ある雑誌の「投稿記事」より抜粋 その2です。
上高地をよくご存知の方がいらっしゃれば、河童橋から明神方向に右岸側
を歩くこと約7~8分。林の中にこんな標識に出会う。「カラマツ精英樹」。 まったく観光的には無関係であるが、精英樹とは何であろう。
意味は『その森林の中で生長の度合い、樹の姿、材質などの特にすぐれている樹木。優良林業で品種育成の目標とする。』とある。
いわばこの木はカラマツのサラブレッド種として認定された木であり、林業が盛んであった頃はこの「上高地カラマツ」を母樹とし、この木から種を摂り発芽させ、苗として育てやがて全国に運ばれていったことが標識からもうかがえる。もちろん品種育成が目的である。
ですから、「上高地産カラマツ」がただ単に現代風「ブランド」と言っているわけではないのです。
それでも、売れなかったらどうしよう。
幸いなことの二つ目に、このカラマツという材を使おう!と計画・実行した方がいらっしゃる。
元長野県知事 田中康夫氏 である。
氏は前述したような経緯を踏まえ、県が植林を推奨した長野県の木 カラマツ を大いに使うことを奨励し情熱を注いだ。
県も林業試験場などでカラマツ材の実用化に向け、懸命に取り組んできた。
いよいよ実行に移された実用例が発表・実施された。
実用例一つが「木製ガードレール」。これは国道・県道などに設置された鉄製ガードレールをカラマツ材を使って施工しようというもの。実際の姿を見れば人の目にやさしく映り、なかなか風合いもいい。
コスト面などを除外して考えれば、いい案だと思う。今現在は 上高地、美しヶ原、国道158号 沢渡地籍など一部地域に施されている。
林業関係者によればその目的を持って丁寧に手入れされ、育てられたカラマツは100年もたてばヒノキの木にも負けない、高値で取引されるものだと言う。
ちょうどいい時期ではないか。(実際、河童橋はカラマツ材で作られています。上高地ブランド産ではないのですが。)
こんな目的を遂行するため、長野県では3年ほど前から「森林税」も導入され、森林整備他に利用されることとなった。 県産材 カラマツ を住宅に使うことで補助金も出されることとなった。
考えてみればその使い道は、けっこうあるものである。
さて、これで植林した木の伐採は終わり、その行き先も決まった事としよう。大きく切り開かれ見通しも素晴らしく日の光も充分に差し込むようになったこの地に、いったい何を植えよう。
春、芽吹きの頃にはあたりにいい匂いを放つ「かつら」の木がいいだろうか。
そう!、あの木は秋にはまぶしいばかりのそして透き通るような黄色に色付く姿が印象的だ。 たった一日にしてハラハラと葉が落ちる日を狙ってそれを楽しみにお客さんが集まるかも知れない。
それとも様々な色付きをする数種類の「カエデ」を植えても面白いかもしれない。
赤に変わる木・黄色に変わる木・色とりどりのカエデの類が植わっていたらきっと楽しいだろうな。「ナナカマド」も一考だ。
紅葉の代表格である 涸沢 とまではいかぬとも年月を経ればこれも彩りに華を添えることだろう。アクセントには白く映える白樺を植えよう。
夢は果てしなく広がっていく。30年も経てば立派な「バスターミナル園地」が出来上がることだろう。
そこには人が歩きやすい遊歩道が施され、往来をする人たちが木陰で休みながら涼を楽しみ、癒しのひと時を過ごす。何と贅沢な時が過ごせることだろう。バス待ちも気にならないほど、人々の気持ちを癒しの世界へ引きずり込んでくれることでしょう。
こんな夢みたいな話が持ち上がったら、大いに協力を惜しまないしきっと自分も参加することでしょう。
「上高地バスターミナル園地」を夢見て・・・。