相原孝之は一級建築士で、妻の貴美子と中学1年生の娘・美加、小学2年生で料理好きの息子・康文の4人家族だ。ある日、息子が車にはねられ意識不明の重体に陥るが、時を同じくして、孝之の不倫とそれによる妻のストレス、そして娘が学校でいじめられていることが発覚し、家族は瓦解寸前に。そんなとき、認知症の老人が相原家の前に何度も現れ、孝之の心にもさざ波が立つ。孝之には幼い自分と母を捨て駆け落ちした父親がいたのだ。一方、康文の意識が戻らない中、不思議な認知症の老人とのふれあいを重ねるうちに、貴美子と美加の2人は驚くべき事実に気づくことに。不倫、いじめ、交通事故、そして認知症老人の作る手料理――崩壊寸前の家族に訪れた奇蹟の13日間のファンタジー。DNA鑑定の結果を見ないで燃やすシーンや他人かも知れない人を引取るなど料理が重要な役割を果たすドラマチック仕立てだがファンタジー的ハッピーエンドの小説でした。
2021年2月中央公論社刊
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