わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

ゆるい週末にゆるい邦画

2017-02-11 | 映画・ドラマ・本
 ポカポカ日和の今週末、お出掛けしたい気持ちを抑え、今日も大人しく家で安静にしています。油断大敵、病気は治りかけが大事と言いますものね。一ヶ月以上を経て、やーっと紫斑病の症状が薄れつつあるので、こので我慢、我慢です。

 最低限の家事のほかは、こたつに座って、PCでゆるい映画を見ながら、なんとなく雑誌の切抜きを整理したり、思い出して洗面所の棚に放置の期限切れ薬等を処分し、基本的にゆるゆると過ごしております。

 YouTube等で観られる少し前の日本の映画は、ゆるい週末を過ごすのにぴったりです。今日見た3本はどれも、ずーっと観てたら退屈な(ごめんんさい)、ながら見向けのユルい作品でした。偶然、3本とも原作付き。

 まずは藤沢周平の短編小説を原作とする、2008年の「山桜」です。田中麗奈さん演じる主人公の野江は夫と死別し、金貸しを営む磯村家に嫁いでいます。やっと暇をもらっての叔母の墓参りの帰り、剣術の使い手で高邁な人柄、その上イケメン(なんてったって東山紀之)の手塚弥一郎に出会います。凶作続きで農民が苦しんでいるのに、藩主の居ぬ間に私腹を肥やす執政の諏訪を城中で殺傷し、投獄される手塚。磯村家に暇を出されて実家に戻った野江は、牢中の手塚の無事を祈ってお百度参り。

 ラストは、山桜の満開の中、江戸でのお勤めを終えた藩主の参勤交代の列。出戻り二回の野江さん、ちょっと遠回りしたけれど、3度目は幸せになれそうな余韻を残して映画は終わります。主役の田中麗奈さんの透明感が、耐える女、野江にはまっていました。藤沢作品そのままに、簡潔にして淡々とした、端正な映画でした。でも、エンディングに流れる現代風の音楽は、ちょっと唐突な気がしました。日本では人気のある方の曲らしいので、聞き慣れていて、すぐに耳に馴染むかもしれないけど、知らないと「何故いきなり現代風に?」です。


 続いては、ホッコリ出来る映画と紹介されていた、小川糸原作の「食堂かたつむり」。なにやらオッシャレーな作風に不安を感じつつも、なんとはなしにダラダラと見続ける。結婚詐欺にあって失語症になり、故郷に帰ってささやかな食堂を営むことになった倫子の作るお料理を食べると夢が叶います。期せずして森の魔女になった倫子と、娘を深く愛しながらも、それを表現できない不器用なおかんのお話。おとぎ話なのに、溺愛していたペットの豚を、結婚式のご馳走にしちゃうのは衝撃的。食べることは殺生なのだ、というのが裏テーマだったのか?

 はっきりとは示されていませんでしたが、おかんことルリ子さんに惚れてた常連さんが、りんこのお茶漬けを食べてかなえられた願いは、ルリ子さんの幸せだった、というのが、泣かせところだったのかな?

 それにしても、一緒に寝るほどに可愛がっていた豚のエルメスを、いきなり食べると決めて、トラックでドナドナの次の画面では、ブロック肉になっているのは驚きました。本では色々あるのかもしれないけど、私とは相性が悪そうで読めないと思う。湊かなえさんとか苦手。


 最後は、小川洋子原作、「博士の愛した数式」。こちらは以前、原作も読んでて、割りと好きでした。映画は、柔らかな光に溢れた画面作りが心地よい。昔は「ルビーの指環」とか歌ってとんがってた寺尾聰氏、すっかり好々爺になられて…

 それにしても、交通事故で80分間しか記憶が続かない博士と交流する、主人公(?)の家政婦さんの息子、√君。こんなイイコは実在しない!と、思ってしまった。成長した√君の勤める高校は、きっと良家のご子弟ばかりの名門校なのでしょうね。あんな高校生たちも居ないと思った。

 それから義姉の役が浅丘ルリ子さんは、派手すぎ、キツすぎで合ってない気が。人に会わずひっそりを暮らしている後家さんにしては、お化粧濃いなぁ… 禁断の恋に葛藤し、後悔し続けて、距離を置いているはずなのに、一緒にお能を観に行った(これって、過去の、帰り道に事故に遭った時じゃなく、現在の描写ですよね?)り、存在が謎。


 と、辛口批評になってしまいましたが、コタツに座って、長年溜込んだ雑誌の整理をしながら眺めるには適当な作品ばかりでした。切り取ったページの、必要な部分だけ切り抜いて、ノートに貼り付けたり、一応切っておいたものの、きっと作らないであろうレシピを捨てたりで、結局、小さな段ボール箱一箱分くらい処理しちゃいました。けっこうスッキリした!

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