ケビン・マッカーシー下院少数党院内総務は9月30日、議会施設内で、中国に関する報告書について記者会見を行った(GettyImages)
米下院議員からなる政策提言組織「チャイナ・タスクフォース」は9月30日、中国共産党がもたらす様々な脅威に対抗するため、包括的な青写真となる報告書を発表した。
15人の共和党議員により5月に結成されたチャイナ・タスクフォースは報告を通じて、中国共産党を米国に対する「世代の脅威(Generational Threat)」と例えた。数カ月にわたる調査の後、米国と自由世界に対する政権の悪質な行動に対応するために430件の提言をしている。
提言の中には、医療サプライチェーンを含む重要な産業を中国から米国に移転し、米軍を近代化し、中国共産党政権の人権侵害と悪質な影響力拡大の活動を罰するために新たな制裁措置を講じることが含まれている。
報告書は、過去の米政権が何十年にもわたり、中国共産党体制による経済発展に伴う自然な自由民主化を期待してきたことは「失敗」であると指摘。米国は中国共産党政権の人権侵害、経済的・軍事的侵略、約束を破ることなどに「目をつぶる」ようになってしまったと結論づけている。
チャイナ・タスクフォースの議長を務めるマイケル・マッコール下院議員は「何十年もの間、米国とその同盟国はハンドルを握ったまま『居眠り運転』をしてきた」と、9月30日の記者会見で述べた。
報告書は、「今回のパンデミックは、中国共産党の支配とメンツへの執着の結果である」と述べ、中国共産党の隠ぺい工作と、中共ウイルス(新型コロナウイルス)に警鐘を鳴らした人々への弾圧に言及した。
「中国共産党は危機を軽視し、重要な情報を世界から隠し続けている。その結果、世界的な災害が発生した。中国共産党の共産主義イデオロギーは世界にひどいダメージを与えた」。
タスクフォースの主要メンバーである米下院少数党院内総務ケビン・マッカーシー議員は、430件の政策提言のうち「主要な政策を含め、6割は超党派議員から支持を得ている」と強調した。
提言のなかには、中国共産党のプロパガンダと偽情報工作に対抗するための米政府全体の情報キャンペーン、米国企業への中国の投資に対する監視の強化、台湾との自由貿易協定(FTA)の交渉を求める内容がある。人権問題の対応として、北京による香港の自治権侵害に対応するため、香港から逃亡した香港人に安全な避難港を提供するよう政府に提言している。
さらに、中国共産党政権による臓器強制摘出問題に対する省庁間の評価を要求している。必要であれば、そのシステムを監督している中国当局者を特定し、制裁の対象とするよう求めている。2019年6月、独立した専門家らによる検証によると、中国共産党政権は大規模な臓器移植システムを維持するため、主に法輪功学習者を中心とした良心の囚人から強制的に臓器を摘出しているという。
政権はまた、中国共産党によるウイグル人弾圧を「ジェノサイド(大量虐殺)」と指定するかどうかを検討すべきだと、報告書は勧告している。
(翻訳編集・佐渡道世)