、と、思います。でも、ご自身は、経済学部でも理工学部でもなかったんですね。ちなみに、半沢直樹シリーズは、実際に池井戸氏と同学年で、経済学部金融ゼミ出身の私には、身につまされる事が多くて気軽に読めませんでしたよ…