予告を見ても特に食指が動かなかったし、頭使わない娯楽大作好きな私ですが、大変に評価の高い作品なので、「そんなに良い映画なら…」と、見てみました。確かに「良い」映画だと思いましたが、「好きな」映画じゃないな。
お話の筋は面白く、興味深い人物像と、それを支える演技は、今年のアカデミー賞、主演女優賞と助演男優賞の受賞も納得、そして、よく言われているように脚本が素晴らしい。細やかな仕草でキャラクターを表したり、台詞も面白いし、観客の予想の斜め上を行くような展開で、全く飽きませんでした。ホント、よく出来た映画だと思う。でも、登場人物は皆、善人なんだけど、その殆どがお知り合いになりたくないタイプ。広告店の若い兄ちゃんと、小人症の男性の気高さは清々しいけど、それでも、特にお知り合いになりたい人達じゃない…

ミズーリが舞台の映画といえば、ジェニファー・ローレンスの出世作「ウィンター・ボーン」を思い出します。貧しく閉鎖的な村で起きる事件を追う強烈な映画でしたが、あの映画のヒルビリー程ではなくとも、この映画の舞台であるエビングも、街の中だけで、人間関係を含む何もかもが自己完結し、その街の中だけの「掟」がある田舎町です。
街中の皆が警察署長と知り合いで、人種差別が横行しても黙視され、警察官が怒りに任せて無実の人間を二階の窓から放り投げて大怪我させても、警察書に火炎瓶投げて放火しても、なぜか罪にも問われず、全てが「なぁなぁ」で収まってしまう。街にある上等なレストランもバーも超限られてるので、行けば必ず顔見知りとがっちんこ。判るわぁ、この感覚。私も、保守的な白人ばっかの田舎町に住んでたから。ニュースになっても、アナウンサーがいつも同じなのも、田舎っぽくて笑える。
もう一つ思い出した映画が、「ウィンド・リバー」です。余り話題にならなかったけど、良作でした。こちらは、

この映画も、若い女性がレイプされ殺されるという事件が起き、外の世界と隔離された保留地で犯人を追う映画ですが、こちらはクライムサスペンスなので、きっちり犯人が見つかり報復されます。けれど、見終わってスッキリとはせず、暗澹たる思いが残りました。逆に、真犯人は見つからないままに終わりながらも、なにか希望を感じさせる「スリー・ビルボード」とは、対照的です。
娘を最悪の方法で亡くした親の悲しみ方も対照的で、その悲しみや怒りをビルボード広告にぶつけたミルドレッドとは違い、ウインドリバーの父達は静かに、内向きに悲しみます。でも、どちらも死んだ娘に対する大きな後悔を抱えている。ミルドレッドの加害者に対する怒り、そして自分に対する怒りが、警察署長への糾弾という、外向きの行動になった。やってることは派手だけど、嫌な思いをしたお店をYelp!でこき下ろすのと似たようなもん?
その署長も、自分が死んだら、家族は大変だろうに5000ドルもの大金を他に使っちゃっていいの?しかも自殺って、ちゃんと保険金降りるか心配。それから、川辺りに幼い姉妹だけ残してお楽しみは、親として絶対に許せん。彼の死で最も変わったのは、彼を最も敬愛していたディクソンだけど、正義に目覚めたのは良いけど、あいにく、アホすぎて良い警察官への道は遠いと思う…
お話の筋は面白く、興味深い人物像と、それを支える演技は、今年のアカデミー賞、主演女優賞と助演男優賞の受賞も納得、そして、よく言われているように脚本が素晴らしい。細やかな仕草でキャラクターを表したり、台詞も面白いし、観客の予想の斜め上を行くような展開で、全く飽きませんでした。ホント、よく出来た映画だと思う。でも、登場人物は皆、善人なんだけど、その殆どがお知り合いになりたくないタイプ。広告店の若い兄ちゃんと、小人症の男性の気高さは清々しいけど、それでも、特にお知り合いになりたい人達じゃない…

ミズーリが舞台の映画といえば、ジェニファー・ローレンスの出世作「ウィンター・ボーン」を思い出します。貧しく閉鎖的な村で起きる事件を追う強烈な映画でしたが、あの映画のヒルビリー程ではなくとも、この映画の舞台であるエビングも、街の中だけで、人間関係を含む何もかもが自己完結し、その街の中だけの「掟」がある田舎町です。
街中の皆が警察署長と知り合いで、人種差別が横行しても黙視され、警察官が怒りに任せて無実の人間を二階の窓から放り投げて大怪我させても、警察書に火炎瓶投げて放火しても、なぜか罪にも問われず、全てが「なぁなぁ」で収まってしまう。街にある上等なレストランもバーも超限られてるので、行けば必ず顔見知りとがっちんこ。判るわぁ、この感覚。私も、保守的な白人ばっかの田舎町に住んでたから。ニュースになっても、アナウンサーがいつも同じなのも、田舎っぽくて笑える。
もう一つ思い出した映画が、「ウィンド・リバー」です。余り話題にならなかったけど、良作でした。こちらは、
ワイオミング州ウィンド・リバー保留地。FWS(合衆国魚類野生生物局)の職員、コリー・ランバートは荒野のど真ん中で少女の死体を発見した。FBIは事件の捜査のために、新人捜査官のジェーン・バナーを現地に派遣した。自然の過酷さを甘く見ていたバナーは、捜査に難渋することとなった。そこで、バナーはランバートに捜査への協力を依頼した。2人は荒れ狂う自然と剥き出しの暴力に直面しながらも、ネイティブ・アメリカンの村社会の闇を暴き出していく(Wikipediaより)
寒い映画なのに、日本では今夏公開だそう。納涼?コリー役はジェレミー・レナー、バナー役は、フルハウスの双子の一人、エリザベス・オルセン。
この映画も、若い女性がレイプされ殺されるという事件が起き、外の世界と隔離された保留地で犯人を追う映画ですが、こちらはクライムサスペンスなので、きっちり犯人が見つかり報復されます。けれど、見終わってスッキリとはせず、暗澹たる思いが残りました。逆に、真犯人は見つからないままに終わりながらも、なにか希望を感じさせる「スリー・ビルボード」とは、対照的です。
娘を最悪の方法で亡くした親の悲しみ方も対照的で、その悲しみや怒りをビルボード広告にぶつけたミルドレッドとは違い、ウインドリバーの父達は静かに、内向きに悲しみます。でも、どちらも死んだ娘に対する大きな後悔を抱えている。ミルドレッドの加害者に対する怒り、そして自分に対する怒りが、警察署長への糾弾という、外向きの行動になった。やってることは派手だけど、嫌な思いをしたお店をYelp!でこき下ろすのと似たようなもん?
その署長も、自分が死んだら、家族は大変だろうに5000ドルもの大金を他に使っちゃっていいの?しかも自殺って、ちゃんと保険金降りるか心配。それから、川辺りに幼い姉妹だけ残してお楽しみは、親として絶対に許せん。彼の死で最も変わったのは、彼を最も敬愛していたディクソンだけど、正義に目覚めたのは良いけど、あいにく、アホすぎて良い警察官への道は遠いと思う…
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