わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

読書感想文

2018-09-03 | 映画・ドラマ・本
 日頃から怠け者の私ですが、9月一週目の月曜日、労働者感謝の日を含む、この週末、普段を上回るさらなる自堕落日を過ごしております。先週、日本語本の棚のあるワーシントン公立図書館の近くを通ったので、古本売り場にめぼしいものがあるかもと立ち寄ってみました。ここの貸出本は殆ど読んでしまって、過去数回は全く成果がなかったので、余り期待していなかったのですが、棚の位置が変わって、新しい本が入っていました。嬉しくて、目新しいのん、帆布バッグにいっぱい借りてきた。

 こうと決めたら、とことん!だし、帰りにスーパーで、ビールとポテチも買ってきた。普段はポテチも買わないし、一人でお酒も飲まないよ。で、ここ数日は、昼間っからポテチ食べながら本を読んだり、PCで映画やドラマを見たり、夜になったらビール飲みながら、やっぱ本読んだり映画見たり。自堕落の通常運転をさらに上回るハイパー自堕落ですわ~(←もっと恥じて!)。

 この週末を終えると、日本では新学期ですね。宿題の一環、じゃないけど、印象に残った本の感想を書きます。供の頃は、読書感想文は得意でした。素直にではなく、こういうコトをが書くのを、先生は生徒に期待してんだろうな、ってことを、こしゃまくれて書くのが得意だったって意味だけど。

 近頃の日本人って、タレントさんの不倫に厳しいのに、純文学では不倫が付き物みたいなのって、一体何なんだろう?「失楽園」が流行った時くらいの頃は、「文学」小説は不倫ものばっかで、海外の図書館という超限られた選択肢から、兎に角なんか読みたいんで借りてくると、不倫女性の話ばっかで辟易なんですが、今どきの小説にも、人死に拔きの群像劇だと登場人物には必ず不倫してる奴がいて、日本って、そんなに不倫が多いんですか?と、日本を離れて30年のおばさんは悩む。

まず、ご飯食べながら軽く読んだのは(私は行儀が悪い)、畠中恵氏の「こころげそう」。「しゃばけ」で有名な作者さんだけに、幽霊が普通にいる江戸時代のお話。長良で読むのにぴったりな、登場人物もお話もネタも軽い一冊(←えらそーにwww)。未婚の若い男女のお話なので不倫は出てこないけど、岡惚れあり、市に至る恋あり。人物紹介を兼ねた栞が付いており、「恋のお守り」ってあるけど、幽霊なっちゃたり、死んだり、殺されたりしてんのに、一体どんな「お守り」やねん?!

 昨日回読んだうちの一冊は、江國香織氏の「なかなか暮れない夏の夕暮れ」です。タイトル通り、これといった事件も起こらず、親の莫大な遺産で生きてる高級遊民な五十路男と、その周辺の何処にでも居そうな、でも主人公との関係故に、実際にはこんな甘ったれた状況の日本人は滅多にいないだろ、っていう、正に、ダラダラした夏の夕暮れの曖昧な海と空の境のような、ある意味、とても小説的な数日間が語られます。ぐーたらと本を読んでる自分に、ある意味ぴったり。

 作中に、主人公が読んでいる本の内容が挟まれるのが面白くて、その一冊は、北欧を舞台にしたスパイサスペンス、もう一冊はジャマイカ舞台で、読んでいる側もクーラーの効いた部屋を挟んで、寒々とした北欧/蒸暑い熱帯を行き来するような感覚が味あえます。ちなみに、登場人物たちは不倫してないけど、主人公が読んでる本の登場人物たちは不倫。

 主人公は、何度も読書を中断され、数日に渡って一冊を読んでいるので、作中に出てくる料理にはまって毎日作ったりといった向き合い方が面白かったです。私は通常、小説は一冊丸ごと一気読みに加え、何冊かを同時進行的に読むのが習慣で、生活の中に読んでいる別世界を少しだけ取入れつつ、何日かを過ごす経験がないので、少しずつ楽しみながら、自分の生活の中に本の世界を取り入れるって、贅沢な読み方だと思いました。

 この本を読む前は、百田尚樹氏の「フォルトゥナの瞳」→誉田哲也氏の「ケモノの城」を読んだ直後に読み始めました。突然に数日後に死ぬ人が判ってしまうという能力を得た主人公の自己犠牲のお話というやるせない本から、北九州の監禁殺人事件を基にした「これアカンやつや」と最初の数ページで思ったのに、始めたら途中でやめられないんで、結局最後まで読んで、「やなモン読んじゃった」に。作り話なら作者の発想と表現力を、すごーい!で読み過ごせたかもしれないけど、事実を基にしているので、本当に暗澹たる気持ちになっちゃった。

 誉田哲也氏は、以前図書館で借りた「プラージュ」が面白かったので、同じノリで読み始めちゃったのだな。登場人物は立ってるし、構成も上手い!でも、それだけに一層、うわー…なった。あまり万人にお薦めできない一冊でした。でも、人間の闇の深淵を覗いた後に、たとえ自分の為だけであっても、善意に生きている人々の長閑とも言えるお話を読んで、全く別の世界に異世界転送されちゃうのも、読書の醍醐味。

 しかし、ここの司書さんの本の選択基準を、ちょっと知りたい…

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