
ニューヨークの世界貿易センタービル跡地で行われた式t連では、1993年の爆弾テロ被害者も含めた、2,983人の名前が読み上げられました。3,000人弱。決して小さな数字ではありません。でも、その後の戦争で亡くなった軍関係者と、一般市民も含めたイラクの人々の死者数に比べれば、少ない人数です。AP通信の集計によりますと、2011年12月31日の時点で 米軍兵士の死者数はイラク戦争で4,488人(慶應義塾大学 経済学部 延近 充ゼミ、共同研究「イラク戦争を考える」のサイトより)、アフガニスタン戦争で2,267人(同上)の、計6,755人だそうです。
イラク、アフガニスタン側の犠牲者数は、裕に万を超えており、今日も尚、毎日、イラク・アフガニスタン帰還兵が自殺し続けています。アメリカ退役軍人の約8,000人が、毎年、自殺していますが、この数字はイラク侵攻後以来、跳ね上がりました。軍備の進化によって死にまでは至らなくとも、脳へのダメージを含む障がいを負う兵士が増え、その補償は財政に大きくのしかかっていますし、障がいは目に見えるものだけとは限りません。爆風等によるって脳に直接なダメージを受けたり、戦争のトラウマによるPTSDで悩む退役軍人は、なかなか助けを得られない。これは、アメリカ国内で大きな社会問題になっています。
ホームレス人口における、ベトナム帰還兵の割合は未だに高いそうですが、そこへ湾岸、イラク―アフガニスタン戦争帰還兵が加わりつつあります。そして、その殆どが、アルコール、麻薬、またはその両方の中毒患者です。映画「ランボー」の、戦争に行く前はヒーローだとおだて上げたくせに、戦争が終わって帰ってみれば、駐車場の管理人の仕事にすら就けないという状況は、何ら改善されていないように見えます。オバマ大統領は、シリアの軍事制裁に踏み切るとしても、空爆だけで、戦闘のためには、たった一人のアメリカ人すらシリアの土は踏まないだろうと演説しましたが、さすがのアメリカも戦争には疲労しきっています。
左の写真は、9-11後のニューヨーク世界貿易センター後での救援活動中に、一時の休息を取る救助犬。遠いシリアでの空爆も化学兵器使用も、実感のない出来事ですが、そこには多くの人が難民生活を強いられていたり、戦闘中の市街地に生きており、こんな風にぐっすり眠ることすらできないような日々を過ごしておられるに違いありません。自分たちの生活向上、民主化、独裁者追放を求めて、市民がデモを率いたエジプトの反政府勢力とは違い、アル・カイダをはじめ、市民でもないゲリラが政府追放を訴えているシリアの状況は、すっと複雑です。欧米側にしろ、アサドはカダフィのような、明確な長年の「敵」ではないし、頭を悩ませるのも仕方ないと思います。国連は、事務総長がしゃーしゃーと政治的発言するほどのバカだし、国際紛争解決の場として機能していません。
世界中が悩んでも、解決法は見つかっていません。これからも、見つからないかもしれません…
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