百田 尚樹 著「風の中のマリア」

ヒロインは、なんと日本で最も危険な野生生物と云われるオオスズメバチ。
最強のスズメバチの働き蜂として生まれた主人公マリアの羽化から死に至る瞬間までを描いた生態小説です。
疾風のマリアと呼ばれる彼女の身体はそのすべてが戦いのために作られた。
堅固な鎧をまとい、疾風のように飛ぶ。無尽蔵のスタミナを誇り、鋭い牙であらゆる虫を噛み砕く。
恋もせず、母となる喜びにも背を向け、妹たちのためにひたすら狩りを続ける自然界最強のハタラキバチ。
切ないまでに短く激しい命が尽きるとき、マリアは・・・
帝国＝（巣）の為、母＝（女王蜂）と妹の為、情け容赦のない狩りに命を削るマリア。　「女だけの帝国」が誇る最強のハンターで残酷なヒロイン。
それでも「私は何のために生まれてきたのか」
「メスなのに何故、子どもを生むことができないのか」問いかける姿にグーットきます。
オオスズメバチの生態小説。　単なる擬人化小説ではなく、自然科学の現代までの到達点をもとにした忠実な小説です。
蜂球、　盗蜂、　廃巣　、単倍数体性、　ゲノム共有率、　・・・聞いた事のない言葉が出てきて戸惑うが読了後はハチの生態が少しわかるかも。
蜂球＝日本蜜蜂とスズメバチの戦いの動画です。
http://www.youtube.com/watch?v=LLWZHg_TjA0