竜崎が異動後に大森署に赴任した美貌の大森署新署長・藍本小百合警視正の実質上のデビュー作。物語は貝沼副署長の目線で語られる。副署長でも戸惑うほどに竜崎前署長のピリっとした雰囲気から、藍本新署長のほんわかぁとした雰囲気を醸し出しながら物語は展開される。竜崎と藍本、まったく性格も署長としての行動も異なるけれど、ふたりに共通するのは警察官としての原理・原則の遵守。そして、融通性と無駄の排除と決断の早さ。「全責任は、わたしが取ります!」と言われりゃ、部下もやる気が出る。2人の共通点は、竜崎も藍本も戸髙刑事を評価している点。そして刑事課に配属されたばかりの山田太郎巡査長が戸高と組んで活躍する。貝沼は堅物の竜崎から、今度は美貌の女署長に一目会おうと次々とやってくるお偉方の対応に奔走することに。そこへ海外の密輸案件発生で前線本部が大森署にできる。あちこちの部署や麻取などが絡み、内部のメンツをかけ争い始めそうになるが・・・。藍本署長の容貌を「度を超した美貌」やら「一目見ると蕩かされて骨抜きにされる」と隠蔽捜査では語られなかった貝沼のぼやきが面白い。サクサク読める痛快版隠蔽捜査スピンオフ。
2023年3月講談社刊

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