わにの日々-中西部編

在米30年大阪産の普通のおばさんが、アメリカ中西部の街に暮らす日記

グレートウォール・The Great Wall

2017-02-25 | 映画・ドラマ・本
 チャン・イーモウの大作、「グレートウォール」(公式サイト)を観てきました。宣伝文句は「人類史上最大の建造物、万里の長城が作られた目的が遂に明かされる!」ですよ。

 紅三部作と呼ばれる赤をテーマ色にした作品で知られるようになったとおり、色に拘る監督さんで、「HERO 英雄」の色によって、創作、過去、現在、そして真実の世界が語られる圧倒的な映像美は、何度、見返しても素晴らしい!2002年の作品ですが、出演者が偉い豪華で、しかも当に旬の時の作品。マギー・チャンの美貌は恐ろしい程、ジェット・リーのカンフーも切れ切れ、そしてトニー・レオンの色気!これを映画館で見なかったのが、今だに悔やまれます。


 で、「グレートウォール」ですが、米中合作映画としては最高の製作費を費やしたのに大惨敗、85億円の赤字が見込まれているとか。確かに予告からして漂う地雷感、片っ端からけちょんけちょんな評論、おまけに昨今のハリウッド映画における人種差別への批判のあおりを食って、「なんで中国映画の主役がマット・デイモンやねん?!」という非難も相成って、劇場の大画面で見るべき映画であるのは明らかだけど、わざわざ隣町まで出かける価値があるのか、ちょっと悩んでしまいました。

 でも、よく見ているブログで、娯楽性の高い映画が好きな方にはお勧め、との感想があり、求めているのは娯楽性!な、私は、年末に紫斑病にかかって以来、初の隣町遠征。いやホント、お馬鹿で派手で突っ込みどころだらけで超面白かったです!勧めてくれたブログ主様にお礼を書きたいけど、アメブロはメンバーじゃないとコメントが書き込めない…ここを見られるとは思えないけど、お礼を言いたい…


 監督が北京オリンピックの興奮冷めやらずなのか(?)、長城の兵士たちは、隊によって黒、紫、赤、黄、青と色分けされており、とても鮮やか。ヒロインのリン隊長(ジン・ティンエン)が率いる青い鎧の鶴部隊は全員女性で、壁からバンジージャンプで飛び降りて、槍で敵を刺し殺すという、至近戦を専門とする極めつけの強者揃い。ジン・ティンエンがまるでCGのような美しさで見惚れます!

 策士役は、安定のアンディ・ラウ(劉徳華)。重要な役回りのカワイ子ちゃん歩兵を演じたル・ハン(鹿晗)は元アイドルグループの一員だそうです。なるほど… 鎧を着こんだまま、エプロン掛けで炊事してる姿が素敵でした。かっこいい鎧の各隊の隊長たちが、イケメンぞろいなのですが、あんまし見せ場がありません。カラフルなので、隊長たちのそろい踏みはパワーレンジャーみたい。なぜか美女ばかりの青鎧鶴部隊の皆さん同様、画面的に嬉しいです。

 黒い粉(火薬)を求めて古代中国(宋の時代らしい)に潜り込んだ白人やら中近東出身らしき一団、中国兵に追われて5人を残すだけになりますが、夜半何者かに襲われ、ウィリアム(これがマット・デイモンね)と、友人のパウロ(ペドロ・パスカル)だけが生き残ります。ウィリアムは闇の中で敵の腕を切り落としますが、それは人間のものではありませんでした。

 一難去ってまた一難、中国兵に捕まって長城の砦に連行された二人は、持っていた腕について尋問を受けます。便利なことに、25年前に同じように火薬を得ようとしてとっ捕まり、以来、長城に幽閉されている白人のセシル(ウィレム・デフォー)がおり、彼に英語を習った美女がおりました。彼女は、長城の指揮を執る将軍の養女で、砦のナンバー2。なんとなく「パシフィックリム」を思い出しますが、リン隊長は、養女だからと大事にされ過ぎることなく、腰にひもを結わえて、二本槍たずさえ敵に突撃!こりゃ男どもも従うはずだわ。

 ウィリアムが「こんなん殺した記念に」って持ってた腕は、饕餮(とうてつ)という、謎のモンスターのものでした。彼らは女王を中心に群れを作っており、60年に1度人間を食べにやってくる。長城は、彼らの襲撃を防ぐために築かれたのでしたが、それは秘密。中国映画なのに主人公が白人という白人至上主義を批判されていましたが、この映画に関しては、余所者を判り易く表現するのに、未だ欧州では開発されていない火薬を盗みに来た人種違いの連中って設定はありだと思いました。

 全てがCGのような無機質な映像の中で、白人男三人組だけが生々しい。そこも、彼らが違うことを際立たせていました。マット・デイモンなんて火星にも居るんだから、古代中国に居たって、ぜんぜん不思議じゃないよね(←そういう問題なのか?)

 ウィリアムは弓の名人、しかもトウテツを一人で仕留めた経験もあり、オマエ使えるじゃん、と、戦場に駆り出される。壁を登ってくる「ワールド・ウォーZ」のゾンビのワラワラぶりを遥かに凌駕する数で迫るトウテツ。間違っても「かわいい」とは思えない、徹底的にいやんな感じの恐竜もどきなルックスです。しかも流石は白髪3千条のお国柄、いくらCGだからって、ここまで数増やすか?っいぇほど。対する長城の戦士たちもポンポン死ぬけど、そこは人海戦略の中国、いくらでも出てくる!

 見た目は原始的だけど実は知性的なトウテツ、長城を襲うと見せかけ、実はこっそり穴を掘って壁を突破、首都に向かっていましたよ。国境に壁を作るとか言ってる、どっかの国にも見せてあげたい気がします。このままじゃ首都が危ない!ってんで、気球で紫禁城救出に向かう兵士たち。紙の気球ですから、燃えて墜落する気球も多い中、ウィリアムとリン、策士の乗った気球は無事、紫禁城へ。重要人物が一つの気球に同乗って危険だと思うのですが、主人公補正で難なく目的地に到達します。で、まぁ、色々あるけどトウタツを撲滅して、めでたし、めでたし。


 お話的には、ひたすらアホで伏線も何もなく、磁石を近づけられると寝ちゃうとか、女王が死んだら、いきなり全滅するトウテツって設定も笑うしかない。微妙にウィリアムとパウロのバディー・ムービー的なところも、何が何だか?で、ウィリアムとリン隊長も、なんかいいムード?かと思ったら、あっさり何もないままバイバイ(@^^)/~~~

 どうした、チャン・イーモウ??って感じですが、とことん頭を使わない娯楽大作を目指したなら、大成功。そんな映画って、実はとっても需要あると思うの。だって、映画って、日常から二時間ほど逃避する娯楽じゃない?観客は、私の他に10人もいなかったけど、皆で、面白かったね~って、言い合いながら、劇場を出てきたよv

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