【ぽぽんぷぐにゃん対談】小出裕章さんに田尻宗昭さんの事を聞く。
【Schuldenschnitt - 借金カット】
Schuldenschnitt とは、ドイツ金融業界の俗語で、借金返済額の一部、又は全額を免除することを意味するもので、チプラスが政権を握ってからメディアで散々氾濫した単語である。
現在、ヨーロッパのメディアを一世風靡するギリシャ債務問題、その中の渦中の人・ドイツのメルケル首相が、「髪をカット(ヘアカット)するように、そうそう借金をカットすることはできません」とコメントしたことは、非常に印象的だ。
では、なぜ返済額をカットすることは、難しいのであろうか。
これには、EUの複雑な国家間の均衡性が深く関わっていると言えるだろう。
ギリシャに1900億ユーロの金融支援をする「ESMフォンド」は、ユーロ圏19カ国で結成されたもので、経済大国のドイツ・フランスから、小国・マルタ共和国までが、其々に見合った割合で出資し成り立っている。
その中には国民の平均所得がギリシャの半分にしか満たないラトビアのような国もあれば、経済難、内政問題を抱える国々は少なくない。
特に、バルト三国と東欧など、共産主義の崩壊後、四半世紀に渡り苦渋を味わい続けた国々では、ギリシャ緊縮策を強硬に主張する声が強い。
さて、前回ギリシャが「ESMフォンド」より受けた1900億ユーロの融資だが、返済期間32年、返済開始は2020年から、その上、返済開始までの利子は免除と、かなり優遇されていると言えるだろう。
それにも関わらず財政難が続くギリシャでは、2015年7月5日国民投票が行われ、EUコミッション・国際通貨基金(IMF)・欧州中央銀行(ECB)が推進する緊縮策に61%が反対するという結果をもたらした。
しかし、4日後の9日にチプラス政権から提出された「緊縮策改正案」は、今年6月「トロイカ」がギリシャ政権に提案した緊縮策とほぼ一致するもので、これでは、先に行なわれた国民投票の民意が反映されないのではないか、という懸念の声が、コミッション側から上がるほどの歩み寄りである。
ただ、この「改正案」に併せチプラス政権は、「ESMフォンド」に対し更なる535億ユーロを要求している。この改正案がEUコミッションと国際通貨基金(IMF)を通過すれば、12日(日)にEUで議会が開かれ方針が決議されることとなる。
さて、ここで問題なのが、決議の結果、もし再び「ESMフォンド」がギリシャに財政支援をすることになると、先ほど示唆したような緊縮策を強硬に主張する弱小諸国の首脳陣は、母国の国民の信頼と支持を失い、国民がEUに加盟していることを不利と判断すれば、国家の右傾化は進み、さらにはEU分断というシナリオさえ想定されてしまう。
メルケルの「髪をカット(ヘアカット)するように、そうそう借金をカットする訳にはいきません」という言い回しには、そういったEU内でも立場の弱い国々に対する配慮が感じられる。
■「トロイカ」とは?
欧州諸国の財政再建を支援・監視する「トロイカ」 - ことばアップデート : 日経Bizアカデミー
>ギリシャの財政再建を支援・監視している3組織の欧州連合(EU)、国際通貨基金(IMF)、欧州中央銀行(ECB)は通称「トロイカ」と呼ばれる。
■前回。
【ぽぽんぷぐにゃんコラム】ギリシャ財政破綻問題について。- 第3回(ドイツのカマ吉さんの報告)
今回から「カマ吉さんコラム」とさせていただきました。
あの「公害Gメン」の田尻宗昭さんの親戚でもある、ドイツ在住のカマ吉さんがギリシャ問題について書いてくれました。
ギリシャ問題はEU、そしてドイツとも深く関わる問題だけに、ドイツから見た視点というのも大切かなぁと思います。
(twicas)BCGのあと。- 2015.07.08
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(Podcast)ぽぽんぷぐにゃんラジオ 2015年7月6日(月)
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