読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

藤岡陽子著「リラの花咲くけものみち」

2024-06-27 | は行
動物たちが、「生きること」を教えてくれた。 家庭環境に悩み心に傷を負った岸本聡里は、祖母とペットに支えられて獣医師を目指し、北海道の獣医学大学へ進学し、自らの「居場所」を見つけていくことに・・・聡里は獣医学部に進学すると、獣医師の仕事が動物を助けるばかりではないことを実感します。時には命の選択をし、助けられる命を見殺しにしなければならないこと。仕事は、小動物の臨床医(町の動物病院の先生)以外にも、国や地方自治体で働く公務員、牛や馬や豚や鶏を診る農業共済組合の職員、製薬会社やペットフード会社で動物実験を担当する社員など多岐にわたります。「動物が好き」という理由で獣医学の道に進んだ学生たちが、どのような感情で動物の命に向き合うのかが書かれています。「怖がっていたらなんの夢も叶えられない」。「苦しんだ人のほうが、初めからなんでもできるやつより強いよ」。動物は自分で自分の治療方針(命)を決められない、飼い主が決めるということは、当たり前だけど難しい問題です。北海道の大自然の地で、自らの人生を変えてゆく少女の姿を描いた心が温かくなる感動作でした。
2023年7月光文社刊


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